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3.5MHz~50MHz対応のコンパクトアンテナチューナー制作にトライ

7MHzから14MHzまではなんとか実用になる短縮型EFHWアンテナができたわけですが、IC-705でQRV可能な周波数はまだまだいっぱいあります。

とはいえ、狭いベランダに各バンド用アンテナを建てることなど不可能なので、ある程度妥協しなければいけないのですが、18MHz以上へのQRVを現状で実現するにはローディングコイルとアンテナエレメントととの繋ぎ目にタップ用ICクリップを繋いで10mのロングワイヤー動作とし、リグとアンテナ間にアンテナチューナーを入れることで無理矢理HFハイバンドの電波を乗せるしかありません。

という事でアンテナチューナー制作にトライすることにしたわけですが、作るにあたって幾つか自分なりの条件を設定しました。

まず一つ目はリグのIC-705と組み合わせて使っても違和感のない大きさ、つまりはコンパクトにしたいという事。
そして二つ目はQRP運用前提とはいえ、高インピーダンスアンテナを扱うこともあるためアンテナ側同調回路は高電圧に耐えうるものである事。つまりはQRPチューナーでは定番のポリバリコンの使用は不可とします。
三つ目は小さめのケースサイズとエアバリコンを使うことで生じる内容積の制約があるために良くある大きなタンクコイルや大きめのトロイダルコアを使ったタップ方式は収める場所がなく無理なので、小さなトロイダルコアにバンドごと巻線を巻いてコイルユニット化して隙間に詰め込むという事。
四つ目としてVSWRの目安用に赤色LEDを使うほかにリグからの入力側にトロイダルコアCM結合器利用の反射波メーター出力を設ける事。
さらに欲張っての五つ目は50MHzまで対応出来るように追加スイッチの増設とハイバンドでの同調に特化した小容量バリコンへの切り替えまで目論みます。

小さいは正義ってわけでもありませんが、POTA運用時などに外へ持ち出すことも考えるとやはり小さいに越したことはありません。
ケースはタカチ製のものを念の為大小2種用意していたんですが結局小さい方に全て押し込めてしまいました(笑)

アンテナチューナーの基本回路は定番のπ型の出力に高耐圧バリコンを追加したπC型というものになります。
以下に今回制作したアンテナチューナーの回路図を載せておきます。画像クリックで拡大するかも?

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制作の方針が決まったら次は部品の手配ですが、HF帯のローバンドで使うバリコン容量は少なくとも650pFは欲しいところでして、一般的な中波用2連バリコンであれば並列使用で目的は達成されます。駄菓子菓子、いや、だがしかしこの手のエアバリコンは現在ではプレミア価格が付いて結構高額じゃないと手に入りません。一台3〜5千円もするものを3台も普通に手配するのは昔の販売価格を知っている自分にしてみるとなんか馬鹿らしくなってきます。

まあ世の中うまくしたものでそんなプレミア価格で取引されている再生品のバリコンと同等のものがジャンクなども扱うパーツショップの商品の中に格安で紛れ込んでいたりします。
私が手に入れたのは大阪の共立エレショップで扱っていたFM/AMフロントエンドという部品付き基板です。
フロントエンドとしては完動品なのですが現代では大きすぎて需要が無くジャンクとして処分するしかなかったわけですね。ちなみに値段は一個550円ですので3個揃えても1650円+送料だけです。

高級3連AM/FMフロントエンド(画像クリックで商品ページへ飛びますが、多分eコマースサイトの仕様でセッションが切れていて表示されないかもしれません。その際は飛んだ先のサイトの検索欄に上記の商品名を入れると見つかると思います。)

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目的のバリコンは基板にしっかりと半田付けで固定されているので取り外す手間はありますが、他にも往年のディスクリート部品が手に入るのでお値段分の価値はあると思います。

全体を覆うシールドを熱容量の大きなハンダゴテを使って外すと中には減速ギア付きのステキなバリコンが隠れています。

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バリコンをケースに取り付ける際に、アンテナに直列に挿入されるバリコンは電気的にグランドから浮かせないといけませんのでケースにはカプトンテープで絶縁を施し、ケースへの取り付けネジはテフロン製のミリネジとワッシャーを使用しています。
シャフトもジョイントを間に入れて6mmのベーク丸棒でシャフトを延長して絶縁を図っています。

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コイルユニットはジャノメ基板の両面に設置して念のため高耐圧なタイト製ロータリースイッチでバンド切り替えを行なっています。
トロイダルコアは3.5MHzがT68-2で7MHzから28MHzまではT68-6を使用して0.68UEW線を必要数巻いて50MHzだけは空芯コイル25Φを1mm UEW線2.5ターンでトグルスイッチの後ろに配置しています。

トロイダルコアの入手先は秋葉原の千石電商です。

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中の配置はざっとこんな感じでコイルユニット辺りには余裕がほとんどありません。

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とにかく狭いので実装には正直手間取りましたがなんとか完成にこぎつけることができました。

正面からみたところ。汎用の100μA電流計で反射波の強さを視認できます。

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背面は左端のバリコン固定ネジとワッシャーにテフロン製を使用しています。
内部のバリコンもABS製のネジ用スタッドで浮かせてあります。
見えにくいですが右側BNCジャックの下にメーター用バナナジャックがあります。(保護用ビニールを後で剥がしたためちょっと汚い)

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IC-705と組み合わせてみたときのサイズ感はこんな感じです。

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今回のアンテナチューナーにはあえてスルースイッチは設けませんでした。
チューナーを通る損失よりもπCを通るフィルタ効果のほうが自分的には比重が大きかったということと、外に持ち出して使うときにはスルーの意味はありませんしね。

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