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内省文を分析して思考力を鍛えると、行動は変わるのか

長崎大学「行動分析学入門」授業実践録


一昨日は大学で教えている「行動分析学入門」の8日目。最後のコマでした。経験学習が実体験できる自らの「できたこと手帳」を科学的に分析しながら、さらに思考力・実践力高めるという授業です。
この授業を設計するにあたり、社会人基礎として5つの力を定義しました。

1)状況把握力
2)論理的思考力
3)目的思考力
4)感情知能力
5)行動実践力

この5つの力、どれをとっても正解のないVUCAの時代に必要な能力です。自分の経験からさらに思考して、新たな行動を見出していく活動で、これらの力を鍛えることが可能です。これを大学生が身につけることは、近い将来働く上でとても役立つものとなります。

Cラーニングのアンケート

毎回の授業では、自分の内省文をセルフチェックして科学的に改善点を見つけていきます。
授業を進めていくと、曖昧な文書が論理的な文書に変化してく様子がわかります。状況把握から論理的思考・目的機能、感情知能の各能力が明らかに定着していきます。
そして、最終的には行動実践力が大幅に成長している姿が確認できました。

毎回「できたこと手帳」の1ページ(1週分)をレポート提出(学生に許可を得て開示してます)

最終回ではワールドカフェを使って、自分たちが学び取ったことを話し合いました。

ワールドカフェの様子(学生に許可を得ています)

学びの振り返りのアンケートでは以下のような意見がありました。抜粋して掲載します。

Q)「できたこと手帳」の活用を通じて、あなたに起きた変化、成長をまとめましょう

・日々の行いを振り返って、感情を分析していくことで、自分のことを再確認することや新しい自分を発見することができました。また、普段から自分は何が必要なのかを考えて行動できるようになりました。
・一日の中で、何か一つ自分が達成したことを毎日見つけるという習慣ができた。また、何か最低でも一つは成し遂げようという意識が生まれた
・できたこと手帳を書くことでどうしてできたのか、本当に出来ているのかと内省することで続けるポイントに気づくことが出来ました。「何かをするついでに」、「行動する時のポイントを作る」など自分が取り組みやすい方法と出会いました。
「意識する」や「頑張る」という言葉を使わず、具体的に「これをこの時間に何分やる」と書くことで、次の行動が起こしやすくなり、隙間時間を有効活用できるようになったり、計画性が少し身についた。
・「できたこと手帳」を活用して、自分のことがよく分かったと思います。感情マークの分析をすることで、なんでこの感情になるのかが今までわかっていなかったものが分かりました。クリティカルシンキングをすることによって目的がはっきりとわかり、これからするべきことは何かを自然に考えることができるようになるきっかけになったと思います。自分を肯定することで次の行動の意欲が高まったと思います
自分が大切にしていること、価値観が明確になったことで、日々のできたことに対する感情認知能力が上がった。それによって、目標達成のためにどれくらいのレベルのどのような行動計画を立てると継続できるか、満足感を得られるかが分かった。
・なんとなくやった方が良さそうだからという理由で物事をしていましたが、「できたこと手帳」を利用することで、自分のできたことに対してなぜできたのかや目的を考えるようになり、自分でもわからなかった自分の目指しているものがわかるようになった。
・自分の行動パターンと感情の変化を自分の心と話し合いを行え自分ができた!と感じることが増えた。

内省文を自己分析するプロセスを通じてメソッドが落とし込めて、深く定着させることができたと、手応えを感じます。
来年度も2Qは経験学習実践論、3Qはこの行動分析学入門を開講することになっています。さらに生徒たちの成長が見られると思うとワクワクします。

ちなみに、来月から4Qでは、「行動分析学実践」という講座が開講します。この経験学習メソッドを学校や企業で人に伝えて教えられる人を養成します。まさにファシリテーション技術を学べる講座となっています。成果はまたこのnoteでレポートしたいと思います。