雨が降る前にしんどくなる理由
雨が降る前になると、気圧の関係で体調が崩れたり、古傷が痛んだりと言う話を聞いたことがあると思います。
気圧が変化する度、体調に異変が生じている方にとっては切実な問題ですから、半ば常識です。
ところが、そうではない方にとっては、「話くらいは聞いたことがあるけれど」と半信半疑、あるいは、「あり得ない」と都市伝説レベルに信憑性のない話だと解釈している方も少なくありません。
1)そもそも気圧って何?
気圧とは大気の圧力のことで、地表にかかる圧力(重さ)を数値化したものが、天気予報でお馴染みのヘクトパスカルです。それで、同じ圧力を線で結んだものが等圧線と呼ばれます。
さて、地表にかかった圧力は、その地点の周辺に存在する圧力の低い方向へと押し出されます。
そして、横方向に逃げた地点では、入れ替わるように上空から大気が降りてくるため、空気の流れが発生します。これが下降気流ですね。
逆に、気圧の低い地点では周辺から空気が押し寄せてきます。行き場をなくした大気は、上空へと押し上げられて、やはり空気の流れが発生します。こちらは上昇気流ですね。
上昇気流が生じた際、地表付近の湿った空気が上空で冷やされ、水滴となって雲が発生し雨が降ります。つまり、雨が降るから気圧が下がるのではなく、気圧が下がると雨が降ると言うことです。
2)自律神経と気圧
それでは人の身体で考えてみます。自分がいる周辺の気圧が高くなれば、それに比例して人体にかかる圧力も高くなります。平たく言えば、低気圧の中では弱い力で、高気圧になると強い力で身体が圧迫されるという事です。
それで、身体は外部からの圧力の強さに応じて、内部の圧力を自律神経によって調整しています。
外部からの圧力が強くなると(高気圧)、交感神経が優位になり、圧力が弱くなれば(低気圧)、今度は副交感神経が優位になります。身体の状態を一定にしようという働きですね。
3)オカルトではなく現実
とはいえ、しょせん気圧の差ですから、たかがしれています。手や足にかかる気圧の僅かな変化を認識できる人の方が少数派でしょう。
それでは、耳の鼓膜だとどうでしょうか?飛行機に乗ったり、高い山に登ったりすると、耳の状態に変化を感じるタイミングがありますよね。これは、気圧が低下したことに応じて、自律神経が体内の圧力を下げた結果です。
内の他にも、頭蓋骨の内部や横隔膜も気圧の影響を受けて、僅かながらも、自律神経のバランスが変動します。
つまり、認識することが難しいくらい微細なものであっても、気圧の変化は、確実に身体に対して影響を及ぼしいてるということです。
それで、自律神経失調症やパニック障害を患っている方は、普通の人よりも自律神経の変動に敏感なため、気圧の変化に伴って体調不良を起こしやすくなります。オカルトではありませんし、もちろん仮病でもありません。
余談になりますが、天候(気圧)の変化によって体調を崩してしまうのは、女性の方が男性よりも、2~3倍くらい多いです。月経周期によるホルモンバランスの変動が影響しているのか、あるいは、単純に女性の方が繊細なのか、原因は定かではありません。