夢が…(ヴィファーレン長崎に暗雲)

記事の初公開日:2011年 09月 10日

長崎新聞Webサイトに次のような記事が掲載された。

V長崎スタジアム問題/長崎市がJ基準断念 13年参戦、暗雲
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/v-varen/2011/09/07095117.shtml

大震災によって国庫からの補助金が削減されたこともあって、長崎市が「かきどまり陸上競技場の改修計画を縮小することにした。
それによって、この競技場でのJリーグ開催は事実上不可能となり、ここをホームスタジアムに2013年のJリーグ参入を目標としていたヴィファーレン長崎の行く末に暗雲が漂い始めた。

ショックです。。

私は、ヴィファーレン長崎の熱心なサポーターではない。
佐藤由紀彦選手の加入で、ヴィファーレン長崎に興味をもち、長崎市内でゲームがあれば、まれに見に行く。先日の開幕戦でやっとタオルマフラーを買った。
その程度のファンだ。
海外サッカーやJリーグを中心に見てきて、サッカーが好きになればなるほど募るのは「わが町のチーム」が欲しいという気持ちだった。
J1,J2で戦うわが町のチームが欲しい。
ヴィファーレン長崎の目標は、それを現実にしてくれる夢をはらんでいた。

長崎市の計画変更で、この夢は事実上破れることになる。

競技場は箱ものかもしれない。
しかし、そこには確実に人々の熱気が生まれ、活力が生まれる場所だし、長崎市が必死になっている観光以外の新しい集客が生まれることも確実だったのに。
国体のために、たくさんの施設を改修したり新設したりするんだろうが、その幾つぐらいがその後、ある程度の集客がみこまれているのか。
それらからすると、Jリーグの集客は確実性の高いものではないだろうか。

何より言いたいのは かきどまり競技場の改修計画縮小の理由が予算不足というのに、長崎市は市庁舎の新設計画は進めているということだ。
老朽化を理由に、改修するのではなく、他の場所に新設するという計画が進められている。
候補地には、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組識DOCOMOMO(http://www.docomomojapan.com/docomomoabout.html)の、日本におけるDOCOMOMO150選に選ばれた長崎市公会堂(武基雄設計)があり、この建物の敷地も含め予定地になっているという。

乱暴な話をすれば、市庁舎の新設をやめ、改修とレンタルに切り替えて、予算を競技場改修に回せばいいのにということ。

それによって、サッカーファンを含むスポーツファンと、モダニズム建築を守り演劇や音楽の場を守りたい文化的市民の夢、2つが叶う可能性が大きくなる。

それは、長崎市民にとっていいことではないのかな。


さらに、サッカーについて言えば、もっと大きな市民力が生まれる可能性もある。

3月11日の震災と津波の被害に対し、多くのJリーグチームとサポーターが素早く援助の行動に出た。
特にサポーターの動きは素晴らしかったと思う。
私が情報を追いかけたのは横浜Fマリノスのサポーターの動きだが、震災の2日後には、支援の具体的な行動計画を決め、サポーターの組織力と市民の協力で、1週間くらい後には、救援物資を現地に運び込んでいる。その後も、継続的に他のチームのサポーター組織と連携して物資を運び、直接現地入りしてがれき撤去作業なども行っていた。

この自発的な行動力と組織力そして、市民との連携は、人に寄り添う心と横浜愛と横浜Fマリノスというサッカーチームがあってこそ生まれ育ってきたものだと思う。
べつにサッカーだけのものではないだろうと思うかもしれないが、では、他のスポーツファンたちの組織がJリーグサポーターたちの動きほど早く、大きな動きになったかというと、やはりJリーグサポーターの動きが格段に計画的であり実行力も継続力もあった。

このような、ヒューマニズムと組織力と行動力を持つる市民のグループが、できることが本当にうらやましい。
そして、ヴィファーレン長崎とそのサポーターたちを中心に、ホームタウンを愛するゆるやかだが、やさしさのある行動的な集まりができてくることを楽しみにしていた。


なんとか、長崎市の縮小計画を撤回してもらえないだろうか。
この事実を知らない人に、少しでも多くこのことを知ってもらい、事態が好転するようななにかにつながってもらえないか。
私ができることは、そんな小さな声をあげることしかないのだが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?