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【楽器】の魅力シリーズ

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楽器についての考察、研究、インタビューをまとめています。
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記事一覧

音楽視点の世界旅行 | キューバ編🇨🇺 | 多彩なリズム、シンコペーション、文化の融合、キューバの音楽家について。圧倒のドラムレッスンに出会う🌎✨

皆さん、リズム音楽世界旅紀行 へようこそ。 今回は、カリブ海に浮かぶ島国、キューバの音楽事情についてご案内いたします。 キューバと聞いて皆さんはまず何を思い浮かべるでしょうか?野球、カストロ政権、そしてクラシックカー。 大半の日本人にとっては、名前は聞いたことはあっても、あまりなじみのない国だと思います。 しかし、実はキューバは高度に洗練された音楽の宝庫としても知られています。 この記事では、キューバでの体験談をもとに音楽事情について深堀りしてみたいと思います。 キュ

【キューバのリズム考察】アフリカ、アメリカ、キューバへ音楽探求の旅 ~リズムへの情熱が導いたルイ・ロペス・ヌッサ氏との運命の出会い

はじめに  ーー音楽の国境を越えて:キューバ音楽の素晴らしさ 世界トップクラスの音楽レベル、というイメージで知られる国、キューバ。その魅力は言葉に尽くしきれない。 ドラマーである僕は、リズムを探求するために世界中を巡ってきたが、キューバは一番凄そうな国として常に興味を持ち続けていた。 そんな中、2019年の春におとずれたルイ・ロペス・ヌッサ(Ruy López Nussa)氏との出会いが、キューバ音楽への情熱を更に燃やす思い出となった。 今回、キューバの音楽と、アメリ

「効果音」がもたらす音楽の制作プロセス|自然音のミックスの秘密を公開します!

スタジオイオタ代表の前田紗希(@nagareruiota)です。 私たちは、歌のない曲を制作する上で「自然音」をよく活用します。 でも、みんなが知らないのは、その自然音を収録するために私たちが実際に足を運んでいるってこと! 音楽制作の工程を紹介するので、ぜひ見てください♪ 自然音から生まれる音楽の醍醐味🌿いま、私の前では鳥が「チュンチュン」と鳴いています。 この自然音を収録していくわけですが、職業音楽家は楽曲を制作する際にひらめきだけで制作をしているわけではなく、楽

一級建築士が教える防音について大事な「遮音、吸音、制振」【海外生活リノベDIY】

防音の大事なお話し「遮音、吸音、制振」について皆さん、こんにちは!Groove冒険家のZin "Atrevido" Hitoshiです。 メキシコに家を買い、職人さんに混じってマイスタジオ、防音室と防音ドアを作っている最中。 本日は、一級建築士の父がくれたアドバイスから始めていきましょう! メキシコに一軒家を買ったことを父に伝えると、 え?!マイスタジオ作る?!お前はほんとにやることすごいな~!! と言いつつも建築士ですからね、 息子が海外でリノベするとなれば喜ん

メキシコで防音スタジオ施設を作った話し【移住3年目に起きた大きな変化】

皆さん、こんにちは!Groove冒険家のZin "Atrevido" Hitoshiです。 2年以上ぶりの超超ご無沙汰の新しい記事。 なぜ時間が空いてしまったかというと、 なんとメキシコに家を買いました!! コロナ渦が始まって、オンラインのドラムレッスンの依頼が急増。 借りていたアパートでドラムは小音量なら叩けていましたが、 ついに大家さんが「ちょっと叩く時間が長すぎ。夜遅くまでやってるし…」 苦情と言うより当然の主張をされた訳ですが、 これを機会に家を買うか

【音大卒が作る簡易防音DIY】ステイホームを救う、自宅カラオケルーム。より安く!楽に!のススメ

公式のカラオケ映像を使って “おうちで練習しよう”。 本コンテンツは自宅でのカラオケ練習を目的として、個人が簡単な防音を部屋に設置していく記録です。 特に難しい材料は必要ないかと思います!材料はホームセンターやネット通販で手に入りますよ ミ☆ カラオケは日本が発祥地!カラオケとは? カラオケ(オケに合わせて歌う)や、ジャズ喫茶(主にレコードを聴く形式の喫茶店)は、 日本で発祥して海外に広がったといわれています。 海外旅行に行くと「ガラオケ」など、文字違いの看板を数

【浅草】日本最大級の打楽器天国!世界の太鼓資料館 太皷館が想像以上にヤバイ!

多くの観光客でにぎわう街、浅草。 浅草に観光に行くとしたら何を思い浮かべるだろうか? 浅草寺を訪れて、仲見世商店街で江戸の風情と名物グルメめぐり。 御朱印もいいかもしれない。 洋食を食べ、シブい店と路地裏の情緒を感じる。かっぱ橋道具街で「食」に関する巨大な厨房器具と店舗用品に、カッパ探しも楽しい。 川沿いには「隅田川テラス」という親水テラスが整備され、かの有名な”金の炎”が見える。 通りを歩けば、大衆酒場で昼間っからテーブルを店の外まで並べて飲んでいる人たち。 朝4

【アフリカ音楽でシャーマンの体験記】古代呪術師が歌って踊って、楽しんで喜んで出て行ってもらう。

音楽の起源は、古代の呪術師たちの行為から始まったと考えられています。 人々によって社会が作られ階層ができた時代、人が病気になると、それは死者や先祖の霊が悪霊となり、人に取り憑いて、その人を苦しめると考えられていました。 つまり、病気を治すためには、取り憑いている霊を追い払えばよいと考えられていたのです。 呪術師たちは工夫を凝らし、悪霊が退散したくなるような、身震いするような音を作り出したといわれます。 その音は、悪魔を追い払うための魔術としての音だったため、現在私たち

【アフリカンリズムの考察】日本人にとってのリズムとは同調、アフリカ人にとってのリズムとは対話。

アフリカで太鼓の演奏を始めると「相手が終わってくれない限り自分からは終われない感覚」になります。 自分なのに自分が止められない。 言うなれば「走り始めたら自動制御の音楽マシン」。 30分くらいはあっという間に経ってしまいます。 それは、繰り返される「対話」だからではないか?と考えたのです。 … 全日本人にとっての一番の基となるリズムと言えば「一本締め~。いよ~ぉっ、『パン!』」あとは3.3.7拍子。 これは同調ですよね。リズムとリズムがガッチリ噛み合って終わりを告

【沖縄ジャズの歴史】アメリカ世にみるジャズと沖縄伝統音楽との融合『ウチナー・ビート』カルチャー的文脈

何度もリピートしちゃう沖縄の旅。もっと沖縄のことを知って沖縄通になりたい! そんな沖縄好きにオススメな楽しみ方が、沖縄のジャズ音楽。 約150年前まで日本ではない別の国、琉球王国という国家だった歴史背景からも分かるとおり、本州とは異なる「独自性のある」沖縄本島の素材や文化がたくさんあって非常に魅力です。 B級スポット好きの心をくすぐるスポットに現れる音楽資料館や、女子のファンも多いフォトジェニックなレコードカフェなど、沖縄で音楽の楽しみを味わってみませんか? 島唄で培

英語でリズム 音節=シラブル | なぜ日本人がジャズを流暢に演奏するのが難しいのか?

アメリカのドラマーのNate SmithのSNSで、英語をリズムに書き出してるの見つけました。 英語と日本語は結構リズムが違うんですね。 なぜ日本人がジャズを流暢に(ネイティヴのように)演奏するのが難しいのか? それは、日本語と英語の違いにあると思います。 音楽は文化である以上、その土地、その街で生まれた背景が必ずあります。 英語の音は種類が多い日本語のリズムの基本は「子音+母音」 「ん(撥音)」以外は全て「母音」。 たった5つの母音「ア・イ・ウ・エ・オ」で発音

【ニッチな音楽レーベル】が、noteで「みんなのオタク力」を取り出してみたら、最高の人生だった | studio iota label代表 前田紗希

2014年、20代さいごの時に、私はstudio iota labelという小さな音楽ブランド会社を立ち上げました。 もちろん立ち上げたと言っても、そんなに大掛かりなものではなく、自分たちのやっているバンドの音源を制作して、大手CDショップチェーンに流通しようと動いただけのことです。 そのときのバンドの名前が「流れるイオタ」だったため、気軽につけた名前が『スタジオ イオタ レーベル』でした。 現役"野良ミュージシャン"の集まり。音楽シーンへのコネクションも、レーベルのノ

カナダの自然の街【チリワック】で音楽療法を行なったお話し。友を訪ねて7000マイル。

旅をするのに目的がいるのか?ときかれたら、多分いらない。 レジャーを純粋に楽しみたい、その土地の食べ物を食べたい、アートを見たい、人と交流したい。そういう欲求を満たすためなら、もちろん国内でも十分だ。 おそらく世界を旅する人は、「日本ではちょっと難しい、冒険」がしたいのだ。 ある人にとっての冒険とは、飲み込まれそうなほど大きな滝の水しぶきを感じること、ジャングルの奥の、広大な遺跡を歩いてみることなのかもしれない。 だが、私にとっては、普段使わない外国語を使って知らない場

海外でライブしたい!ローカルミュージシャンが海外公演する時に気を付けたいことを書き記します。飛行機での楽器運搬・電圧。

世界中を旅しながら現地で演奏をしたり、トラベルコラムを執筆したりしている、studio iota labelの前田紗希(@nagareruiota)と申します。 東京に生まれ普段は近郊に住んでいますが、現在この記事を、海外フェス会場で書いています。 ああ、好きだなあ。 「音楽は国境を越えるか」と聞いて真っ先に想い浮かべるのは、言葉の壁。もっといえば嫋(たお)やかな度胸。 ものすごく情熱を持って演奏に取り組んでいても、所詮言葉を交わせなければ、心細い思いをしてしまうこと