【小説】エイリアン in ダ・ガーデン

 それは轟音とともにうちの庭へやって来た。
「は? いやいや、エイリアン?」
「そうです、殺しにきました」
「勘弁してください」
 未確認飛行物体が確認できたところで着陸したと思ったら中から足のたくさんあるタコっぽい怪物が出て来て、流石に挨拶するのもあれだったから「は?」とか言っちゃったけれどこれ詰んだんじゃないの。
「ちなみにどこから来たんですか?」
「銀河を三つくらい超えてきました」
 誰か嘘だと言って!
 心の中で叫ぶとエイリアンが続けた。
「ふむ、この星の支配者で間違いなさそうですね。この言語もわりと難しい方ですしね」
「でも日本でしか使われてないよ」
「まだ統一されてないんですかこの地球は」
 なんかショック受けてる。
「ククク、未だにアメリカと中国が覇権を争っているんだ」
「おおー、そういうことなんですね」
 なんかしかし普通に話通じるな。
「ちなみに観光ですか?」
「いや、この星で一番つえーやつと闘いに来ました!」
 完全に戦闘民族だコイツ!
「まー僕は弱いんで他をあたってください」
「いや、その上腕二頭筋、なかなかの手練れとお見受けします。殺します」
 たすけて。

 その初動は幾重にもなる足から。
 人智を嘲笑うような速さで、打撃が飛んでくる。
 しかし、僕には見えた。
 空手黒帯。人間よりかなり速いものの、理解できれば避けられない軌道ではない。
「くっ、このスピードについてこれるなんて!」
「まあ、速さでは負けてるね。でも」
「でも?」
「心の眼なら見える」
「なんと!」
 馬鹿にしてるのか。
「これならどうですか!」
 軌道が不規則になる。
 まあでも、なんとなく読める。
「エイリアンよ」
「はい」
「まっすぐなやつだな」
 そして僕のクロスカウンターが入った。
 ガッ、と鈍い音がして、エイリアンは一度倒れたがすぐ立ち上がった。
「これが、ニンゲン」
「ひれ伏せ!」
「この手は、使いたくなかったですが」
「何だと」
「透明になってやる!」
「何っ!」
「まったく見えなければ、勝てる!」
 たしかにあの速さで見えないと避けるのは不可能だ。
「ワンワン!」
 この声は!
 僕は全力で家の窓を割る。
 エイリアンの重い打撃が何発も入り始めた、が、案の定、やつは悲鳴を上げて倒れた。
「ぎゃああああ!いたいいいいい!なんで!見えないはずなのに!」
「そいつは人類最大の友、犬ってやつでな。匂いでめっちゃ色々わかるんだ」
「なるほど」
 エイリアンは小型犬に全力で足を噛まれて倒れていた。

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