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20.家具を入れてみて

2020年5月にソフトオープンを果たしたD&DEPARTMENT JEJU by ARARIO。3階に13室あるd roomも2階ストアも、1階のd食堂JEJUも、新型コロナウイルスにより、現場に行くことができなくなり、最終的な詰めをしないままで開業。その後のチェックも写真か、動画を遠隔で送ってもらい、ZOOMで議論、チェックという感じ。もしくは、すでに宿泊したお客さんのインスタ写真でチェックをしたりしています。

そもそも何をチェックしたいか、というと、d的な理屈による配置です。僕らのスタイルと言ってもいいかもしれません。それがないと、僕らではないからです。快適で清潔なホテルを目指したのではなく、あくまでd的なものを作り、それを面白がってくれる人が「私たちのお客さん」ということで、今後もそうしていこうと考えています。

さて「d的な理屈による配置」とは何か。
1・しっかり生活できること
わかりやすいのはテーブルと椅子の組み合わせです。両方ともUSEDだとしても、椅子とテーブル、机の高さの適正は絶対的にあります。たまに見た目重視で両者を組み合わせるスタッフがいますが、座ってみてそれが「実際に使いやすい組み合わせか」どうかを考えない組み合わせなど、論外。全てにおいて「そんな使い方するのか?」「この高さ関係でいいのか?」など、極当たり前のことがUSEDを扱う店ではよくやりがちで、うちでもたまにやらかしている組み合わせに出くわします。厳重注意です。高さが合わないなら「組み合わせない」方がまだいいでしょう。つまり「ディスプレイ(見た目重視の買わせようとする組み合わせ)は私たちの店では禁止です。

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写真はd room(客室)のトイレです。台の上に雑誌が乗せてあります。これはディスプレイですからダメです。トイレで雑誌を読む、読ませたいと考えるのはいいと思います。しかし、本当にそう思ってやるのと、設定としてそういうシーンを作るのとでは違ってきます。そして、トイレで雑誌を本気で読ませたいなら、もっと斬新で面白いレイアウトはたくさんあるでしょう。

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これはどうでしょうか。下に「板」が敷いてあります。トイレという場所性から考えると、清掃しやすいし地面に接していないからなんとなく感じいいですね。しかし、まずはこの板はどこからきたのか。d的にはそこが引っかかります。この板が全室にしっかりとした「背景」がないと、これも「ディスプレイ」となります。なんとなく清潔感のあるディスプレイですね。

部屋に限らず、d roomや食堂、ストアなどにはいちいち、こうした「背景」が必要だと思います。なぜなら、私たちのこの場所は「d的な」というところが売りだからです。なので、何気に置かれた本の集まりも、物語が必要です。
この写真が友人の部屋の一部だとしたら、この本はその友人という一人の人間のセレクトで、当然、一冊一冊を説明できるはずです。いい書店が、店主一人の人格が溢れているような感じ。それは実は私たちは割と嗅ぎ分けられます。「ディスプレイか、ディスプレイじゃないか」をです。

それは雲泥の差がでます。選者の気配があるか、ただ、本を積んだだけか、という差です。そして、その「人」が「板」を敷いたかどうか、です。
ということは、とにかく一貫して「一人の選者の気配」がないと、全ては「ディスプレイ」と言えます。

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