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【マッチプレビュー】2022 第14節 カターレ富山vsAC長野パルセイロ

真の勢いに繋がる連勝を

 前節ヴァンラーレ八戸とのホームゲームで久しぶりの勝利を飾り、5月以降遠ざかっていた勝点3をついに勝ち取り、長いトンネルから抜け出したパルセイロ。失点こそオウンゴールで喫したものの、勝点3に近づくために必要だった2得点目を奪い、直近の課題でもあった試合の締め方もあくしでんとがあった中、完全シャットアウトで勝利につなげることができました。当然何もかも完璧で勝利し、心配することは何もないという状態ではありませんが、なぜか勝ちにつながらないというパルセイロファミリー全体のモヤモヤ感はチームが晴らしてくれました。上位につけるカターレ富山、監督交代&新加入選手で巻き返しを図るSC相模原とのアウェイ2連戦に突入していきますが、フラットな状態に戻してアウェイに乗り込むことができるのは大きなプラス材料になってくるのではないかと思います。
 パルセイロも勝点3によって勢いを取り戻しかけていますが、第14節の対戦相手であるカターレ富山は、それ以上に勝点3奪取を繰り返し怒涛の5連勝中と勢いに乗りまくっています。勢いに乗る昇格争い第2グループの筆頭であるカターレ富山に勝つために、激戦を楽しむために前節の勝利の余韻から切り替えて対戦相手の情報をインプットしていってください!

通算対戦成績

 カターレ富山とのJ3での初顔合わせは2015シーズンでした。ガイナーレ鳥取に続いて2クラブ目の降格クラブで、気づけば8年目の長いお付き合いになりました。お互いに昇格まであと一歩と迫るシーズンもあれば、結果がなかなか出ずに中位に沈むシーズンもありました。富山県と長野県の隣県同士であることも相まって少し似た成績を残している印象があります。そんなカターレ富山に対して、パルセイロはJ3通算6勝4分5敗とほぼ五分の成績となっています。わずかですが、勝ち越しているため勝ち星を完全に五分にされないように7勝目を飾って欲しいところです。
 昨季の対戦を振り返ってみると、パルセイロ目線のホームで4-0の快勝、アウェイで0-3の完敗と2試合で計7得点が動く撃ち合いの試合となりました。
 1つ目の試合では、パルセイロが"フロンターレブースト"を発動させて初めてのホームゲームでの対戦となりました。当時リーグ戦でわずかに1敗&全試合得点中という好調のカターレ富山を完封し、4得点を記録したことで"フロンターレブースト"が確実なものとなるきっかけでした。その前のガイナーレ鳥取戦で8-1の快勝を見せたものの、本物の勢いなのか懐疑的な中での上位との対戦で見事に打ち破る…今季の状況と非常に似ている気がします。
 2つ目の試合は、2020東京五輪による中断明けで苦手なグルージャいわて盛岡とのホームゲームに敗れ失速しかけたタイミングでの対戦でした。この試合で0-3と完敗すると8試合勝ちなし+5試合無得点の大幅な失速につながりました。
 昨季の試合を振り返るとターニングポイントでカターレ富山とぶつかっており、その後の数試合に与える影響は大きいことがわかると思います。そして、今季の1周目の第14節の試合もパルセイロにとって上位戦線の勝点を直接削るチャンスであり、ターニングポイントの試合でしょう。良いところは継続し、改善の余地があるところは練習&試合で戦いながら成長することで虎視眈々と上位進出を狙っていきましょう。

今季これまでの両クラブ

カターレ富山

 まずはホームチームのカターレ富山から。13試合を終えて8勝1分4敗で勝点25、暫定4位につけています。開幕戦では昨季J2組の愛媛FCを逆転勝利で破るも、その後の4試合で1分3敗と苦しみます。ただ、第6節の藤枝MYFC戦で勝利すると、第8節当時負けなしの鹿児島ユナイテッドFC戦での敗戦を除いてその他のリーグ戦では全勝しています。天皇杯本戦でも敗退となりますが、ヴィッセル神戸に対して2点リードする状況を作るなど非常に良い戦いを見せました。
 第10節のSC相模原戦以降、リーグ戦4試合連続で1-0、所謂ウノゼロでの勝利を継続しています。当然チームとしては得失点差を稼ぐためにも複数得点を達成したいところではあると思いますが、無失点を継続しているのはそれ以上に強みとなっているところではないでしょうか。また、前節は後半アディショナルタイムに先制点を奪うといった勝負強さを兼ね備えています。リーグ戦4試合連続無失点を誇る守備陣を崩すことはパルセイロにとっても大きな壁となってきそうです。

AC長野パルセイロ

 次にアウェイチームのAC長野パルセイロ。13試合を終えて5勝5分3敗で勝点20、暫定8位につけています。開幕から4試合無敗を続けるもJFL昇格で勢いに乗るいわきFCに0-4の大敗。その後、監督や複数選手の古巣対決であるY.S.C.C横浜戦、当時無敗の鹿児島ユナイテッドFCを連勝で乗り切るも、5月に入ってアスルクラロ沼津に0-1で破れると、それ以降5試合勝利から遠ざかっていました。前節のヴァンラーレ八戸戦で待望の勝点3を掴み、シーズンを通した流れで見たときに大事な一戦を迎えます。
 前節で直近の最重要課題であった試合の締め方を克服したものの、5月から一貫して先制点を奪う難しさにも直面していることも事実ではないでしょうか。今季先制点を奪った試合の数は13試合中5試合と半分を切っています。その反面土壇場で追いつく強さや逆転する強さを持っていることも確認できているのですが、ウノゼロでの勝利を得意としているカターレ富山とは相性的に微妙なデータとも言えるでしょう。
 調子を上げている相手の勢いを折ることが難しいのは昨季のパルセイロを見ていた人ならわかるはずです。ただ、今の我々の指揮官は、その勢いすらも折ったシュタルフ監督です。カターレ富山にとって嫌な戦い方をすることも考えられます。

今節の注目選手

※当該選手が出場することを保証するものではありません。

カターレ富山

 カターレ富山の注目選手で紹介するのは、大野耀平選手です。後半45分を過ぎて半ば0-0かと思われた前節のアスルクラロ沼津戦でゴールを奪い5連勝と勢いを継続させた張本人。
 今季これまで4得点を記録していますが、どの得点もチームの苦しい時に奪ったゴールであり、彼がピッチに立っている限りカターレ富山サポーターの方々としても得点に期待してしまうのではないでしょうか。開幕戦の同点弾&逆転弾、第4節好調のいわきFCから勝点を奪う同点弾、そして前節の決勝点と素晴らしい活躍を見せています。出場時間が限られていてもゴールを奪うことのできるストライカーほど相手にとって厄介なFWはいないと思いますし、パルセイロにとっても注意しなくてはなりません。
 一瞬の隙を突く得点への嗅覚と184cmと恵まれた身長を駆使した彼の得点感覚に対抗して、いかに得点を奪わせないかが大きな鍵になってくるでしょう。

AC長野パルセイロ

 今節のAC長野パルセイロで注目選手として紹介するのは、山中麗央です。今季これまで2得点を挙げ、サポーターの心をがっちり掴んだアカデミー出身選手の1人。チーム内で複数得点を挙げているのは宮本&森川の3得点、デューク&山中の2得点ですから、与えられた時間内で得点という結果を出すという観点で言えば、彼の右に出るものはチーム内にいないと言えるでしょう。
 チームにとって今季初黒星となったいわきFCとのデビュー戦は苦い思い出になったかもしれませんが、その後FC岐阜戦で逆転ゴールを決めプロ初ゴールとなりました。その試合でも勝ちきれずに真のヒーローとはなりきれませんでしたが、前節のゴールでようやくチームの勝利という結果につながりました。
 攻撃面ではもちろん、前線からの守備でも存在感を見せる生え抜きの若獅子に注目しないわけにはいかないでしょう。

試合の注目ポイント

先制点

 対戦相手に結果で勝利するために得点は絶対に必要なものですし、ましてや先制点ほど大事なものはないので「何を今更」という話ですが、敢えて今節の注目ポイントに挙げました。
 理由の根幹になる点は、やはり最近のカターレ富山のウノゼロ勝利の巧みさです。カターレ富山にとっては4試合連続で無失点を継続しており、どの試合も1-0での勝利ということで先制点を奪ったことによる勢いの乗り方は他クラブの比ではないと思います。
 一方でパルセイロは先制されることが少なくはないものの、逆転する強さであったり追いつく強さを持ち合わせています。その点を考慮すると、仮に先制されたとしてもウノゼロで終わらせないであろう期待はできますが、勝ち切るという点に関しては難しくなるのが事実でしょう。パルセイロが喫した3敗はいずれも先制点を奪われたものであり、3試合とも無得点で敗れています。
 今節の先制点は、お互いにとって他の試合よりも自分達のスタイルを見せる上で重要なものと言えるでしょう。また、その先制点がどの時間帯で決まるかが読みづらい試合とも言えるかと思います。

まとめ

 ここまでカターレ富山vsAC長野パルセイロのマッチプレビューをしてきました。昨季の同対戦カードの結果を見る限りでは、勢いと勢いのぶつかり合いの結果、継続していきたい側を打ち破る側が倒すに至っています。当然、昨季のチームとはそれぞれ違う状態&メンバーとなるわけですが、非常に似た状況でこの対戦カードになるのも何か運命のいたずらのように感じてしまいます。
 カターレ富山が連勝を6に伸ばしてクラブ史上初記録を達成するのか、AC長野パルセイロが、昨季の第12節の同対戦カード時のように調子の良いカターレ富山を打ち破るのか。いずれにしても両クラブにとっての昇格争いにおいて重要な意味を持つ一戦になるでしょう。
 
獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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