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【マッチプレビュー】2022 J3 第17節 ガイナーレ鳥取vsAC長野パルセイロ

前半戦を勝利で締めくくる

 3月に開幕した2022 J3リーグもついに折り返し地点に入りました。7月15日〜7月17日に行われる第17節は前半戦の最終節となります。今季序盤から中盤にかけては各チームでコロナ陽性者の発生などもあり、なかなか消化試合数が揃わない状況でしたが、折り返しを迎えるにあたって全チームが16試合消化できていることは素晴らしいことだと思います。コロナ禍でありながら運営してくださっている各団体やボランティアの方々には感謝を忘れてはならないと思います。また、体調管理に気を使い仕事の一環であったとしても感染症対策を徹底し、毎週末の試合に向けて準備してくれた各チームにも感謝を伝えたいです。
 パルセイロは第16節、FC今治をホームに迎えての一戦でドロー決着となりました。第15節、第16節と負けてはいないものの、やはり連勝が今季は1度のみと少し物足りなさを感じます。鹿児島ユナイテッドFC、いわきFC、松本山雅FCが半独走状態に入っている感は否めませんが、一歩一歩1つでも勝点差を縮めて昇格圏内に近づくためにも前半戦の締めくくりである第17節は是が非でも勝利を収めたいところです。
 それでは、前半戦最終節である、ガイナーレ鳥取vsAC長野パルセイロの一戦に向けてじっくりプレビューをしていきましょう。

通算対戦成績

 パルセイロがJ3でガイナーレ鳥取と初顔合わせをしたのは2014シーズンのことでした。つまり、2014シーズンに開幕したJ3のオリジナルクラブ同士の対戦と言えるわけです。初めてJ3に参入することになったJ2経験クラブで、J2昇格を共に目指しながらもお互いに昇格できないまま9シーズン目を迎えました。パルセイロはガイナーレ鳥取に対して、J3通算6勝6分6敗と五分の成績となっています。どちらかが1勝でも優れているわけではなく、完全に五分の成績というところがJ3オリジナルクラブの対戦らしくて何だか燃えてきます。
 昨季の対戦では、アウェイで8-1、ホームで3-2という結果でパルセイロが2勝を記録しています。お互いに昇格争いに加われなかったシーズンでしたが、パルセイロの珍しいゴールラッシュが見られたことで記憶に残っているサポーターの方も多いのではないでしょうか。8-1を記録したアウェイゲームは、天皇杯で川崎フロンターレvsパルセイロが行われた直後のことでした。"フロンターレブースト"を象徴する試合だったことを覚えています。
 昨季の成績だけを見れば、ガイナーレ鳥取にとっては嫌な相手とも言えるパルセイロですが、逆に昨季の2勝がなければ負け越している相手というのも事実です。昨季より以前に勝利したのは2017シーズンが最後になります。昨季の得点力は良い意味で忘れて、フラットに勝利への執念を持って戦いに臨みましょう。

今季これまでの両クラブ

第16節終了時点順位表


ガイナーレ鳥取

 まずはホームチームのガイナーレ鳥取。今季16試合を消化して3勝3分10敗の勝点12、暫定17位に位置しています。
 開幕から藤枝MYFC、カマタマーレ讃岐とのアウェイ2連戦が組まれ、いずれも3失点以上を喫しての敗北となりました。第3節にホーム開幕戦でFC今治と引き分けて勝点を獲得し、第4節の延期を挟んでY.S.C.C.横浜に3-1で勝利して今季初勝利を掴みました。しかし、その後は天皇杯本戦も含めて7連敗と波に乗ることができませんでした。コロナ禍によるスカッド構築の未熟さなどもあったかもしれませんが、ガイナーレ鳥取にとって非常に厳しいシーズンのスタートとなったことは間違い無いでしょう。
 松本山雅FC、ヴァンラーレ八戸、テゲバジャーロ宮崎、SC相模原との対戦を負けなしで乗り切り復調の兆しを見せましたが、直近2試合ではアスルクラロ沼津とギラヴァンツ北九州に敗れています。松本山雅FCやテゲバジャーロ宮崎といったパルセイロが苦戦したチームから勝点を奪えているところを見る限り、力のあるチームだと思うので自身よりも上位につけるパルセイロに対して勝利を掴み勢いに乗りたいところでしょう。
 シーズンを通して複数失点が多く、いかに失点を0で抑えられるかが勝利に向けて修正が必要になってくるところだと感じます。

2022順位推移

AC長野パルセイロ

 次はアウェイチームのAC長野パルセイロ。毎試合パルセイロについてのプレビューで今季の振り返りをしているため、新たに加わった情報は第16節分のみですが紹介したいと思います。
 パルセイロは今季16試合を消化して6勝6分4敗の勝点24、暫定9位に位置しています。18チーム中9位であり、得失点差も+1、やや勝ちが負けを上回る数というど真ん中ポジションらしい結果となっています。前節のFC今治戦では、前半途中から後半序盤にかけて攻勢を強めましたが、相手にワンチャンスを沈められてビハインドを背負う状況になりました。その後セットプレーから同点に追いついたものの、追加点を奪うには至らず。終盤まで一進一退の攻防を繰り広げてドロー決着となりました。1試合平均得点も失点も約1という状況で、勝利を確実にするためには訪れたチャンスを決め切るか、アクシデント失点も許さない強固な守備組織を構築する必要があるでしょう。現状を見る限り、パルセイロが取り組んでいるのは前者であり、サポーターとしてもそちらの方がわくわくする内容になっていくはずです。
 前半戦最終節を勝利で終えるために、ガイナーレ鳥取相手に複数得点を奪えるかが重要な鍵になるでしょう。数字上、前半戦の間に中位集団脱出は叶いませんが、後半戦での巻き返しに向けて集団のトップに立っておくのが望ましいです。

2022順位推移

今節の注目選手

※当該選手の出場を保証するものではありません。

ガイナーレ鳥取

 今節、ガイナーレ鳥取の注目選手に挙げるのは田口裕也選手です。
 昨季のチーム内得点王であり、ガイナーレ鳥取にとって欠かせない得点源の一人と呼べるでしょう。今季は開幕して間もなく怪我で戦列を離れる状況もありましたが、今季は10試合スタメンに選ばれています。昨季のパルセイロとの対戦でも存在感のあるFWだったため、昨季までの活躍を考えると少し物足りない出場時間になっているかと思います。
 今季は期限付き移籍で澤上選手が加入し、ここ数試合は澤上選手の相棒を清永選手、大久保選手、石川選手と争うような状況になっています。ただ、どの選手も継続して先発起用される試合は少なく、まだまだ2トップの選定が固まりきっていないようにも思えます。また、今季チーム内得点王の大久保選手が長期離脱となったことで、攻撃陣にはさらなる奮起が求められるでしょう。
 チームとしてなかなか順位表の上に上がっていけない期間が続いていますが、そういうときにFW陣同士のポジション争いの激化から何かが生まれることで、調子を上げていくチームも珍しくありません。恵まれた体格と類まれなるシュートセンスはJ3内でも一級品ですから、得点を奪い出すと止まらない可能性は十分にあるでしょう。
 失うものがないチームのFWほどゴールに飢えた者はいません。ガイナーレ鳥取にとっては彼をはじめとする攻撃陣の奮起に再起の可能性があり、パルセイロにとっては必ず抑えなくてはならない対象になります。

AC長野パルセイロ

 今節、AC長野パルセイロの注目選手に挙げるのは原田虹輝選手です。
 今季から川崎フロンターレより期限付き移籍で加入した選手で、昨季まではガイナーレ鳥取に在籍していました。前節のFC今治戦で今季初リーグ戦メンバー入りを果たし、後半途中からピッチに立ちました。天皇杯長野県予選での起用はあったものの、リーグ戦での出場は前節のみ。ようやくシュタルフ監督の構想に入る強度に達したのではないかと推測します。
 特徴は何といってもその足下の技術の高さ。川崎フロンターレのサポーターからは"未来の大島僚太"として活躍を嘱望されるほどです。昨季はガイナーレ鳥取で合計16試合に出場したこともあり、J3経験値としても最低限保有しています。前節はダブルボランチの一角&IHで出場し、少ない出場時間でチャンスクリエイトに関わる場面も見られました。
 プレーエリアは若干異なりますが、強度や特徴などの共通点からチーム内のライバルは東でしょう。前節は東が第15節の退場による出場停止でメンバー外となっていましたが、今節はポジション争いに戻ってくるはずです。「川崎フロンターレの選手だから」ではなく、一人のサッカー選手としてポテンシャルを感じさせる素晴らしい選手です。今節も出場があれば、今後のキャリアとしても重要な一戦になるはずですし、何より古巣への恩返しとして得点とアシストをガンガン記録してほしいです。

試合の注目ポイント

ホーム&アウェイの勝率

 試合内容とはずれますが、ガイナーレ鳥取のホーム勝率とパルセイロのアウェイ勝率に注目したいと思います。
 ガイナーレ鳥取の今季16試合の勝利数は3。その内訳はホームゲーム2、アウェイゲーム1となっています。ホームゲームでも勝てているように思えますが、このホームゲームの2勝はチュウブYAJINスタジアムで行われた2試合です。つまり、ホームゲームの大部分を開催しているAxisバードスタジアムでは今季まだ勝利がありません。今節の会場もAxisバードスタジアムになるので、ガイナーレ鳥取にとってはこの嫌なジンクスを破り、後半戦の土台とするべく引き分けではなく勝点3をとることが重要になるでしょう。
 また、ガイナーレ鳥取は前半戦17試合のうち9試合がホームゲーム。つまり、後半戦はアウェイゲームが1試合多くなります。やはり、アウェイよりホームで勝つことが浮上のきっかけにはしやすいと思うので、前半戦最終局面であるホーム2連戦を連敗で終わるわけにはいかないという覚悟を前面に出してくることが予想されます。
 対するパルセイロのアウェイゲーム勝率に注目すると、8試合中3勝。勝率としては50%を切っています。そして、今季4敗のうち3つはアウェイゲームです。ホームゲーム8試合で1敗のみであることを考慮すると、やはりアウェイゲームの方が苦手としている印象です。前半戦はホームゲーム8試合、アウェイゲーム9試合という内訳ですから、後半戦はホームゲームが多くなります。ただ、ホームゲームで勝ちきるという結果に持っていくためにも、前半戦最終節での勝利は浮上に向けて必要になってきます。

まとめ

 ここまで2022 J3 第17節 ガイナーレ鳥取vsAC長野パルセイロのプレビューをしてきました。
 お互いに順位表の現在地には満足していないはずの両チーム。前半戦のラストマッチということもあり、今季は長期のリーグ中断期間がありませんが、区切りをつけられるタイミングでの勝利がもたらす影響は少なくないでしょう。現在地からの浮上のきっかけとするためには、勝点1ではなく勝点3をとることに意味がある両チームの対戦。これまでの18試合で完全五分となっている成績を優位にするのは一体どちらになるのでしょうか。開催地のジンクスも含めて注目が必要です。
 今季のJ3で簡単に勝たせてもらえる相手はいません。それでも、勝点3を獲り続けなければ、悲願達成は遠のいてしまいます。昇格争いに向けて他会場の結果があまり気にならない段階・順位だからこそ、目の前の一戦に最大限の力を注ぎ、パルセイロファミリーで勝利を勝ち取りましょう!

獅子よ、千尋の谷を駆け上がれ。

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