佐々木俊尚さんにインタビューされた
(作家・ジャーナリストの佐々木俊尚さんが手がけるメディア「LIFE MAKERS」の記事の転載です)
【LIFE MAKERSな人々。Vol.02】
LIFE MAKERSでは面白い活動をしているメンバーに、佐々木さんが直接インタビューをするというコンテンツを展開しています!
第二回目のゲストはLIFE MAKERS立ち上げ当初から参加されている永井一二三さんです。
原宿のシェアハウス「THE SHARE」住人でもある永井さんは、ソーシャルメディアのディレクター兼コピーライターとして、「NIKE」のFacebookやTwitterの運営に携わってきた経験を持つ方です。さらに “シェア”をキーワードにリアルイベントを企画したり、アップルウォッチのレンタルサービスを世界で初めて実施するなど、面白いアイデアをもとにアクティブな活動をされています。
■インタビュアープロフィール
佐々木俊尚
1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社などを経て2003年に独立し、テクノロジから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く取材・執筆。『21世紀の自由論〜優しいリアリズムの時代へ』『キュレーションの時代』など著書多数。
総務省情報通信白書アドバイザリーボード。テレビ朝日「AbemaPrime」火曜日レギュラーコメンテーター。
■ゲストプロフィール
永井一二三 コピーライター
東京都江戸川区生まれ。大学卒業後、人材広告の営業やITサービスの企画・運営を担当。主にソーシャルメディアのディレクターやコピーライターとして活躍する傍ら、シェアハウスについてのイベントの企画や運営を行う。
佐々木(以下、佐):最近ネット界隈の企業やメディアが、リアルイベントを開催するケースが増えています。「LIFE MAKERS」もそうですが、リアルに集まれるコミュニケーションの場って、今もの凄く重要なんじゃないかと思っていて。永井さんはWebの仕事をしながら、リアルイベントのディレクションを手掛けてきたということで、まさに今求められているような仕事をしているなという印象です。まずはイベントのことについて教えてください。
永井(以下、永):前職時代になりますが、シェアハウスに関するイベント運営をやっていました。
佐:それはどのような?
永:シェアハウスの内覧会と絡めたイベントですね。いかに多くの方に内覧に来てもらうかということを軸に企画を考えたり、SNSを使ってプロモーションしたりという感じです。
佐:なるほど、集客の部分からということですね。リアルイベントにおける集客は結構大変ですよね。何かポイントはありますか?
永:来る方が事前に分かるっていうのが、大きい気がしています。FacebookやPeatixの普及でイベントの情報が出しやすくなりましたし、何より来る人がどんな人なのか何となく分かる。「おっ、友達が行くみたいだから、自分も行ってみよう」のような流れっていいなと思っていまして。
佐:なるほど、参加者が可視化されているので、内容はもちろん集まっている雰囲気や情景も何となく分かるというね。ネットとリアルの関係がすべてシームレスに繋がってきた、というイメージですね。確かに興味深いポイントですね。今はコピーライターをやっているとか。
永:そうですね、外資系のエージェンシーで働いています。
佐:Webのコピーライターの仕事は、今後どのような方向に向っていくと思いますか?
永:活動領域がどんどん広がっていくんじゃないかと思っています。例えばソーシャルメディアの運用やクラウドファンディングを立ち上げる時も、「どういう伝え方をすればインパクトがあるか」というのは、コピーライティングのスキルが重要になってきます。他にもInstagramは画像の印象が強いですけど、検索はテキストでするので、そこのワードにはコピーライティングが活きてきます。
佐:人間を惹きつけるコピーはもちろん、検索にもうまく認識してもらわないといけない…。両立が求められるってことね。
永:そうですね。そう考えると、かなりいろんなことを考えながらコピーを作る必要があります。
佐:アメリカの新興メディアも、FacebookやTwitterで見出しをどうするかというのが、もの凄く重要な課題になっていて。最近では”Curiosity Gap=好奇心ギャップ”が問題になっているケースが多い。
永:それはどういうものなんですか?
佐:すごく好奇心を駆り立てるタイトルなのに、記事にいったら全く面白くなかったり、ひどいものになると内容が違っていたり…。見出しだけ見ると好奇心を掻き立てられるけど、実際の記事の中身は面白くないというね。
永:確かに釣りタイトルのようなものは、頻繁に見かけるようになりましたね。
佐:Facebookはこのギャップが高い記事は離脱が早いので、配信メディアのエッジランクを下げて、タイムラインに載せないという施策をとったようです。なのでメディア側はアテンション・ミニッツをいかに長くするか、という対策をし始めている。
※「アテンション・ミニッツ」:物語がどう読まれているのかを計測する手段で、読んでいる時間だけでなく、もっと多角的に読者の行動を見るもの。
永:記事を長文にしていくということですか?
佐:というのもそうなんだけど、どちらかというと、記事の中にジョークをたくさん入れたりして、訪問者のアテンションを最後まで切らさないような仕掛けをする、などの試みですね。注目されている時間が長ければ長いほどいい記事だ、ということをプラットフォーム側が指標にしているので。しかもスマホの普及でより画面がシンプルになって、見出しが目に入りやすくなっている。
永:コンテンツの中身も重要ですが、ますます記事をパッと見た時の印象が大切になってきますよね。瞬間の勝負といいますか。
佐:見出しを目にする時間はもの凄く短いからね。1秒くらいじゃないかな。そう考えるとWebのコピーライターの仕事は、これからますます重要になってくる。恐らく次のフェーズは、ビッグデータ分析から最適なアルゴリズムを導き出して、自動で効果的なコピーを作るようなシステムができそう。
永:そうですね。そうなるとコピーライターはコピーを考えるだけというより、どこにテキストや画像を配置して、どのSNSにどうやって情報を出していくか、などを総合的にディレクションしていくような方向になりますね。
佐:そう考えるとまだまだWebにおけるコピーライトの分野もニューフロンティアなところがあり、可能性は広がっているよね。新しいSNSのプラットフォームだって次々に出てくるだろうし。
永:ちなみに佐々木さんが好きなコピーってどういうものですか?
佐:そうだね、やっぱり知性と教養を感じさせるものが好きかな。この人これを知ってるからこの言葉を使ってるんだろうな、とか。例えば古い小説の一説をもじっていたりすると、「うまいな〜これ」と思うし。そういう知性の閃きを感じるものが個人的には好きですね。釣りコピーが溢れてる中で、そうじゃないある種のプライドを感じさせるもの。
ちなみに「LIFE MAKERS」に参加してどうですか?
永:冒頭のお話じゃないですが、リアルイベントがあって、ゲストの方に直接お話を聞けるというのが大きいと思います。しかもクローズドな情報なので、実は一番気になるところを聞かせてもらえるというのは貴重ですよね。
佐:意外にこんな話もしてくれるんだ、というゲストの方もいて毎回面白いよね。メンバーとのコミュニケーションはどうですか?
永:そうですね、面白い活動をしている人が多いので、今後はメンバー同士や運営側の人と一緒にコンテンツやサービスを作れたらエキサイティングですよね。実際に何か企画が動き出したら面白いんじゃないか、と思っていまして。せっかくの機会なので、与えられるだけじゃもったいないですから。
佐:そういう志の高い人がたくさんいるし、職種もさまざまなので、いろいろなことができそう。まるでコワーキングスペースで一緒にいるような感覚で。
永:うまくマッチングして、それがどんどん加速していけばいいなと思っています。
佐:できることは何でも協力しますので、ぜひ何か生み出してみてください。楽しみにしています!
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