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14歳でエヴァに出会った男の思い出供養とシンエヴァ感想(一部)

初投稿。想いの供養先がどこにも無くてnoteに場所を求めてみました。

1996年の14歳から24年後の今に至るまでの出来事を思い出しながら、最後にシンエヴァの感想を書いていこうと思います。

考察の類はありません。そちらにはあまり明るくないので、考察好きな方には的外れに映る部分も多々あり、ではないかと思いますが、その点に寛容的でない方は回れ右です。各々のエヴァ感を大切にしていきたいです。


ネタバレがありますよ。


■ある物語世界の終わり

初っ端からエヴァと関係のない話をしますが、魍魎戦記MADARAという作品をご存知でしょうか。

『魍魎戦記MADARAシリーズ』(もうりょうせんきマダラシリーズ)は、『魍魎戦記MADARA』(原作・大塚英志、画・田島昭宇)に端を発する一連の作品群である。漫画、小説、コンピュータRPG、OVA、ラジオドラマ(CDドラマ)に展開するメディアミックス作品群。様々なメディアで展開される108編の物語により構成される膨大な作品群で、基となる「始まりの大陸」での物語と、メインとなるキャラクター達が転生した様々な時代の物語からなる。全ての物語が語られているわけではなく、未完のものが多い。
(出典:Wikipedia)


北東北の一都市に住む私は、本屋に行く度にこのシリーズのいずれかの新刊が出てやしないかと、棚を一通り見て回ったものです。(そもそも入手出来ないタイトルも存在したため、想像で補完していました)しかし、その中でも完結したのは4,5タイトル程といったところでしょう。

そんなマダラシリーズ、永遠に終わらないと思っていましたが、16年ほどの歳月をかけたのちに原作者の小説によって終止符が打たれて以降、新作は出ていません。終わったんですね。しかし個別のタイトルには未完の作品が多く、未だにモヤモヤしています。

今回いよいよエヴァが終わるようなので、マダラのことをふと思い出しました。エヴァはちゃんと終わってくれて良かった。いや、一度終わってたんだった。そしてまさかこんな形でもう一度終わるなんて。思いもしなかった。

エヴァに出会った中二

1982年生まれの私がエヴァにハマったのは、1996年、ちょうど主人公と同じ14歳の時でした。季節は覚えていませんが、エースで読み始めたのだろうと思います。

しかし連載がなかなか進まないものだから、アニメを見始めました。レンタルビデオで。しかしこれがまーーーーーーーーーーーー借りられない!!なんで各1本ずつしか置いてないんだ!(黄色いレンタル屋でバイトするようになって知りましたが、レンタル用のメディアって高いんですよね。)しかも20話までで更新が止まってやがる。ふざけんな。若いゲンドウ見せろよ!!!でも20話観れてよかった。色んな意味で。

そんなわけでスローペースで履修しつつも最終的には21話目以降お預けを食らい、我が家にはインターネットがまだ来ていなかったため、雑誌やムック本で残りの知識を吸収していったように思います。

その中でも特に気に入っていたのが「シト新生」のチケット特典だったCDです。このCDを聴くまで渚カヲルの声を聴いた事がありませんでした。収録されているドラマはお祭り的なノリで好きだったのを覚えています。ジャケットにプラグスーツを着たトウジが描かれていて、きっと劇場版ではトウジも活躍するんだ、などと思っていました。中二にもなってまだまだ無邪気で可愛いですね。

シト新生

の、前に劇場で21話目以降の上映会が!!!やっと!!!24話の初見が映画館なんてツイてるな俺。また、この辺から生まれて初めて自分の中のオタクが開花した気がします。グッズを買い集めたり、部屋にポスターをベタベタ貼ってみたり。

肝心のシト新生ですが、構成は予めアナウンスされていたものの、REBIRTHは最初から最後まで予想外。アスカ派だった私はその大活躍っぷりに興奮するとともに、胸を撫で下ろしたのでした。魂のルフランが流れるシーン、大好き。9対1でも今のアスカが負ける訳ない。負けそうになるかも知れないけど・・・シンジの初号機が駆け付けるんだ、きっと。

Air/まごころを君に

年に一回は見返すのですが、その都度「今度こそ弐号機が暴走・・・かなんかで量産機を殲滅するのでは」とか、「今度こそシンジがアスカの窮地を救うのでは」とか、心のどこかで期待しながら観てしまいます。

ターミネーター2のシュワちゃんは何度観ても溶鉱炉に沈んでしまいますし、アナキン・スカイウォーカーはいつも例外なく暗黒面に堕ちてしまうのでそんなことはあり得ないのですが、それでも。

少なくとも当時の私には、旧劇は救いのない作品に感じられ、深く爪痕を残しました。アニメから現実に帰れ、というメッセージも受験で鬱屈していた私には逃げ場が無くなる恐怖を感じてしまいました。(今思えば、旧劇について語る友人には恵まれていたので贅沢ですね。)

だって、これで終わったんですから。アスカがズタボロにされて、シンジはヘタレで・・・ヘタレだけど、シンジが肉体を持つ世界を望んだところで一旦期待しちゃう。でもやっぱりアスカが怖くて、「気持ち悪い」って言われて終わり。変な笑いがこみ上げてきた。

呪縛

それからというもの一時的にエヴァから抜け出せなり、考察本にのめり込むようになりました。3,40冊買った中には「スキゾ/パラノ」といった良書もありましたけど、大半は今でいえばyoutubeで10分弱のコンテンツと化して次々に消費されていくような内容です。でも、宗教観だとかは勉強になりました。

そんな私も高校生になり、新たな交友関係も生まれ、彼女ができたりフラれたり、バイトで働くことも体験しました。でも目標は特に無かった気がする。その後は上京したり、アメリカへ留学したり、忙しく日々が過ぎていくなかで、エヴァは過去のものになっていきました。

まだ定期的に旧劇は見返しており、呪縛から解放された訳ではありませんでした。エヴァ並みに何かにハマるということも無かった。

新劇は公開されたことすら知らなかった

新劇が公開される頃、私は仕事で知り合った女性と結婚していました。決して余裕のある生活ではなく、日々を過ごすので精一杯、という感じでした。

公開して暫くたった頃(だと思う。近場の劇場では既に上映されていなかったので)にネットか何かで新劇の情報を読みましたが、再編集版程度に捉えていた私は、結末は変わらないのだから、とスルーしていました。なので映画館では未鑑賞です。

古い友人に誘われて「破」を観に行くことに

「破」の公開が間近になるころ、「どうやら新劇はただの再編集版じゃないらしい」という程度には知識を持つようになっていました。

友人に誘われ「破」を観に行く前に勿論予習として「序」を家で鑑賞しました。何だかカラフル。きれい。どうやら自分が知っているエヴァと微妙に違う世界みたい。旧劇後に一周して、またエヴァをやり直してる世界、という印象を受けました。

その後鑑賞した「破」ではまたしてもアスカが酷い目に遭ったわけですが、劇中は謎だらけで、96年に戻ったような気分で一晩中ファミレスのすみっこで友人と語り明かしました。

しかし。やっぱりこの世界でもアスカは酷い目に遭ってしまいましたし、結末に関しても諦めていたため、エヴァへの気持ちは再燃するでも冷めるでもなく、燻り続けました。

東日本大震災

2011年3月11日

私が住む町も大きな被害を受けました。その頃私には生まれて間もない子供がおり、妻と子に覆いかぶさって揺れが収まるのをただ待つしかありませんでした。永遠にも感じられる程の長い揺れだったと記憶しています。

現実がフィクションを上塗りしていく感覚は忘れられない。

福島に庵野監督と宮崎駿監督が来た、というニュースで久々に庵野さんの名前を聞いたような気がします。

「Q」が公開される頃には父親になってました

同世代の同僚と何とか時間を合わせて「Q」を観に行きました。

この頃にはすっかり思考がミサトさん(年齢追い越しちゃったなあ・・・)寄りになっていたので、シンジがただただ憐れ・・・と思いながら見ていました。今思えばシンで明かされたミサトさんの気持ちは、Qを見た時の私の目線に近かったのではないかと思います。

とはいえ、「ミサトさんどうして・・・」と感じながら序盤を見守ったわけで。いい気分ではなかったですし、続きが気になって仕方がない・・・我ながらチョロい客だな。

■シン

以下、印象に残ったところだけ。

・第三村

異物を異物と思わない優しい世界。挨拶を「おまじない」と説明するヒカリが素敵。言霊はあると思っています。

こんな優しい世界あるわけない、かも知れませんが作者があると思えば、作品の中には確かに存在し得る世界。あのカタストロフィー後の世界にこんな村があることを想像できるなんて、随分変わったなあ。

旧劇のあの赤い海が広がる世界のどこかにも、あり得たんだろうか。無さそうだな。

・アスカとケンケン

気になる事があり過ぎて見落としてたんだと思いますが、アスカを含む3人は「たまたまケンスケに発見されて第三村に来た」と暫く思い込んだまま見ていたので、ニアサー以降アスカが第三村を守って生活してきた、という事に気が付くまで時間がかかってしまいました。

心地よい距離感で傍に居てくれる年上の男性が見つかってよかったね。と素直に思いました。
今までそんな描写は無かったし、「アスカは酷い目に遭う」ことも含めて予定調和だと思っていたので、束の間の救いを二人の関係性に見ることができた、それだけでも満足。すっかり飼い慣らされてしまった。
アスカが一番好きだし幸せになってほしいけど、いつの間にか物語上の演出で不幸を背負わされることも含め、慣れてしまっていたのかな。

・ゲンドウくん

今回一番ぶっ飛んだ描かれ方をしたのは彼じゃないでしょうか。アスカの目からうまい棒が出てきた時よりびっくりした。わざわざ拾って戻すなよ・・・脳・・・。まだ肉体に未練でもあんのか。

最初(アニメ)から一貫してブレない男、ゲンドウ。ある意味社会人として見習いたい。巻き込む規模が半端ないけど、何度計画を潰されようとも目標を諦めないところだけは評価できる。

いち既婚者として、ああいう別れ方をすれば「もう一度愛したあの人に会いたい」だとかそういう気持ちになるのは分からないでもないですが、同じくらい大切な人がすぐ近くに居るじゃないですか。そこに気が付けて良かったね。

エヴァ名物"説教電車"を受けるゲンドウ、という絵を見る日が来るとは思ってなかった。しかも相手が息子。いつか私も息子に正論吐かれて説教されるんだろうか。怖いなあ。

・ミサトさん

旧劇では自分で決断することの大切さを説き、シンジをキスで送り出すミサトさん(シン鑑賞後だと更に味わい深い)。今回はシンジの方も大きく成長を遂げたこともあり、前向きな別れになりました。ネモ船長も真っ青の散りっぷり、見事。何度も失敗・後悔しながら、少しずつ前に進んできたミサトさんの集大成だったと思っています。

最愛の人との間に授かった子供に、自分が親であることを告げずに逝く、というのはどういう気持ちなのだろう。あの世界では親のいない子は珍しくないだろうし、それなりに苦労はするんでしょうが、リョウジくんはさぞ頼れる男に育つのだろうなと。

・アスカ

色んな意見があるみたいですが、私は「漸く救われた」と思っています。今回で一番嬉しかった。シンジが告白したアスカは、惣流だとしても、式波だとしても、私にとっては同じアスカです。

カヲルくんが言うように世界がループしていたのなら、生まれや名前は違えど、中身は一貫して同じ「アスカ」なんだと思っています。

冒頭に記した"マダラ"には「霊性」の概念があり、何度生まれ変わっても悲惨な運命の筋書きから逃れることの出来ないキャラクターが居ます。カヲルくんの棺の数だけアスカが何度も何度も繰り返し苦しんでいたと思うと、やっとその連鎖が断ち切られたのだ。という気持ちで見ていました。

あのバカシンジごときに顔赤くしちゃって、めちゃくちゃかわいいじゃん・・・

シンジがアスカを託したケンケンといずれ一緒になるのか、或いはいつか彼の元を巣立ち新たな世界で別の誰かと巡り合うのか、分かりませんが、人生を切り拓く意思に満ち溢れた彼女であることを信じています。

・トウジ

時々居ますよね。大化けする旧友。
そんな人を見ている気分でした。未来はいつだって真っ白なのだ。
プラグスーツは着ていなかったけど、結果的に大活躍だった。

・レイ

昔からレイにはあまり興味が湧きません。なぜだ。
なので感想が出てこない・・・初号機暮らしの長さを物語るロングヘアは素敵でした。
お家芸の巨大化が披露されちゃった時は、今回も首がもげるのだろうか、と思った。もげてない・・・よね?
マジで印象が薄い。大丈夫か。

・シンジ

自ら決断し立ち上がり、親父にタイマンを挑み、ボコボコに・・・ではなく、エゴの権化のような父までも許し、救ってみせたシンジ。
あそこまで内面が成長したことを強調するなら、メタファーとしてのタイマンでも何等かの形で勝利させてあげても良かった気がします。

アスカも救ってくれました。しかも今世のアスカだけではなく、1周(?)前の世界まで遡って赤いプラグスーツのあのアスカも。前世の記憶があるのか、ちゃっかり告白までしてましたね。マリが頼む必要、無かったのでは。

ラストシーンではマリに手を握られて駅の外へ駆け出すシンジですが、彼もアスカと同様に、いずれマリと袂を分かち、作品の中では名も無い誰かと幸せを築いていくのかも知れません。エヴァでは作品に描かれていることが全てだった事など一度も無かったんですから。
仮にもしそうなるとしても、固く閉ざされた彼の心の扉を開いたのは、レイであり、アスカであり、ミサトであり、マリだったことを、自ら輪廻を断ち切った彼の「霊性」は忘れないのだろうと思います。

・カヲル

おい!!!!!いい感じに終わりそうなのに何また特大の謎単語ぶっこんでくれてんだ!!!ばかやろう!大好きだばかやろう!

旧劇からのループ、までは念頭に置いて見ていた新劇でしたが、(既出とはいえ)彼の棺の数だけこの残酷な運命が繰り返され、その度に彼の頭部は胴とさようならしてきたのである、という風な事をわざわざ説明されると、改めてその過酷さ、それでもシンジに寄り添えるカヲルに敬礼、という気持ち。

なんたって彼の場合全部覚えてるんですから。宿願叶って救われて、よかった。

・まだ書き足りないから二回目見たら書き足そう。

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