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ナディアが導くアクティブシニア時代:新ソリューションの開発秘話

こんにちは、ナディアのディレクターの森崎です。
9/16(月)敬老の日にナディアでは、新ソリューション「nadia SENIOR UI/UX METHOD(SIXM)」の提供を開始しました。
私はこの1年、このプロジェクトに参画し、取り組みを進めてきました。
今回はこのプロジェクトが立ち上がった経緯やどのような方法でメソッドの開発を進めたかについて、お話をしたいと思います。
なお、新ソリューション「nadia SENIOR UI/UX METHOD(SIXM)」について詳しく知りたい方は、以下のページから詳細な資料をダウンロードすることができます。ぜひご覧ください。


1.プロジェクトの経緯

約1年前、ナディアでは今後の主力サービスを開発する「next nadia project」が発足しました。
「next nadia project」にはいくつかプロジェクトがあり、その中の1つがこのシニア世代向けのUI/UXメソッドを検討・開発していくというプロジェクトでした。どのプロジェクトも参加は自由で、個人の裁量でプロジェクトへの参加を選択することができました。

私には還暦を過ぎた両親がいます。
休暇に帰省すると毎回「このアプリを使いたいから登録して欲しい」「このサービスの解約の仕方がわからないから解約して欲しい」などのお願いされます。離れて暮らしているおり、なかなか親孝行もできていないので、帰省時のこのようなサポートは親孝行の一つだと思ってきました。一方で、頻繁に帰省できるわけでもないため、両親のようなシニア世代でも使いやすいサービスやアプリが増えれば、良いのにとずっと思っていました。
そんな思いから、私はこのプロジェクトに参加することを決めました。

2.自らの体験や仮説に基づいたファクトの羅列とその観点をベースにしたディスカッション

メソッドを検討するにあたって、私たちはプロダクトアウトの手法を利用しました。プロジェクトメンバーは、自分や両親の体験談などから課題を導き出し、それに伴う仮説を立て、解決するためにアイディアを持ち寄りました。
例えば

課題
スクロールしようとして余計なリンクをタップしてしまう。
急に広告が出てきて怖くて画面を触りづらい。
仮説
タップしてアクションがある箇所が直感的に分かりづらい。
アイディア
リンクする箇所は誰が見ても分かるようにする。
タップエリアの境界をはっきり見せる。

などの意見が集まりました。
そして、集まった意見は4象限マトリクスに分類し、整理を行いました。

整理の軸としては、その問題が身体機能の衰えによるものなのか、それとも認知機能の衰えによるものなのかという横軸と、その問題を解決するための方法がソフトによる対応が必要なのか、ハードによる対応が必要なのかという縦軸で分類を行いました。
この分類を行うことで、ナディアにおけるシニアUI/UXプロジェクトが解決すべき領域が明確になりました。そして、プロジェクトメンバーが持ち寄った課題と仮説をまとめ、今回開発すべき初期スコープの設定を行いました。

3.世の中のデジタル×シニア問題のリサーチ

次に私たちは、コンセプトや具体的にどんな開発をしていくかをイメージした上で、世の中のデジタルとシニア問題について、改めてそれぞれの視点で調査結果などのリサーチを行いました。
先に、自分たちの身近な課題に着目してディスカッションを重ねていたことによって、先入観にとらわれることなく、リサーチを進めることができ、結果としてよかったと思っています。
また、リサーチを進めていくと、プロジェクトで立てた課題や仮説を問題として感じている人が多くいることもわかり、自分たちの方向性が間違っていなかったことを実感することができました。

さらに、ネット上でのリサーチとは別に仮説により具体性を持たせるため、ナディア社員のご両親やその友人(50~70代の方)にアンケートをお願いしました。
このアンケートによって、より具体的なシニアの方々の状況や問題を把握することができ、この後のペルソナ設定にも大いに役立ちました。

4.マーケティング観点からのターゲットペルソナの設定とユーザージャーニーの作成

次にターゲットとするペルソナの検討を行いました。
ターゲットペルソナを設定するにあたって、まず年代別に各世代の特徴の調査を進めていきました。

 ・団塊世代、バブル世代、団塊ジュニア(氷河期)世代、団塊ジュニア(ミレニアル)世代といった世代の特徴
 ・ 現在の人口構成
 ・それぞれの世代の資産状況
 ・仕事や生活の状況
 ・身体的な衰え
 ・ネット知識など

現在の人口構成や資産状況、生活スタイル、身体的な衰えなどを考慮し、
短期的メインターゲット:資産がありセカンドライフを楽しむバブル・団塊世代
長期的なサブターゲット:団塊ジュニア(ミレニアル、氷河期)
とすることに決めました。
ターゲットとなる世代が決まったので、ここからはその世代をより深堀りしていきペルソナを生成していきました。
その結果、「バブル世代/QOL向上」「団塊世代/QOL向上」「バブル世代/利便性向上」「団塊/利便性向上」の4パターンのペルソナにまとまりました。

5.シニアUI/UX設計とモックの制作

ここまで調査してきたことを元に、改めてナディアとしてのシニア向けUI/UXはどうあるべきか、プロジェクトメンバーでディスカッションを行いました。
その結果、「一般的なUI/UXではペインを乗り越えさせるような体験設計を重視しますが、ナディアのシニア向けUI/UXではそうある必要は無い」という結論に至りました。
ナディアのシニア向けUI/UXではユーザーの寄り添い、理解しやすい設計を基本としました。

その後、最初にまとめていた仮説をとりまとめ、メソッドのベースとなるものに振り分けていきました。
ある程度メソッドのベースができた時点で、シニアユーザーにメソッドを適応したサイトを実際に操作してもらい、その使用感を確認するためのモックの制作に着手していきました。
モックの作成に関してはメソッドを用いたサイトの改修を想定し、まず既存のECサイトをベースにモックを作成。そのサイトに対してメソッドを適応していくという手順を取りました。ここで制作した既存のECサイトベースのモックはアンケートの際のブラインドテストにも使用しました。

6.ナディア独自のデザイン観点とアクセシビリティ観点のメソッド化

一般的にシニア向けのデザインと言われると、シンプルなデザイン、大きな文字やボタン、といったことをイメージされることが多いと思います。私もこのプロジェクトを始めた当初はプロジェクトの方向性として、デザインをUI/UX化していくことになるのかとイメージしていました。 しかし、そのアプローチでは実際に使用したいと思えるデザインとなっていなかったり、使用したい機能まで使用しづらい状況となっていました。
私たちは、アクティブシニアが増加傾向にある今、シニア向けのデバイスやサービスにも、機能的価値だけではなく、使っていて「楽しい」と感じられる情緒的価値の追求も必要だと考えました。

7.シニア向けにアンケートの実施

次に行ったのは、メソッドを元に制作したモックを実際にシニアの方々に操作していただき、その使用感をアンケートにて調査しました。

使用感を確認するインタビューの様子

アンケートは、ブラインドテストとしてのWebアンケートとデプスインタビューを行いました。
結果は以下の通りです。

メソッドを適用したサイトのほうが
操作しやすい:71%
迷いにくく、分かりやすい:69%

このように、メソッドが実際に効果があるという確証が得られたため、 2024年9月16日(月)敬老の日に、正式に「nadia SENIOR UI/UX METHOD(SIXM)」を公開する運びとなりました。

以上が「nadia SENIOR UI/UX METHOD(SIXM)」の開発過程となります。

通常業務の間の時間を使いつつ、約1年という時間をかけて進めてきたこのプロジェクト。プロジェクトメンバーと一丸になって進めてきたプロジェクトが無事にリリースされて、今はとても嬉しく思っています。
そして、いよいよこれからはこのメソッドをより多くの方にご活用いただくステージになります。このメソッドを多くの方にご活用いただくことで、より多くのシニアの方が、デジタルをより身近に感じ、そして自分たちも使える!もっと様々なことにチャレンジできる!と思っていただけるような社会になってほしいと思っています。
最後になりますが、この記事で少しでもメソッドに興味を持っていただけたら幸いです。

【新ソリューション nadia SENIOR UI/UX METHOD】


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