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カンヌで日本初のデザイン部門グランプリに輝いたのは”ハムスターのかわいい電気”?

コンセプトは「見えない電気に姿を与えるプロジェクト」愛しさを感じる、21の方法で充電された、21本の電池にまつわるが伝えるメッセージ


こんにちは!DMG(デジタルマーケティンググループ)の高橋です。
今回、私は2016年のカンヌライオンズにて日本初のデザイン部門のグランプリを受賞した「Life is electric」(ライフ イズ エレクトリック)をご紹介します。

「Life is electric」プロジェクト

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Panasonicの充電式乾電池「eneloop(エネループ)」の発売10周年のアニバーサリーとして実施されたこの啓蒙PR。
120秒のオフィシャルCMでは、下記のメッセージからはじまります。

We conducted an experiment in which we charged 21 eneloop batteries with energy created in daily life.
日常生活の中で作られたエネルギーでエネループ電池21個を充電する実験を行いました。

physically and emotionally.electricity touches our lives in thousands of amay.
but because we cant see it ,weoften take it for granted.
電気は何千もの形で私たちの生活に触れていますが、
目に見えないもののため、そこにあることが当たり前のものだと思っています。

What if we coulds see electricity ?
もしも電気を”見る”ことができたら?

水、ガス、電気…さまざまなインフラが当たり前に整備され、安定して供給される日本。
そんな環境の中、重要なエネルギーである電気を視覚化することで、その価値を再認識することがこのプロジェクトの目的とされました。


カンヌ絶賛!”ハムスターのかわいい電気”

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プロジェクトでは、様々な方法で電池の充電が行われ、その様子を受電機材の組み立てから実際に充電される様子まで映像で納められています。
その方法と、実際に充電された「電気」がこちら。

・ハムスター6匹で3台の回し車で実働60分間充電した「ハムスターのかわいい電気」(充電率0.34%)
・10人の子どもが遊具を回転させて実働63分間充電した「子どもたちの元気な電気」(充電率99.5%。子どもたちすごい!)
・大人3人が10セットの練習でポンポンを振動させ実働12分間充電した「チアガールのはじける電気」(充電率0.25%)

などなど。
映像はそれぞれ1分尺程度の短いものですが、それぞれの1本ずつにこめられた実験時間とストーリー、
それをイラストで表現された電池1本1本のパッケージに、電気に対する愛しさがわいてきますね。
個人的に、ハムスターが回し車でコロコロ発電している姿に、エールを送りたくなりました。
カンヌ審査員からも「恋に落ちた」という賞賛の声が寄せられたそうです。


アイディアの鍵は「プラットフォームのハック」

PR内容の中で特に「実際に充電したeneloopをAmazonで販売、メッセージを消費者の手に届けた」という点に注目しました。
プラットフォームの合法的なハックは近年の海外事例でも見られる手法。
国内ではまさに、このプラットフォームハック手法の先駆け的な存在だったのではないでしょうか。
(※画像はスーパーボウルCMをハックした事例”IT'S A TIDE AD”。2019年度のカンヌライオンズCreative Effectivenessで金賞を受賞しています。)

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<おわりに>

シュールでユーモラス、かつわかりやすくエネルギーから電気が等価、充電されていく様子はとても好きな世界観でした。
電気に対して、ほっこりとした愛着を持つことができる、素敵な事例だと感じました。

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