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ジェンダーレスを目指す自動車メーカーのデータ活用

実は男女平等でなかった自動車

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「平等に安全な自動車作りのために」
このテーマを世界的な自動車メーカーが掲げた際、きっと多くの人々が違和感を覚えたでしょう。
今まで自動車を運転するとき、女性ドライバーは男性と同様に安全だと思い込んでいました。
しかし、今でも多くの自動車メーカーでは、男性の衝突試験用デコイを用いた実験に基づいてクルマが設計されており、実は女性がむち打ち症になるリスクは、男性と比べて高くなっていました。
このように男性を基準として作られた車では、女性は男性よりも71%も高い確率で深刻なけがを負いやすく、17%も高い確率で死に至るのです。

過去40年間の事故データを公開したボルボの施策と周到なマーケティング施策

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このことを公開し自動車業界全体で、女性も安心して乗れる車を。平等なクルマを作るためにアプローチしたのが、世界的な自動車メーカーであるボルボです。
彼らは1970年代から40年間にわたって調査・分析してきた72,000人を対象とした43,000件にのぼる自動車事故データをパブリックな資料として自社サイトに公開。車業界全体に利用できるデータとして共有し利用を促しました。

一見するとこれらのデータを用いてプロモーション施策を考える際、自社の優位性を示すだけの単純な案が考えられがちですが、本事例では意図的に視点を高く持ち、売り上げではなく業界全体での立ち位置の確立、囲い込みが難しいとされていた女性ドライバー(を家族にもつ決済者)の取り込みに成功したと言えます。

本事例はそのままでは小さなマーケティング要因にならなかった自社データを切り口をジェンダーレスなど世界的な関心に適応した切り口、展開により大きな成果を出しました。
よく、物事を多角的な視点で捉えることを "「虫の目」、「鳥の目」、「魚の目」で見る" と言われますが、今回は世界の潮目を見極めた見事な「魚の目」が発揮された事例と言えるでしょう。

DMG 中村



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