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雲の上はいつも澄んでいる

今日は義父を見舞うために、熊本へ。
夫は一足先に帰熊しており、
わたしはひとり窓際に座り、機上から空を眺めた。

どこまでも澄んだ青が、
たなびく雲の上に、限りなく広がっていた。
なんて綺麗なんだろうと見とれたのもつかの間、
思わず、目を伏せてしまった。

朝から東京は暗く、冷たい雨が振り続いていた。
雲のしたの、どんよりした鈍色の世界を思うと、
まるで真逆の、美しすぎる鮮烈な青が怖かった。

下界の天候に関わらず、ここはいつも澄んでいる。季節によって色味が若干変わるのかもしれないけれど、常に青い。それ自体もひどく不気味で神秘的だ。

そうか。
わたしのこの怖さは、「畏れ」だ。

とても腑に落ちて、顔をあげた。

今度はしばらく見続けることにした。
気を強く持って。
畏れを知ることが、いまは大切だから。

「なんて綺麗なんだろう」
素直にまたそう思って、その先を見つめる。

機体が激しく揺れた。天候が悪いせいに違いない。
どこかほっとする、自分がいた。

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