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SailGP ピットからの景色2

7チームが各国代表として世界を転戦しながら優勝賞金100万ドル(約1億円)を懸けて戦うヨットのプロリーグ「SailGP」。時速100kmで走る船のちょっとマニアックな内容を数回に分けてお届けしたいと思います。

今回は「水中翼」についてです。

デカいが繊細なダガーボード

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この水中翼は最も重要なパーツの一つです。手で直接触ると皮脂が付いて水が剥離してコントロールを失い易くなります。しかもサラッと触っただけで傷が付きます。かなりデリケート。取り扱いには細心の注意を払います。

メインフォイルはハイスピードボード(2.4m)とライトエアーボード(2.9m)の大きさ(面積)が違う2種類の水中翼があり、「今日はこっちを使ってください」と毎日お達しがあって、指定されたボードを入れ替えて使う為、「明日の予報は朝になってみないと分からないから今日使ったボードは抜いておこう」なんてやり取りもあります。

直前になってボードの入れ替えがあったりするのですが、入れ替えが大変、、。中身はチタンなので超重いんです。6人くらいで「行くでー、せーの!」といった感じで運びます。

ボードに引かれたオレンジと白の線は飛んでいる時の高さを可視化出来る様にしたものです。

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↑この写真は整備中なので例外ですが、リーディングエッジ(水中翼で最初に水が当たる場所)は基本的に上に向けて置きます。1枚目の写真が正しくて、トレーディングエッジがトンガっているからと言って下向きに置くと傷が付いて乱流が発生し易くなります。リーディングエッジはめちゃくちゃ重要なのです。

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因みにこのボード達は800〜1200番のペーパーで磨かれていきます。こんなデッカいボードのサンディングを全て手作業で行ってるので相当大変です、、、。

尾びれの様なラダー

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ラダーエレベーターも風の強弱に合わせたライターセットとヘビアーセットの2種類あって大きさが違います。(写真のセットは同じ大きさのもの)

↑これもめちゃくちゃトンガっていて少しでも取り扱いを間違えたら手が切れて血が出ます。

因みにラダーバーティカル(ラダー)もチタンで出来ています。

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これは幼稚園や小学校で使う工作用粘度です。聞いた時、え?これ使うの?ってビックリしました(笑)。

バーティカル(ラダー)とエレベーター(フィン)を繋いでいるボルトの凹みをこれで埋めてサンディングして加工し、黒色にペイントしたら完成です。

↓赤線の上下でパーツが別れます。見え難いですが黄色の矢印が工作用粘度が使われている箇所で、デコボコを埋めて平らにする事により水流が乱れずスピードアップに繋がります。

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SailGP のテントでは目から鱗な事が頻繁に起きていてとっても勉強になります。もっともっと勉強してスキルアップします!

今日も読んで頂き有難うございました。

では次回もお楽しみに!

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