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第22回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権準決勝ラウンドレビュー

12月22日(日)に静岡県浜松市にあるサーラグリーンフィールドにて、第22回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権準決勝ラウンドが開催されました。
浜松市で行われる準決勝ラウンドは今回で3回目です。私たちもこの地に3年連続で来させていただいています(3年連続で浜松餃子は食べれていません)。

毎年連戦となるこの準決勝ラウンドを勝ち抜くことは、私たちだけでなく、ベスト8に残ったすべてのチームが苦しむレギュレーションであり、各チームの力が試される面白いラウンドでもあります。

第1戦はA-pfeile 広島 BFCです。
広島と私たちはチーム創設の年が同じ(2016年)の同級生クラブです。
そんなこともあって個人的にはとても近い存在に感じており、これまで2名広島に所属している選手を練習パートナーとして受け入れており、互いに高め合う関係性でもあります。
(もっぱら、広島東洋カープファンの私は広島を応援しないわけにはいかないのです。)

さて、広島戦を迎えるにあたり、いつものごとくチーム戦略・戦術を考える訳ですが、なかなか勝ち筋が見えず、苦しいゲームになることが戦前から予測がつきました。
正直に言うと『負けるならここ(広島戦)かな』と思っていました。
各ポジションにバランスよく選手が配置されており、それぞれに個性のあるチームでタイプ的にも私たちに近いチームです。

では、レビューです。
【2024年12月22日(日) 10:00K.O. vs A-pfeile 広島 BFC】
結果:1-0◯
得点 fbm:園部(1st)
得点 広島:なし
fbmスタメン:泉健也(GK)、永盛楓人(FIXO)、園部優月(左ALA)、鳥居健人(右ALA)、北郷宗大(PIVO)
《システム・フォーメーション》
保持時:ダイヤ型
非保持時:ダイヤ型

《チーム戦略&戦術》
ミーティングで使用したチーム戦略・戦術の資料です。
ゲームのテーマは『風林火山』です。

戦略と戦術 【戦略】 ボール保持時 ①縦にハヤク(体技心)、鋭く前に出る。 ②相手陣のより高い位置でボールを保持。 ボール非保持時 ①徹底的に縦方向のプレーを消す。 ②マークを明確にして、自由を奪う。 【戦術】 ボール保持時 ①相手の「脆い』ところを「全員』で見る。 ②チャンスとあらば全員で「前に走る』。 ボール非保持時 (縦へのプレーを最優先で消す。 ②相手の得意を徹底的に消す。 ③チャレンジと仲間のカバー。
広島戦のチーム戦略・戦術

広島戦の戦略・戦術を考える上でベースにしたのは直近のLIGA.i第3節の品川CC パペレシアルとのゲームです。
品川は川村怜選手という日本で最高のタレント性を有しているプレーヤーを中心に主導権を握るチームです。私たちも何度も川村選手を前に苦杯を喫してきた経験がありますから、対策も練りにねってきました。
直近のLIGA.i第3節は北郷の決勝点で1-0で勝利したゲームですが、このゲームは守備が良かった。相手に決定機を作らせず、4局面で主導権を握れた私たちにとっては『成功体験』になったゲームです。

今回の相手は広島ですが私としては、LIGA.iを制した品川と同等の力を持つチームだと想定をして準備をしました。

《戦況と反省》
●1stピリオド&2ndピリオド
@保持時
・相手の陣形と選手の配置を確認し、左レーンからの進入を目指すことを全体で意思統一。
・左レーンを主戦場にする選手は我々は園部で、対する広島は新進気鋭の林選手。
・園部はゲーム序盤からフィーリングも良く、良い形でゲームに入ることができた。
・良い流れのまま園部が狙った形で左から中央方向にカットインしながらボールをコントロールし、最後はゴール前4mくらいでルーズになったボールにしっかり左足を踏み込んで右足を合わせて貴重な先制点を生んだ。
・ゲーム中盤は両者がっぷり四つの膠着したゲームとなった。
・先制点以降、相手陣には進入するものの、なかなかフィニッシュワークの実行までには至らず、追加点を奪えるシーンを作ることができなかった。
・ハイラインを設定し、ボール保持者の自由をすぐに奪いにくる戦術で対抗され、私たちの描いた形で最終ラインを突破することができなかった。
・中央レーンを固める守備陣形だったこともあり、両ALAの裏のスペースは活用できると踏んで泉→北郷のダイレクト攻撃で一気にボールを前進させることを狙ったが、なかなかボールを収めることができず、前進の機会を失ってしまった。
・その中でも園部にボールを集めて、園部→北郷、園部→鳥居と効果的なパスも通せるシーンもあり、このゲームは間違いなく園部が中心で戦い切ることができた。彼にとっても生涯ベストのゲームの一つになったのではないだろうか(映像がなくてごめんなさい)。
@非保持
・このゲームの広島の決定機は1stハーフ後半に訪れた矢次選手の個人突破で崩したカウンターのシーン。シュートは枠を捉えることはなかったが、直近のゲームを合わせても、最も危険で失点になり得るシーンだった。
・広島はFP全員がドリブルで個人突破を狙ってくる相手で、私たちは個対個の局面になる回数をなるべく少なくする守備戦術を時間経過とともに増やしていった。
・壁際の攻防では相手に軍配。寄せるスピード、強さはさすが。そして、この経験も次戦の横浜戦で活きる教訓となった。

●反省
・気になるところは『ディテール』の部分。例えば、ボールを横方向に動かして相手守備陣形のズレを狙うパスの質だったり、守備局面で戻り切らずに曖昧なところに立ってしまうこと。こういった『スキ』が失点の原因になったり、決定機を失うことになるのは全員知っているはず。そういう意味では私たちはまだまだ上手くなる余白があるとも言えるだろう。
・園部のフィニッシュワークが安定してきたのは、練習でしつこく繰り返している『型の実行』が徐々に体に染み付いてきているのではないだろうか。
・『型の実行』に加え、シュート時のフォームの改善にも取り組んでおり、今回の得点もGKとの駆け引きを制してのシュートだったと思っている。
・もともとテクニックに秀でた選手であり、思考の整理を手伝えば川村選手にも引けを取らない日本最高の選手になれる素材のある選手で、ここ最近のゲームのパフォーマンスも彼の実力からすれば偶然のものではないと思っている。

試合後に広島の選手と健闘を讃えあう

【2024年12月22日(日) 16:30K.O. vs buen cambio yokohama】
結果:1-0◯
得点 fbm:園部(1st)
得点 横浜:なし
fbmスタメン:泉健也(GK)、永盛楓人(FIXO)、園部優月(左ALA)、鳥居健人(右ALA)、北郷宗大(PIVO)
《システム・フォーメーション》
保持時:ダイヤ型
非保持時:ダイヤ型

🎥私たちのゲームは6:47:07〜

《チーム戦略&戦術》
直近の対戦成績は0-0のスコアレスドロー(LIGA.i第2節)。LIGA.i優勝のチャンスを自ら手放したゲームでもあり、あまり振り返りたくないゲームでもありました。
この試合は完全に自滅&相手の守備組織を最後まで崩し切ることなく試合終了の笛を聞くことになったゲームです。当日の外的環境に適応できていなかったことや心身の準備が不足していたことも原因として挙げられます。このゲームの反省を次節の品川戦にぶつけられたこともあるので、ある意味今シーズンのターニングポイントになったゲームかもしれません。

この日のゲームの環境も風が強く、気温も低い。加えて第1戦の疲労も蓄積され、決してベストな状態とは言えない。そんなチームではありましたが、モチベーションは非常に高い状態を保てていました。

『心技体』

日本人なら一度は耳にしたことのある言葉だと思います。
スポーツ人ならなおさらですが、皆さんはこの言葉の中にある『心』『技』『体』のうち、ゲームで勝つためや自己ベストを出すために最も重要なものはどれだと思いますか。
この言葉の捉え方について、最近見ていたYouTubeで元プロ野球選手のイチローと武豊騎手の対談の中で語られていました。
詳しくは動画をご覧いただければと思いますが、私たちにとってこのゲームで最も大切だったのは『心』の部分だったのかもしれません。

『試合を愉しむ心』
この気持ちをゲーム終了まで皆んなで繋ぎあって、モチベーションを保ち続けた。むしろ高めあえた。これがこのゲームで相手より優位に立てた要因の一つだったと思っています。
この日キャプテンを務めた園部も終始『試合を愉しもう』と皆んなに繰り返していました。

《戦況と反省》
●1stピリオド&2ndピリオド
@保持時
▼シュート本数(枠内/シュート数)
-1stピリオド
北郷 1/2
園部 1/1 1得点
-2ndピリオド
永盛 0/1
園部 0/3
・ゲーム序盤はダイヤ型で相手の圧力を測りながら、どのレーンから相手陣に進入するか探る時間が続く。
・1stピリオドのT.O.で左レーンからの進入を目指す意思統一をする。
・このゲームでも得点機会をクリエイトできそうな匂いのする選手は園部だった。
・園部は左レーンで前後にポジションを動かしながら攻撃する機会を探り、狙っていた形で泉→園部のダイレクト攻撃から個人技で相手守備組織を突破し、GKのタイミングを外す技ありのシュートで先制点を奪った。完璧な崩しでした。
・北郷がチームで最もフィニッシュワークに入る回数が多い中で、シュート本数がゲームを通じて2本に留まっている部分は反省しなけれなならない。頑張りましょう。
@非保持時
▽被シュート本数(枠内/シュート数)
-1stピリオド
2/3
-2ndピリオド
0/1
・相手のストロングポイントは齊藤選手の個人突破。これまでの経験から私たちの裏をかいて常に『相手の嫌なこと』を狙っている嫌なヤツ(人間的には素晴らしい選手です)ということは理解した状態で対策した。
・特にこの日はトランジション局面で一気に我々の陣内に進入することを狙っている回数が多く、中央のレーンでボールを受けたり、我々の最終ライン付近でボールを呼び込む動きがこれまでの対戦より増えていた。
・トランジション局面で負けないことは、私たちのストロングでもあり、決定機を作らせることはなかった。
・トランジションの守備組織の回復やボール移動中のプレッシングのスピードが重要なことはチーム創設当初からの数々の『敗戦』から痛いほど学習しており、相手のカウンターを返していくことが私たちの戦い方の一つでもある。

●反省
・2試合連続で先制点を奪った園部のパフォーマンスはあっぱれ。キャプテンとして、チームを安定させながら、結果でチームを勝たせる力も付けて素晴らしい活躍だった。
・守備対応についても全員が献身的に体を張って決定機を作らせなかった。
・特に齊藤選手とマッチアップした鳥居は目立たないながらもキープレーヤーに仕事をさせないいぶし銀の活躍でチームを勝利に導いた。
・永盛と鳥居のポジションを効果的に入れ替えながらゲームを進行することができた。永盛先生も安定したパフォーマンスでチームを助けた。
・2試合ともだが、泉のディストリビューションの精度と選択が向上し、私たちの攻撃が安定している要因にもなっている。

ハードなゲームを戦って疲労の色が見えるfbmの選手たち

【まとめ】
『Partido a Partido 』
私の心のクラブであるアトレティコ・マドリードを率いるシメオネ監督の言葉です。
『パルティード ア パルティード』。日本語で『1試合1試合』という意味です。
私たちにとっても予選ラウンドや準決勝ラウンドはまさに『Partido a Partido』でした。
松本、広島、横浜と、どのチームも優勝まで手の届く強豪とのゲームでした。苦しい試合しかありませんでした。目の前の1試合を必死に戦って2年連続の決勝進出まで来ました。
あと1つです。
相手は2年前の日本選手権3位決定戦で戦ったコルジャ仙台です。

私たちの『ブラインドサッカー』で勝つ。

これが準決勝ラウンド横浜戦後の解散時にチームに授けた言葉です。
多くは語りません。
ぜひ、会場で私たちの『ブラインドサッカー』を見にきてください。
必ず皆さんに楽しんでいただけるゲームをお見せします。
当日はYouTube配信もあると思いますが、来れる方はぜひ決勝の地、町田にお越しいただき、会場を盛り上げていただけると幸いです。

第21回大会優勝の集合写真

よろしくお願いします‼︎

🔥試合情報🔥
2025年2月8日(土)@町田市立総合体育館

10:00 開場
11:00 3位決定戦 buen cambio yokohama vs 品川CC パペレシアル
14:00 決勝戦 free bird mejirodai vs コルジャ仙台
⭐️チケット発売ページ⭐️

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