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今更のビジョナリーカンパニー批判(○○経営の不思議)

■勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負け無し

野村監督が飲用したことで一躍有名になった言葉だ。
もともとは剣道での分析の必要性で引用され、たどると故事にまで行き着くようだ。
ビジネスに適用しようとすると、下記の説明が分かりやすいかもしれない。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。」 心形刀流・松浦静山の『常静子剣談』にあるこの一文は、剣道では試合後の反省によく用いられる教えである。負けた時には必ず理に適わない原因がある。敗因 を十分に分析・検討することの必要性を説いている。しかし現実をみると、強化活動やサポート活動の成功情報に比べて、失敗情報は極端に少ない。これはス ポーツに限った話ではない。一般に失敗情報は隠れたがる。

https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/study/history/tabid/1678/Default.aspx#:~:text=%E3%80%8C%E5%8B%9D%E3%81%A1%E3%81%AB%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%8B%9D%E3%81%A1,%E6%80%A7%E3%82%92%E8%AA%AC%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82 より引用

やり直しのきく、あるいは再チャレンジする、もしくは似たようなビジネスモデルがある場合には適用できる考え方であろう。しかし、経営の方向性を決めるプロセスは一発勝負なので、実験などはできない。うまくいっても失敗しても「不思議」に違いないだろう。

■経営の正解

一時期(今でもそうだが)、経営の指針となるような本が話題になり、ビジョナリーカンパニーなども話題になった。現在は「パーパス経営」なども話題になっている。重視するものとして、ビジョンを明確にすることも大事であろうし、ステークホルダーのニーズに応えることも重要だろう。何を重視するかは経営者が戦略上決定することになる。

しかし、それを「失敗」したからと言って非難されるいわれはない。

○なぜ11社の「ビジョナリー・カンパニー」は数年で失速したのか…成長の止まる企業に共通する"ある兆候" 2022/09/09

企業から「0~10点で表すとして、○○を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」と質問されたことはあるだろうか。これは顧客ロイヤルティをはかる「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を調べるものだ。経営コンサルタントのフレッド・ライクヘルド氏は「成長する企業はNPSが高い。つまり顧客の生活を豊かにすること以外に、常に勝ち続けるパーパスはない」という――。

https://president.jp/articles/-/61425

この記事は「株主優先」ではなく「顧客優先」を説く。
間違いではないが、顧客に提供する製品・サービスの実現の最前線は「人」である以上、社員を優先しろという意見もある。

何を優先し重点化するのは戦略の問題であり、すでに延べたように正解はない。
「ビジョナリーカンパニー」で紹介された企業がエクセレントでないことは発売当時から言われていたことだ。

何かが正解であるかのように持ち上げる記事は一歩下がって読んだ方が良い。
経営者は、イエスマンを周りに配置することを避け、客観視できる方が傷は浅いというのが私の持論だ。

<閑話休題>

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