CRISPR-Cas9: (5)DNA -RNA - タンパク質

CRISPR-Cas9による遺伝子編集を理解したいと書いたのに、細胞と体のことだったり、タンパク質について書いたりと遠回りをしていました。ようやくDNAについて書きます。

セントラルドグマ

実は細胞のことやタンパク質について先に書いたのは、このセントラルドグマを書くためでした。
セントラルドグマと言うのは、DNAが設計図となり、その一部をコピーしRNAができ、RNAを元に細胞でタンパク質が合成される一連の流れを指します。

遺伝子情報を編集するということは、DNAからコピーされたRNAをもとに生成されるタンパク質に影響がでることを意味します。タンパク質に影響が出ることでそれぞれの細胞の働きや体のメカニズムにも影響が生じます。

DNAとは

ヒトのDNAは二重らせん構造をしており、4種類の塩基が2つ対に結合しています。"ATGC"という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、DNAのA=TとC=Gで必ずペアになり、この二重らせんを作ります。
ちなみに塩基は水に溶けたものをアルカリ性と呼び、酸性の対になります。

*wikipediaより、DNAはこんな感じで螺旋してる。

では、この"ATGC"は何を意味しているかというと、この文字によってアミノ酸を指定し、タンパク質の配合方法を決定しているのです。

DNAでのアミノ酸の表し方

DNAの4文字の情報で、どのように20種類のアミノ酸を指定し、タンパク質の配合方法を決定しているのでしょうか。
DNAの3塩基で1種類のアミノ酸を指定しています。ちなみに3塩基だと4*4*4=64種類を表せることになり、20種類だと重複するものもでます。
なので、CGU/ AGA/ AGUなどはともにアルギニンを指定するといった具合になっています。

*以下、塩基配列とアミノ酸の対応表(JAXAのHPから入手)

この中でAUG=開始、UAA/UAG/UGA =終止というのは、タンパク質の合成の開始マーク、終わりマークとして使用されています。
コラーゲンは、1400個以上のアミノ酸が3本鎖になった形を取っているため5,000字ほどの長い文字列になる。

RNAの役割

DNAにある塩基を元にタンパク質を作るのだが、ヒトのゲノムは30億ペアあり、それぞれのタンパク質を合成する時に毎回DNAを使用するのは効率が悪い。その時に活躍するのがRNAです。
なお、RNAの塩基は" A U G C" で、DNAの塩基" A T G C"と比較して、"T"チミンが"U" ウラシルに置き換わっている点が異なります。
これはなぜかと言うと、諸説あるみたいなのですが、DNA内の"C"シトシンは"U"ウラシルに自然に置き換わってしまうことが多々あり、その時に"U"を"C"に修正できるようにするためのようです。
RNAのように"A U G C"の塩基を持つともともと"U"だったのか、"C"が"U"に置き換わってしまったものなのかわからなくなってしまいますね。

あ、それと、タンパク質の合成は細胞内にあるリボソームという器官で行います。ちなみにDNAも細胞の核の中に入っています。
なお、細胞の中身やそれぞれの機能については割愛します。教科書だと必ず最初の方に出てきて、わからなくなって眠くなっちゃうやつです。汗

タンパク質を合成する上で使用されるRNAは、2種類あり、mRNA(メッセージRNA)とtRNA(トランスファーRNA)があります。

mRNAはタンパク質の設計図をリボソームに運ぶ役割です。
tRNAはタンパク質の合成に必要なアミノ酸を持ってくる役割です。
mRNAは上述の通り3文字の塩基でアミノ酸を指定します。そこに指定のアミノ酸を持ってくるためにtRNAはmRNAと対になる3文字の塩基に指定のアミノ酸を保持しています。

例: タンパク質の合成にセリンを使用したい時
mRNA="AGC"と表示/ tRNA="TCG" (= アミノ酸のセリン)をセット
というように対の関係になっています。

以下、RNAとリボソームでタンパク質をどのように合成しているかの図です。(JAXAのHPから入手、わかりやすい)
もう、JAXAのHP見ればいいよ!と言う気がしてきました。。

ここまで理解すると、CRISPR-Cas9の話がほぼわかると思います。
最後にDNAがどのように複製されるか、また、DNAの修復機能を理解したいです。

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