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「人材」「人財」の本当の意味

「人材」と「人財」の違いを、国語的意味と人材マネジメントの歴史の2つの側面から解説します!

今日は、「人材」「人財」の本当の意味を調べてみました。なんとなく使われる「人財」にもやっとしたことがある方はぜひお読みください!

社員を大切にしている会社は「財」の字を使う?

「社員は材料ではないので、”人材”という字は使いません。社員を財(たから)だと思っているので”人財”という字を使っています」

なんて話を聞いたことありませんか?
部署名も、人財開発部とか人財採用チームなど、「財」の字を使うケースがみられます。

こういった名称を使用している背景として、

人材=使い捨てにする材料
人財=財産のように大事にする

という理解があるようです。

こういった言葉の使われかたにもやもやしていたので、国語的意味と人材マネジメントの歴史から「人材」「人財」にどんな意味があるかを調べてみました!

国語的には「材」に使い捨てのニュアンスはない

まずは国語的な意味を調べてみましょう。goo辞書 で「人材」を調べてみました。

人材(じん-ざい)
才能があり、役に立つ人。有能な人物。人才。
goo辞書 より)

才能があり役に立つ・有能とポジティブな意味が出てきます。材料として使い捨て、というニュアンスはないですね。同義語に「人才」があります。
同じように「材」を調べてみましょう。


1.材木。木材。「通し柱に太い材を使ってある」
2.原料。材料。「印の材に角 (つの) を用いる」
3.才能。また、才能のある人。「国家有用の材」
goo辞書 より)

「材」という字単体でも「才能」「才能のある人」という人材と同じような意味があるのですね。
「人材」の「材」には「才能のある人」という意味があり、材料であり使い捨てできる、というニュアンスではないようです。

ちなみに、「人財」は辞書には載っていませんでした。

【国語的にみた人材】
才能があり役に立つというポジティブな意味。
「材」単体でみても「才能のある人」というポジティブな意味がある

人材マネジメントの歴史から人材・人財のちがいを探る

辞書の意味を調べたあとは、人材マネジメントの歴史から人材・人財の意味を調べてみましょう。
大体、日本の人材マネジメントは欧米のトレンドの数年遅れできます。人材・人財という言葉も海外から輸入された概念を和訳したものなので、元の英語を見るとニュアンスを理解しやすいです。

人 Personnel Management
単純な労務管理の時代。モノを作れば売れたので、従業員にいかに時間とおりに、効率よく働いてもらうかが重要だった。
人材 Human Resource
人を活かすべき対象として認識するようになった。
仕事が単純労働から複雑な労働に変化し、ポジショニング戦略だけで勝つには限界がきて、人をどう活かすかが開発力・生産力・営業力などに影響するようになった。
モチベーションマネジメントもこの頃から。
人財 Human Capital
資本としての従業員。Human resourceとの違いは、人を投資対象として見るかどうか。教育等の投資をすることで、自ら稼げる人に育てる意図。

正直、わたし自身が Human Resource と Human Capital の違いを明確に理解できていません。少し調べたところ、Human Capital は一企業というよりも国とかの大きな単位で扱われることが多いのですかね。詳しい方いたらコメント欄で補足いただけると嬉しいです。

ただ、ここで間違いなく言えるのは、「人材」に人を使い捨てにするというネガティブなニュアンスはないことと、「人財」にも人を大事にするというウェットなニュアンスもないことです。

正しく使えば、正しく伝わる

Twitter では、「人財」という字を使っている企業はブラックだ、という言説もあったりします。
流石にそこまで言い切るのは横暴だなーと思う一方で、あまり深く考えずに流行っているから・それっぽいからという理由で部署名を変えたり、あまつさえ「材」のほうの人材を不当に貶める発言をしていたりするのを見ると、むべなるかなとも思います。

以上、「人材」「人財」の使われ方にもやっときていたわたしが調べてみた結果でした。お読みいただきありがとうございます。!
人事用語を語源で解説シリーズとしては、下記もよかったらどうぞ。


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