きゃりあぷらん

キャリアプランは無理に決めなくていい~キャリアの語源と最新のキャリア論から~

こんにちは、人事のなべはるです。好きなイーブイの進化系はブースターです。
キャリアの語源と最新のキャリア論を根拠に「キャリアプランは無理に決めなくていい」話をします。

やりたいことが明確であるにこしたことはないけれど・・・

ある就職活動中の大学生から「将来やりたいことが分からないから、キャリアプランを決められないんです」という相談を受けたことがあります。
ふむふむと聞いてみた話をまとめると下記のとおり。

【就活中の大学生から受けた相談】
・将来やりたいことが分からない、決められない
・周囲の友人のうち、内定が出ている人はやりたいことが決まっている(気がする)
・大学のキャリアセンターで「まずはキャリアプランを考えてみよう」とアドバイスされた
・面接に行った会社の人事からも「キャリアプランが具体的でない」とフィードバックされた。それが理由かは分からないけど面接は不合格だった

なるほど…。
確かに、将来やりたいことが明確に決まっている人ってカッコ良く見えるし、大人から「キャリアプランを立てよう」とアドバイスされたらそういうものかと思ってしまいますよね。気持ちはわかります。
そこでこの記事では、「キャリアプランを決められない」と悩む方に向けたわたしからのアドバイスをご紹介します。

やりたいことを見つけろと言われて見つかるものではない

大学生のうちに心から将来やりたいことが決まっている人ってどれくらいいるんでしょうか?
自分は何に向いているのか分からない・何をやりたいか分からない・・・という方のほうが多数派のような気がしますし、何なら社会人だって大半がやりたいことが何か分かっていないようにすら思います。

それなのに「面接で聞かれるからキャリアプランを考えろ」と言われてもムリなものはムリですよね。

なかには、面接でキャリアプランや将来の目標を聞かれてうまく答えられないことが続いて「やりたいことが決まっていない自分はダメなやつなんじゃないか…」と感じてしまっている方もいるかもしれません。(わたしに相談してきた学生はその状態でした)

そんなあなたには、大きな声で言いたいです。
「将来やりたいこと・キャリアプランはムリに決めなくていいです。そして、将来やりたいことが決まっていなくても良いキャリアを歩むことはできます」と。

根性論で適当に言っているのではなく、キャリアの語源とキャリア論の研究を根拠にしています。2つの根拠を下記に解説します。

キャリアの語源からして、キャリアプランをあらかじめ決めるのは無理がある

キャリア(career)の語源ってご存知でしょうか?
諸説あるようですが、一番有力なのが英語の馬車「carriage」の轍(わだち)、からきているというものです。

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轍は進む先にはできない

当たり前ですが轍は走る馬車の後ろにできます。馬車の前方、進む先にはできません。
つまり、キャリアはあらかじめ決めておくものではなく、ある時点でふと「あぁ、これが自分のキャリアだったんだ」とふりかえるのが本来の意味なんです。
こう考えると、あらかじめキャリアプランを計画すること自体無理のある話なのかもしれません。

良いキャリアは偶然から生まれる~プランドハップンスタンスセオリー(計画された偶発性理論)~

また、現代は非常に変化の激しい時代です。
今必要とされている知識やスキルが1年後には何の役にも立たなくなっている可能性がありますし、なりたいと思っている職業自体が存在しなくなっているかもしれません。
そんな環境変化の激しさも、キャリアプランを考える難しさにつながっています。

じゃあどうすればいいのか。先のことを考えても分からないから何も考えなくてもいいのか。
いいえ、ちがいます。先が分からないなら分からないなりのキャリアの考え方・理論があるのです。

スタンフォード大学のクランボルツ教授のプランドハップンスタンスセオリー(計画された偶発性理論)というものがあります。要約すると下記のとおり。

【プランドハップンスタンスセオリー】
・変化の激しい現代において、計画したキャリアプランに固執することは現実的でなくむしろマイナス
個人のキャリアの80%は予想していない偶発的なことによって決定される
・その偶然がプラスに働く人とそうでない人がいる。プラスに働く人には、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」が備わっている
・これら5つを備えている人は自身のキャリアに良い偶然を引き寄せる

この「キャリアプランは偶然によって左右されるけれど、良い偶然を引き寄せることはできる」という考え方はとても好きで、しっくりきています。
(プランドハップンスタンスセオリーをより詳しく知りたい方はこちらの本をどうぞ)

人事に興味を持ったのは偶然だった

わたし自身の話を少しだけ。わたしは人事の仕事が大好きで、今後も人事を極めていきたいと思っています。ですが、人事に興味を持ったきっかけはまったくの偶然でした。

今から十数年前、大学2年生のときのゼミ選択で「先生やゼミ生の雰囲気が良さそう」というなんとなくの理由で選んだゼミがたまたま「経営組織論」がテーマで、人や組織を扱っていたのです。
そのゼミで当時のわたしなりに熱中して勉強・研究をしたことがきっかけで人や組織に興味を持ち、人事という仕事を選択していまも満足して働くことができています。

なんとなく選んだゼミであっても、そこで本気で取り組んだことが「人や組織への興味」という良い偶然を引き寄せたのだと思います。

無理に決めなくてもいいけど、考えることはできる

このように、キャリアの語源からみても最新のキャリア研究からみても、無理にキャリアプランは決めなくていいというお話でした。

でも、そうはいっても面接で将来のことを聞かれるのは事実です。じゃあどうすればいいか?冒頭の相談してくれた学生へのわたしからのアドバイスは下記です。

【面接で将来のことを聞かれたらどうするか】
無理に決めなくていいから、将来のことを真剣に考えてみましょう。自分が何が好きで、何が嫌いか。どんな仕事や業界に興味があって、将来どうなりたいのか、どうなりたくないのか。もしほんとうに何も思いつかないとしたら、自己分析の前に社会や仕事の知識がないせいかもしれないのでいろいろ調べてみましょう」
「そうして、自分の好みを自覚してみましょう。”今のところはこういうことに興味があるかも”とか、”こういう環境が好みかも”とかふんわりでもいいです。繰り返しですが無理に決めなくていいし考えは変わってもいいです」
面接で将来のことを聞かれたら、まだ明確には決まってないんですけど、と断ったうえで上記で考えたことを素直に誠実に伝えましょう

以上、キャリアプランを決められない方へのわたしなりのアドバイスをまとめてみました。少しでも参考になればうれしいです。読んでいただきありがとうございました!

【まとめ】
・キャリアプランは無理に決めなくていい
・無理に決めなくていいけど、考えることはできる。真剣に考えてみて、面接では考えたことを誠実に伝えよう
・いま目の前のことに本気で取り組むことで、キャリアに良い偶然を引き寄せることができる

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