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妊娠中、変わりゆく心と体

2021年3月
安定期に入った。

年明けから始まったつわりは、2月が終わるころには落ち着いて、気分すっきり。お腹もなんとなくふっくらしてきた気がして、実感が湧いてきた。

「安定期」と言われるだけで、少し緊張感から解放されたというか、やっとここまで来たという達成感というか、不思議な気持ち。

お腹で今何が起きているか分からなくて、不安な気持ちで毎日を過ごしていたけれど、一般的には安定期に入ると流産のリスクもグッと減り、体調もよく、程よく運動なんかもしたほうが良いと言われている。
さあ何をして過ごそうか!!きらきらの妊婦生活よ!!と意気込んだのも束の間。

お腹は目に見えて膨らんでいく。
食欲が出てきて何でも美味しいので、体重が増えていく。
腕や足や胸に、蜘蛛の巣のような血管が透けて見える。
正中線がくっきり。
頭痛、腰痛、寝ている間のこむら返りなどなど…。

「全然 "安定" してなくない?」が正直な感想。

そして、どんどん変わっていく体に、心が追いつかない。
そりゃあナイスバディとは言わないけれど、痩せ型で、ウエストのきゅっと締まったワンピースやスカートを着こなす自分を気に入っていた。それがお腹が出てきたものだから、今までの服はどれも着れない。
身長はそれほど高くないけれど、姿勢がいいからスラッと見えると言われていた。それが腰が痛いものだから庇っておかしな歩き方になっている。
こんなになってしまって…とマイナスな感情が大きかった。
望んだ妊娠だし、喜ばしいことだったけれど、やっぱり女性としての何かを捨てられずにいた。

「赤ちゃんを育てている証だから」
「母親になったっていう勲章だよ」
周囲からはそう慰められ、頭では理解していたけれど、なかなか受け止めきれなかった。

そんな不安定な気持ちで年度末の忙しい時期を過ごしていたとき、なんと赤ちゃんの性別が分かった。
この早い時期に分かるということは…
私も夫も、男兄弟で育ち、どちらの家も男性が多い家系だったこともあって「やっぱりね」という感じだったと思う。

分かった途端に、ここにいるのは息子なのね、どんな男の子になるかな、やんちゃかな、と楽しい妄想が繰り広げられた。
名前を考えなきゃ。
どんなお洋服買ってあげようかな。
その日、少し明るい気持ちで家に帰ったのを覚えている。

そこから新年度をバタバタ過ごして、5月末にはあっという間に妊娠後期に突入。コロナもあったし、仕事も忙しい時期だったから、安定期のうちにできることを!!と意気込んでいた割に、特に何をするでもなく過ぎ去ってしまった。(夫が私に運動させようと、色々な公園を巡って歩き、美味しそうなサンドイッチやお弁当をテイクアウトしてピクニック気分をたくさん味わえたのは楽しかったな。本当ならどこかに旅行もしたかったけれど、残念。)

もうこの頃には更にお腹は大きくなり、何をするにも「どっこいしょ」。体はあちこち痛く、様々なマイナートラブルがあったけれど、慣れてきたというか開き直ったというか。
産まれたら、あの服着ようかな。
普段はこんなにふわっとしたワンピース着ないし、今たのしんでおこう。
時間とともに、少しだけ前向きになれた気がする。

***
とにかく体がつらくなってきたから、産休が待ち遠しかった頃。
無事に6月下旬から産休に入り、こんなにのんびり過ごしていいものかと思ってしまう程に穏やかな毎日。

穏やかなんだけど、いつ産まれてくれるのかな〜とそわそわする気持ちと、ついに出てくるのかという不安、大きなお腹も見納めかと寂しい思い。色々な気持ちと大きなお腹を抱えて過ごしてる。オリンピックを観ながら。お腹の中の君は、耳でしか聞けていないオリンピックだけれど、どんなスポーツが好き?何をやってみたい?

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