快速ムーンライト

快速ムーンライトは、乗車券に指定席券をプラスすれば乗れる夜行列車なんだけれども(「快速」なので特急券は必要なし)、年々縮小や廃止が進み、現在運転されているのは、今回、広島行きに使用した「ながら」のみ。

私が乗り鉄をするようになった時期には「えちご」や「信州」など、他にも運転していたんだけれども、かつては定期便だったものが臨時列車になり、運転日もどんどん減らされ、気付いたら終了していた・・・という感じで、ここ5年くらいの間に「えちご」も「信州」もいなくなってしまった。(同時期に青函トンネルを走る急行「はまなす」もなくなってしまった。)

国鉄から民営化された「営利」目的の会社が力を入れるのは、新幹線や豪華特急列車などの「儲かる」部分になるわけで、それはまあ仕方がないとは思いつつも、寂しく思う。北陸新幹線や北海道新幹線の開通に伴って、それまで18きっぷで行けていた場所が、関連在来線の第三セクター化できっぷが無効になってしまったり、北海道新幹線に関して言えば、同時に特急白鳥・スーパー白鳥や上述の急行はまなすが廃止になってしまったりで、それまで楽しめていたものがずいぶん消えてしまった。不便になった後、金沢へ行くことも北海道へ行くこともほどんどなくなった。

ムーンライト信州は、基本的にアルプス登山客用の路線だったので使ったことはなかったんだけれども、ムーンライトえちごは、北海道旅行の帰りに一度使ったことがある。当初は、本州北上(2日がかり)→急行はまなすで北海道入り→北海道をエンジョイ(道中まで)→白鳥使用→本州南下(2日がかり)という予定だったんだけれども、旅行中にデジカメの電池が切れ、充電アダプタを持って来忘れたのと、さすがに乗り鉄のし過ぎで疲れてしまったのもあって、最後の本州南下でチートモードになり、そうだ!「えちご」に乗ろう!と、急遽指定席券を買って夜行で帰ってきたのだ。

ムーンライトながらは・・・今回より前には一度だけ使ったことがあったはず。そう思いつつ、でもなかなか思い出せなくて、写真の履歴を辿っていったら、2018年3月に、乗車時の車体を撮った動画が残っていた。

くるりツアーの松山&高松遠征の時だった。当時、ツアーは東京公演に行ければいいかな位の気でいて公演日も把握しておらず、気付いたらニュージーランドへ行くのと丸かぶりで、まあ仕方ないか…位のテンションだったんだけれども、その後発売された『その線は水平線』があまりに良かったので、突如、これは絶対ツアーに行かねば!!と、渡航直前にもかかわらず四国まで行くことにしたんだった。

京都やせいぜい神戸位までだったらライブ当日の早朝出発でも平気だけれども、岡山より先だとかなりきつい。ましてや四国なんて・・・と思っていたら、ちょうど「ながら」の時期だったので、「初ながら」をした。

久しぶりの夜行列車だった。「はまなす」に比べたら車内も明るく、休息をとりながら移動という感じではなかったけれども、日程に余裕がない中、夜中走ってくれる電車があって助かった。各停しか存在しない乗り鉄の鬼門「静岡」の駅を飛ばしながら走ってくれるのもありがたい。

その時は日付変更時に小田原から「ながら」に乗り、早朝到着した大垣からは鈍行を乗り継ぎ岡山まで行き、マリンライナーに乗って四国入りし、そのまま松山まで鈍行で下った。

こんな無茶な乗り方をする人はそうそういないだろう。距離や場所、日程的にも鉄道ではなく飛行機を使えば?という感じだし、近年、夜行バスがかなり安価で快適になったので、環境面からすれば断然バスに軍配が上がる。それでもやっぱり私は電車、鈍行が好きなので、正直きついよなーと苦笑しながらも、18きっぷと指定券を片手に、ムーンライトに乗り込むことを選んでしまう。

年々運行本数が激減していっている「ながら」は、指定券が取れないことで有名だ。2019年度冬季は、上りは12月20日から30日、下りは12月21日から31日の年末約10日間のみで、年始の運転は発表に無かった。限られた日数の中、時期的に帰省客やその他旅客との競合が予想されたので、今回は「えきねっと」の事前予約を初めて利用し、席の確保に挑んだ。

もしかしたら、今期(2019年度冬期)が最後でムーンライトが絶滅するのでは・・・?等という噂もあった。先日、無事に2020年度春季の運行が発表されたので、もう少し延命はされたようだけれども、それもいつまでもつのかはわからない。個人的には夏のオリンピックの時にしれっと運行が無くなって、そのまま消滅・・・と、なりそうな気がしている。

便利さや豪華さ、速さや快適さ、稼げる儲かることに人々の目が行くことは理解できる。でも私は、ちょっとした工夫で不便だったり限られた条件の中を縫っていくような旅や、鈍行で、その土地に住んでいる人々の生活というか風土のようなものを感じながら電車に乗ることが好きだ。

そんなささいな楽しみを、今後も可能な限り、続けられればいいなと考えている。

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