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私のホストマザー

初めてホームスティをしたのは
大学3年生の2月。

わたしは、人生追い込まれた時ほど、
自分も驚くほどの行動をしがちだ。
そう、あの頃も、色々追い込まれていたんだよな。

なんか、みんなと違うことがしたくて
急にホームスティを試みた。

行った先は、オーストラリア。
2月のオーストラリアは
日本とは逆なので、真夏だった。

空港からホームステイ先に向かうまでの
道のりは、
看板すらも大きくて
ガッチリしていた、雰囲気が。

家に着くと、玄関でホストマザーが
お出迎えをしてくれていた。

もちろん「ハロー」しか言えない私は、
生きてる心地がしないくらい
コミュニケーションの壁に
着いて2分でぶつかった。

噛み砕いた英語で話しかけてくれる
ホストマザー。
私の単語を並べただけの英語に
必死に理解しようとしてくれた。

わたしは、まるで赤ちゃんだった。
言いたいことも伝えられない、
なにを言っているかも雰囲気でしか
読み取れない。

申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

もし、英語がペラペラだったら
ホストマザーも楽しいだろう。
気を使わせてしまっているのではないかと
思ったら、英語が話せない自分が
悔しくて涙が出たのを今でも覚えている。

旅では、そんなに困ることのなかった
英語力。
旅では、どんなに一人旅をしていても
孤独を感じることはなかったけど、

ホストマザーという家族がいながら
とてつもなく孤独を感じた。

コミュニケーションって、
こんなにも大切なんだなってすごく思った。

Wi-Fiを借りずに行ったから
外に出かけても
翻訳アプリは使えないし、
道もわからない。
電子辞書と、ホストマザーに書いてもらった
住所と、自分の勘を頼りに
学校までボートで通った。

家に帰ったら、
ホストマザーに宿題を教えてもらった。

間違うことが怖いって思って
なかなか、言葉も発せなかったけど、

間違ってもいいんだよ。
間違ってもいいから、言ってみて。

というホストマザーの言葉に
心がギュッと熱くなった。

言葉を発していくうちに、
自信がついた。

失敗することは恥ずかしいことでもない。
失敗することは怖いことでもない。
失敗して当たり前で、
そこから、また一つ強くなる。

それを教えてくれたのは
ホストマザーである。

帰国する日は、朝からご飯が喉を通らなかった。
寂しくて、別れたくないと思った。
大泣きしながらタクシーに乗り込んで、
写真を見てまた泣いて。

たった数週間、一緒に暮らしただけなのに。
こんなにも、心に残った。
間違いなく、一生の宝物になる経験と
みんなに自慢したくなる、母である。

今でも、ラインをくれる。
実は、翻訳アプリを使って
メッセージを送っているから、
会話がとてつもなく成り立つ。
英語力がついたと褒められた。
……心苦しい。

そんなホストマザーには、
4回会いに行っている。

今では、一緒にお酒を飲んだり
お料理を作ったり、
パーティーに参加したり
クリスマスを過ごしたり

あの頃よりは、少し成長した。

そして、
色々な経験をさせてもらっている。

この前は、オーストラリアのバーで
お酒を頼む経験をさせてもらった。

経験をして、また自信になる。

私のホストマザーは、本当にすごい。
コミュ力の塊で、私にないものだらけ。
彼女の人生が羨ましくも思う。

いつか、恩返しがしたい。
ペラペラの英語で会話がしたい。
一緒に映画を観に行ったり、
旅行にも行きたい。

恩返しがしたい。
そんな日を夢見て、わたしは明日も
生きていく。また一つの夢に向かって。

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