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文庫『百年の孤独』辟易しながらも読了

 コロンビアの作家、ガブリエル・ガルシア=マルケス(1927-2014)が、1967年に発表し、日本では、1972年に単行本として売り出されたのが、この作品、『百年の孤独』(新潮文庫刊)です。

 ガルシア=マルケス氏は、その後、一連の作品が評価され、1982年にノーベル文学賞を受賞されていますが、この作品は、現時点で、46言語に翻訳され、何と5,000万部(!)も売れているのだとか(;_;)。

 そして、2024年(令和6年)7月1日付で、単行本として発刊から、50年以上の時を経て、文庫本として、(異例のことですが、)再版されました。

 報道によると、それから、2か月足らずで、29万部が発行されるなど、半世紀以上前の翻訳小説としては、これまた異例の大ヒットです。

 本日は、2024年(令和6年)8月16日ですが、昨日・今日と、関東に近付く台風の影響で、大荒れの天気でしたが、私は、一昨日、この本を書店で探し当てて、購入しました。

 報道で、話題になっているほか、文庫化前のから、ものすごい話であるというのは、しばしば耳にしていたからです。

 一昨日から読み始めて、あまりに改行がなく、とにかく、長々と文章が続くので、途中、辟易としながら、読み進め、昨日、そして、台風の中、家を出られないのを見越して、今日で、読了しました。

 この本は、最初から最後の解説までで、661ページもある大冊ですが、とにかく、一段落が長いのです。1ページ中、改行が全くないなんてことはざらなんです。

 最近の本では、読みやすさを重視しているから、こんなことはないなぁと思いつつ、普通の本ならば、2時間から長くても4時間くらいで、読み終える私が、何と足かけ3日かかってしまいました。
 ※途中、映画館に2度、足を運んでいますし、このような執筆もやっていますから、読書だけしているわけではありませんが…。

 この本については、要約というのが適切ではないくらい、執拗なくらいの表現が重ね重ねてあり、と言って、紹介の文書ですから、解説の文書を借りて、紹介しましょう。

 「要約などは徒労としか思えない無数の挿話がからんでいるが、この小説は詰まるところ、村から市へとふくらんで、やがて蜃気楼のごとく消えるマコンドを主たる舞台に、苦難の旅の果てにその建設に当たったホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアラン夫妻に始まる一族の歴史を、いずれもガルガンチュワ的な奇矯な子女をめぐって起きる奇態な事件のすべてとともに、リニアーな時間の流れをほとんど踏み外すことなく記述したものである。…」
 ※文庫版 訳者あとがき P.637~
 ※ガルガンチュア…16世紀フランスを代表する物語作家、フランソワ・ラブレーの小説に登場する美食家で大食漢の王様の名前で、その物語は、ロワール河沿岸地域にある架空の豊かな王国を舞台に繰り広げられる、大巨人の王ガルガンチュアとその息子パンタグリュエルを主人公とした奇想天外な物語。

 この本の文庫化は、初めてで、読書家の間では、「この本が文庫化されたら世界が滅びる」とまで、ささやかれていた本ですが、それを受けてなんでしょうね。この文庫の帯には、次のようにコピーが記載されています。

 「ノーベル文学賞 この世界が滅びる前に・・・・・・・・・・ “聴け、愛の絶叫を。見よ、孤独の奈落を。” 呪われた一族の目も眩む百年の物語 百年に一度の傑作!」

 読み終えて思うことは、現実と非現実が一体となって、物語が構成されていますが、読者には全く違和感なく、物語世界にずんずん引き込まれていく…、あんなに長いのに辟易しながらも、途中で読むのを止めたら絶対にいけない感じにさせる何かがありました。

 関東地方に接近する台風の大雨の中、雨戸を閉め切って読書に集中する、まさに夏休みの課題図書となりましたね(^^;)。

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