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日本のフェムテック(femtech)とフェムケア(femcare)まとめ

以前、フェムテック(Female × Technology)と関連するフェムケア(femcare)のnoteを書いたけど、最近、日本のものが増えてきて日々情報が変化している。一旦、わかる範囲でnoteに日本の最新の事情をまとめてみる。

2025年ごろ市場規模は約5兆円と言われ、これまで海外事例をもとに紹介してきた。

ジャンル解説

Femtech(フェムテック・Female × Technology)
女性ならではの健康課題(生理、妊活、不妊治療、産後、更年期障害、女性特有の疾病など)をテクノロジーを活用して解決するソリューション。2015年頃から、社会で女性のタブーを無くそうという動きとともに活発に。
Femcare(フェムケア、フェミニンケア)
フェムテックのムーブメントと関連する、生理用品などの女性をケアする製品をタブー視しないデザインや、多様性あるサービスや商品。
生理用品D2Cのブランドはフェムテックで分類されることもあり。

対象となるのは、女性ならではの健康課題を解決したいと思っている、あらゆるライフステージの人。
フェムテックファンドができるほどなので、女性の健康向上という普遍的ニーズは、女性の可処分所得の増加と共に増えている。

2〜3年前のフェムテックといえば個人向けの尖ったプロダクトが多いイメージだった。そういったものはまだ多いものの、活況なアメリカでは、法人が妊活支援系(妊活相談、卵子凍結)を人材確保のための福利厚生として導入する流れが増えたり、フェムケアはセルフケアが世の中で見直されてきたことに影響して、ライフスタイルを豊かにするものとして概念が拡張してきている。
(たまに「フェム」を「フェミニズム」の略と思うひとがいるけど、「Female(女性)」の略です。)

なぜ日本で増えてきたか

フェムテックのプレイヤーが国内で起業したり、フェムテックに関するメディアの発信やイベントが増えたことから関心度が高まっている。

経済面では、SDGsであげられる「ジェンダー平等」や、働き方を改善したり、環境配慮した製品が多いことと、SDGsとひもづくSociety 5.0での経済発展と社会的課題の解決の両立に意識が向いてきたのかもしれない。

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フェムテック(Female × Technology)

【月経関連】

ルナルナ
日本でもっとも使われている月経周期管理アプリ「ルナルナ」は、アプリでの周期管理だけではなく、婦人科に特化したオンライン診察を開始。
スマホアプリから産婦人科医療施設への受診や医師への相談が可能。


ランドリーボックス
生理に特化したEコマースとして、メディアとECショップを展開。フェムテック商材を扱う。


スマルナ
国内医師がオンラインでチャット診察。生理や性の悩みも相談可能。ピルを翌日処方可能なサービス。


fem server
スマホアプリと連動したIoTサプリメントサービス「Femサーバー」(フェムサーバー)。アプリの記録に合わせて女性ホルモンバランスに配合が連動したサプリが専用のサーバから出て来る。サーバ側も指を触れて自律神経を測定できるようになっている。

sai+
パーソナル診断にあった女性の健康に合わせたサプリがサブスクリプションで提供されるサービス。オンライン診療を行うクリニックフォアとの共同開発のため、低容量ピルも初回診察のみ半年に一度オンライン診察で定期購入が可能。


ペアケア
生理予定日をLINEで予測でき、パートナーと気軽に共有できるサービス。


【妊活・妊娠】

婦人科ラボ
日本でも関心度の高まる卵子凍結保存に関するサービスを提供。いきなりクリニックに行かず気軽にLINEからクリニックマッチング診断が可能。


ファミワン
妊活・不妊治療に対する理解促進を気軽にLINEで相談できるため、企業も福利厚生サービスとして導入


わたしの温度 
女性特有の温度リズムを測るデバイスをナイトブラに装着するだけで、アプリに自動的にデータが転送されるIoTを開発中。


F check 
自宅で手軽に卵巣年齢チェックキットで血液採取し、発送するだけで卵巣年齢の個人差がわかるサービス。


Minin(ミニン)
“体外受精”のサポートに特化したアプリとして、妊活中の多くの記録を管理しやすくしている。


妊活ボイス
妊活女性のためのSNS。年齢や妊活状況(1人目妊活、人工授精、体外受精など)から自分と似た妊活者の活動を知ることができる。


ベビmatch
不妊治療中の記録やメンタルケアコンテンツ、コミュニティ機能があるサービス。


cocoromi(こころみ)
不妊治療AI検索サービス。体外受精で妊娠された先輩ママたちのデータエビデンスに基づいた治療検索サービス。AIによる成功データのエビデンス表示。


【産後ケア】

じょさんしonline
産後のママが病院に行かず、オンラインで気軽に助産師に相談できるサービス。日本の妊産婦に多いと言われている産後うつのケアも含む。


【更年期障害】

TRULY
日本初の更年期に特化したオンライン相談サービス。


wakarimi
LINEを使った更年期の夫婦向けサービス。女性が体調を登録し、パートナーと共有することでコミュニケーションを円滑にできる。


【医療】

Lily MedTech 
痛くない乳がん検査として、受診者がうつぶせになって受けられる乳房用超音波画像診断装置を開発する東大発のベンチャー。

Melody i 
国内初のIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」でスマホやタブレットと、デバイスが連携して遠隔で胎児の健康状態をモニター可能。


フェムケア(femcare)

EMILY WEEK(エミリーウィーク)
女性特有の悩みである生理中やPMS期も心地よく過ごせるファッションブランド。


ROSE CUP 
第3の生理用品として話題の月経カップ。これまでほとんどが海外製だったが、日本製月経カップとして特許取得。
月経カップは、ゴミを出さないことから環境配慮面でも人気。


period.
生理用品の選択肢を増やすものとして、クラウドファンディングで目標金額を大きく上回る支援のあった生理時に履くだけのパンツ。


わたし漢方 
婦人科関連の悩みを東洋医学のアプローチで、LINEで薬剤師と会話して処方されるサービス。


I‘m La Floria 
コスメのようなパッケージの、女性のデリケートゾーンのセルフケアブランド。


DAYLILY デイリリー
広く女性の健康に関わる「体温をあげる」ことにつながる漢方を提供するD2Cブランド。店舗も台湾、東京、大阪にあり。


履くだけの生理用品ブランド「ナギ(Nagi)」

サイズやカラー展開も豊富な日本発のブランド。


生理ショーツ「ベア」
次世代超吸収型生理ショーツ Bé-A《ベア》は、タンポン12本相当の吸水力。

海外ではあるけど日本にないもの

国内でも書ききれないほど増えてきたものの、海外にはあって、日本にないものはまだまだ多い。

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・生理中に痛みを緩和するデバイス
 参考:iPulse medical

・BtoBの従業員向け妊活サポート(妊活支援、卵子凍結、養子縁組など)
 参考:Carrot Fertilityのような包括的なサービス。

・「性教育」サービス
 参考:若者が手軽にスマホで勉強できるO.school

・搾乳デバイス
 参考:Elvieはフェムテックのジャンルでは、これまで顕在化されてこなかった産後女性の支持を得て多額の資金調達をしている。

・産後ケアデバイス
 参考:こちらもElvieのブランド。

・LGBTQファミリーに向けた妊活支援
 参考:Modern Fertility

医療面の規制、文化背景で欧米ほどではないものの、定義が生まれ盛り上がってきたのも2015年前後からの新興市場なので、引き続き日本だけではなくアジアでの盛り上がりに期待したいところ。

課題を解決してライフスタイルを豊かにする世界観

成功しているフェムテック企業(主に欧米)の共通点は、デザインに投資を行なっている。
おそらく新領域のため、ただ課題である「ホルモン検査を家でしたい」「煩わしい搾乳をなんとかしたい」という解決だけでない。
これまで、タブーや我慢の対象だったことが解決され、さらに、その先に豊かなライフスタイルの広がりを感じさせる「世界観づくり」として、機能を説明しなくても、言葉を尽くさなくても伝わるデザインが大きな役割を果たしている。

まとめ

・日本でもフェムテック(femtech)とフェムケア(femcare)が盛り上がってきている。
・既存の女性が抱える課題の顕在化としてまだまだ可能性がある。
・課題解決とライフスタイルを豊かにする世界観づくりが重要。

日本発のプロダクトやサービスのリリースが増えていて、取りこぼしがあるかもしれないので、情報は適宜更新予定。


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LGBTQファミリー支援の記事。

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