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LGBTQと資本主義、ピンク・キャピタリズムについて

LGBTQを肯定的にサポートする動きは、企業の経済活動(CSRやマーケティング )で増えていて「ピンク・キャピタリズム(レインボー・キャピタリズム)」といわれている。
常に価値観が変化する領域なので、勉強のためにこの概念のことを調べて考えてみた。

日本のLGBTQの人口に占める割合は8.9%という仮説があり、左利きの人と同じくらいいわれている。

6月のプライド月間は、50年の歴史を持ち、マイノリティの抗議運動から多くの企業がスポンサーにつく華やかなお祭りとなり、グローバルで展開する企業にとってリベラルさを表現するブランディングになった。
特に2006年、アメリカで同性婚が承認されて以降、様々なブランドのキャンペーンをLGBTQの要素が用いられる機会が増えた。

スウェーデンのAbsolut Vodkaは1980年代初頭からLGBTQアライな広告を出している。

これまでマイノリティへの差別を増長をしてきた側面がある広告やメディアが、変化している良い兆候でもある。

ただし、現時点でピンク・キャピタリズムには様々な批判がある。

ピンクマネーを持つターゲットとされているのは、可処分所得が多いアッパーミドルクラスの白人のゲイ男性を中心に捉えられている。(レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセクシュアル、有色人種が無視されている)

ピンク・キャピタリズムに分類されるものが、ナイトタイムエコノミーに特化していて固定概念をつける。

マーケティング に隠れて、いまだに同性愛者やトランス差別がある事実を隠す。

「LGBTQは経済価値がある」という新自由主義的な安易なパッケージ化は、社会運動やケアと乖離していく懸念がある。

一方で、ジレットの黒人のトランス男性が、初めての髭剃りを父親と体験する広告動画は細やかな描写で、トランスジェンダー当事者の心境と受け入れる家族の思いを現して絶賛された。

どんな企業のブランドメッセージに共通するけど、実際の企業の労働環境などがマイノリティに対して包括的でないと批判対象になる。

アジアでは、中国のピンク・キャピタリズムは欧米についで世界第3位の年間3,000億ドルから5,000億ドルの市場規模といわれ、中国発のLGBTQ向けのデーティングアプリは「BlueCity」は世界で使われている。


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「ピンク」という色がLGBTQコミュニティで使われる意味は、ナチスがホロコーストで同性愛者たちを「ピンク・トライアングル」の胸章で識別して精神病院に入れたり虐待していた歴史に遡る。

LGBTQの当事者たちは長い歴史のなかで、プライドや権利のために戦い、自分たちをポジティブに象徴するシンボルとして変化させた。

ネットで見る限り、ピンク・キャピタリズムに対しての論考は広告やメディアの在り方を変えたことは評価しているものの、手放しで賞賛できないというものが多い。
クィア・ベイティングという手法で、同性愛であることをほのめかし、当事者などを引きつける(餌)として、LGBTQのアイデンティティを利用するものもある。

これまでの歴史への敬意なくフリーライドできるようなものは警戒し批判することは重要。

そして、背景を理解して、現在も残る社会課題と向き合った上で、エンパワーメントする試みを諦めずに続けていく必要がある。


プライド月間について書いたnoteはこちら。


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