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【3冊まとめて読書感想文】「自分とは?」とか考えるのもうヤメだ!って心底思えた3冊

突然だけど、あなたは「自己肯定感」は高い?自分のこと、好き?

なぜ自分はこういう自分なんだろう?と考えることがある?
なにかしようと思ったとき、人にどう思われるか、あれこれ考えたあげくに、やっぱりやめちゃったりする?

もしもそんなふうに自分について悶々と考えてて疲れる・・・って人がいたら、わたしも仲間仲間。そんなあなたに
朗報!てか結論!!

「自分とは何者なのか」とか考えるの意味ないどころか、害のほうが多いからやめたほうがいいらしいよ!!

そのことを教えてくれた、ハッとする本に3冊も最近出会ってしまった。

ああ、もっと若いころに出会いたかったな~そしたら悶々と自分について考えてた無駄な時間(合計人生7年分)くらい、セーブできたかもしれなかった。でも40代で出会えただけでもラッキーと思うし、みんなにシェアしたい!

まず一冊目(トップ画像、左から)

「自意識(アイデンティティ)と創り出す思考」
著:ロバート・フリッツ他

”人生やビジネスを創り出すのに自分が何者かなんて関係ない!”というキャッチコピーからして、目がグッと引き寄せられた。

えっ関係ないの!?

一冊を通して、頭をハリセン(いまもあるのだろうか)でひっぱたかれるような、それでいて吹き出したくなるような文章が続々出てくる。

自己啓発業界は、「自分自身をどう思っているか」こそが人生で最も重要な問いですよ、と語りかけてくる。

アンソニー・ロビンスという自己啓発界の大物は「できるかできないかは、実際の能力とはほとんど関係ない。自分が何者であるかという自己信念の問題なのだ」と言っている。

「実際の能力とはほとんど関係ない」とはよくも言ったものだ。

確かに、よく言ったものだ!!

身も蓋もなくて、胸がスカッとする笑

(※アンソニー・ロビンスとはこの人↓。大統領までコーチした。著書も『一瞬で「自分の夢」を実現する方法』とか『あなたの「最高」をひきだす方法』とか、い・か・に・もなタイトルの本を大量に書いて、高額なセミナーで大儲け)

コメント 2020-09-10 205856



で、ロバートさんの本の話に戻ります。
二度見したくなる文章が多すぎて、Kindleがブックマークだらけになったので紹介する。

世の中には、自分のことを好きな人もいるし、そうでない人もいる。どちらであっても、特段の意味はない。立派な人たちの中にも、自分のことを好きな人も、嫌いな人もいる。そして、自分を好きであろうとなかろうと、誰もが自分が望む人生を送りたいと思っている。

これは自分を愛している度合いとは関係がない。  自分のことを好きでもいいし、嫌いでもいいし、その中間のどこであってもいい。自己愛測定がどんなレベルであろうと関係ない。

自分が好きでも嫌いでも特段の意味はない!って。

ちょっと吹いた。
聞いてた話と違いますけど??

ここで、ロバートさんのお写真も載せておこう。こんにちは!ロバートさん。ニコッ、柔和そうなのにバッサバッサぶった切るんですね~。
そういう人好きです!

コメント 2020-09-10 205856


ロバートさんはフィルムメーカーで、作家で、マネジメントコンサルタント。多才だよ。

ロバートさんいわく、人は幼い頃からの成長の過程や社会生活の中で、知らないうちに外側から押し付けられた「あるべき自分」という理想を内面に取り込んでしまう。その一方で、「でも自分は本当はこうなのだ」という自分についての嫌な思い込み(ビリーフ)も持つのだそうだ。

そして、あるべき理想の自分も、理想に程遠い自分という嫌な思い込みも、偶然の産物でしかないし、変えることもできない!とロバートさんは断言。

そんなあてにならないものを基準に考え込む「自分とは」なんて意味ないよ!と。

自分が何者かを知ることはできない。知る必要も全くない。
自分の成功や失敗=自分自身ではない。
自己肯定感が大切だ、という話はすべて忘れること。世界の多くの偉人たちは自己肯定感など持ち合わせていなかった。

マジか!あんなに自己肯定感たかめるのは大事ですって言われてるのに?
なんとボウイ・ジョージもレディ・ガガも、自己肯定感、超ひっくいんだって。

この「理想の自分」と「自分についての嫌な思い込み」の間を行ったり来たりしている間は、同じことを繰り返す構造の檻の中から、出られない。

檻から出るには?
ロバートさんのメッセージは明快。

自分自身と、自分の創り出す人生とは別もの。自分がどうとか関係なく、自分が創り出したいものに集中することでしか、人生を好きなように創り出す力は生まれない。


人生の基本的な指向を変えることだ。何が大切かを測る物差しを変えるのだ。「自分は何者か」ではなく、「自分にとって大切なことをどれだけ作り出せているのか」にフォーカスを移そう。

そして、もうひとつ、「えっ!」と思ったのが、完璧さを求めたい、才能を使い切りたいという願いを持つことに対しても、「それ、幻想だから」というバッサリ否定していたこと。

そもそも才能は自分自身を定義するものではないし、才能やポテンシャルを活かす義務はない。ピアノがうまいからといってピアニストになる必要もない。社会に貢献して自分を正当化しなければという想いも、ムダな重荷でしかないから捨てていいと。

持ち物、肩書、学歴、生まれ育ち、実績、才能、理想、社会への貢献度、影響力、そういうものはぜんぶ「自分自身」とは別物…なんか、ごっそり気が楽になった。

うすうす、自分とかほんとどうでもよくない・・・?と思ってたけど。

やっぱり感。
ロバート侍に、斬られてスッキリした。


***

そして、2冊め。人からもらって積ん読していたこの本を、上の本と同時進行で読んだ。読み時サイン。シンクロニシティってやつね。


insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力 著:ターシャ・ユーリック


タイトルだけ見ると、ロバートさんと真逆のことを言っているように一見みえる。自分を忘れろ、という話と、自分を見つめろ、という話、まったく逆のアプローチかと最初は思った。
でもこの2冊、アプローチは違えど、根本は同じことを言っていた。

自分について「考える」ことと「知る」ことは違う。日記をつけて内省していると思っている人が、自己認識ができているわけではない。
自分について「なぜ」と考えることはムダ。「なぜ」の答えとして思いついたものは単に最初に目についただけの正しいかどうかわからない答えでしかない。

そして人は最初に「これだ!」と思った答えにしがみつこうとする「確証バイアス」を通して、自分を見ようとする。


このターシャさんも、自己肯定感については手厳しい。自己肯定感を高める(なにをしても叱られない、あなたは正しい)教育を徹底したイギリスの某小学校では、全英最下位の成績となったそうだ。こんなふうに自己肯定感が「幸福感」にも「成功」にもつながってないという調査結果がどんどん出ているという。


ちなみにこちらが聡明そうなターシャさん。(すぐ著者の顔を見たくなる)

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自分が重要な人物だと思うか?という質問へのYESの回答率は、1950代には12%だったものが、1989年には80%まで上がった。SNS登場後にはさらに自分!自分!自分!アピールに歯止めが掛からなくなり、「自分教」というカルトに、我々は追い込まれていく。 

下手すると、見つかることのない自分探しや、SNSへのセルフィー投稿だけで一生終わっちゃう!


ターシャさんが教えてくれた大事なテクニック。
「なぜ」自分はこう感じているのかを問う代わりに、「何を・どんなふうに」自分は感じているのか、を問うことが自分を正しく知ることに繋がるのだそう。

たとえば、最悪な気分で一日を終えた日。
「なぜ?」と考えると、「あの人が悪いから」などの被害者意識を引き出してさらに悶々としてしまうだけ。
しかし、「なにを」「どんなふうに」感じているのか?を自分に問うと「疲れている」「お腹がすいている」「仕事へのストレスが高まっている」などの事実を把握できる。そうすれば、対処ができる。

これが、自分について考え込むドツボにはまらずに、自分を知る・客観視して立て直すスマートな方法なのだと。 

***

そして、3冊め。上の2冊のちょっと前に読んでいた、衝撃の本。

「モリッシー自伝」著:モリッシー

80年代にイギリスのザ・スミスというバンドのボーカルだったモリッシーの自伝。スミス解散後、彼はソロとして大成功し、世界ツアーを行う大物になった。歌手としてずっと現役、第一線で活躍するアーティスト。私も10代の頃、スミスに出会って、何も知らなかったけど聴くたびに癒やされた。

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自伝はしょっぱなから、びっくりするほど文句たらたら。生まれたマンチェスターの街、学校、教師、仕事、王室、首相などに対する文句とぼやき(と、たまに自慢と家族愛)が延々と続くのだが、あまりにクリエイティブすぎて、”恨みつらみエンタメ文学”の域へ昇華していて、翻訳も素晴らしいので、ぐいぐい読ませる。たとえば、こんな感じ

レッドモンド先生は年増女で、一度も結婚することなく屋根裏で孤独死して悪臭を放つだろう。

ひど面白すぎるw

そんなモリッシーはソロミュージシャンとしての人気が世界的に高まっていって、世界ツアーをして、「2万枚のチケットが売れた」「スタジアムがいっぱいに」とか書いているのに、その一方で、自伝の中には、ずうっと「愛されない自分、貧乏な生まれの、嫌われ者の、変人の自分」という記述が出てくる。幼いころに植え付けた自己認識を引きずっている。

心温まる瞬間でさえも、絶望にさいなまれることは事実だ。それが、私がわたしである理由なのだ。


でも、引きずってるけど、彼は猛烈に音楽を愛して曲を作り続け、歌い続ける。その苦しそうでいて、純真な喜びに浸っているような、ひたむきで矛盾に満ちた生き方にわたしは衝撃を受けた。そうしてあの音楽は生まれた。


行きたい人生を送れるのか不安でも、音楽は、大きくあまねく演奏され、常に光を示し、出口を示し、または入り口を示し、個性を示し、そして素晴らしさを示していた。



最初の2冊を読んだ今だからわかる。

モリッシーは自分のことがぜんぜん愛せないけど、そんなのそっちのけで自分が創りだしたい世界については、妥協なしで、人生かけて追求している。だからパワーが噴出している。

ロバートさんが言った「自分が好きでも、嫌いでも、どっちでもいい。創り出すものに自己愛のレベルは関係ない。」を生きている。

ちなみにこのモリッシー自伝を翻訳した上村彰子は私の盟友だ。
彼女はモリッシー好きが講じて、モリッシーの素晴らしさを好き勝手に語るサイトをやっていたら、いつの間にか、モリッシー絡みの主要な日本語翻訳はだいたい上村がやっているという状態になった。ある意味、ファン中のファン、公式ファンに上り詰めた人。

上村も自分はそっちのけで、モリッシーの伝道師をひたむきにやってたらこうなった、という胸アツな話であり、まさに自己愛のレベルとかお構いなしに生きている。

***


一生懸命書いたけど、この3冊の本のよさ、伝わっただろうか。
今の自分のちからでは、これが精一杯。

どういうわけか生きてると定期的に、カチャン、と音がして自分を縛っているたくさんの鎖の一本が切れて、前より少し自由になる瞬間がある。

もし10代とか20代とか、もちろん30代以降の人でも、「自分って、自分って」と鬱々と過ごしてて「生きてるのがつらい」とか「社会の中で貢献できてない、自分は役に立ってないのでは」とか「あの人より自分は」とか思って苦しくなっている人がいたら。

この、「自分自身も、自分の親とか周りの人も、かなり壮大な思い込みベースで人生を生きてる」っていう事実をいったん、直視だ。
その思い込みは、かなり適当に、偶然に生まれたものものでしかない。

そして、ロバートさん言うに、理想像にしろ、嫌な自己イメージにしろ、「自分が何を思い込んでるのか」をよーく見てみるのは役に立つそうです。よーく見てみて、自分自身と切り離そう。

そして、ターシャさんのいう自分について「なぜ」を問わずに、「なにを」「どんなふうに」感じているのか、言葉にすることも、忘れちゃいそうだけど、しっかり覚えておきたい。


ロバートさんの金言、もう一回書いときます!

自分自身と、自分の創り出す人生はぜんぜん別のものだ。


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