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ぼくの一生、忘れがたい経験 〜鍼灸師の卵、はじめて患者を看取る〜

こんにちは!「プライマリ・ケア」を担当しています、てつこと長岡哲輝です。

気づけばもう12月!

秋から冬ってなんでこんなに時が流れるのが早いんでしょうね。

なんとなく秋ってエモい気持ちになりませんか?笑

ってことで今回は、ぼくの生涯忘れがたい、エモい経験をみなさんとシェアしたいとおもいます。

わたしの「プライマリ・ケア×鍼灸」という考え方の出発点になった症例です。

図やイラストは使わず、テキストのみでお送りします。

Iさんとの出会い、葛藤。

鍼灸師の資格をとってまもなく、大学院に進学したわたしは、「病棟での鍼灸治療」という大役をまかされるようになりました。

鍼灸師として、右も左もわからぬ状況で、急に医療のなかに放り込まれたので、それはもう過酷な毎日でした。

日々の課題と並行しながら、夜な夜な病棟へ上がり、担当患者のカルテとにらめっこする毎日。

今思うと、ほんとうによくやったな〜と思います。

忘れられない経験は、そんな過酷な病棟での研修中に出会った「Iさん」のお話。

わたしは外科に所属していたので、消化器外科術後、がん、褥瘡、などの患者さんを担当していました。

Iさんは、大腸がんの末期で、いよいよ在宅での生活が厳しくなってきたので、当院へ入院することになりました。

つまり、病院での「お看取り」が目的です。

これまでIさんは、化学療法を受けるとき、在宅医療がはじまったとき、そして具合が悪くなって急に入院したときも、

ぜーーんぶの期間で鍼灸治療を受けてこられました。

鍼灸が大好きなIさん。

「最後まで鍼灸をやってほしい」との家族の希望もあって、私が担当することに。

「がん治療中もずっと鍼灸を受けてこられたってすごいな〜」

「どんな患者さんだろう?」

すこしの期待を持ちながら、Iさんのいる病室へ向かいました。

しかし、そこにはたくさんの管につながれ、朦朧とした意識で遠くを見つめている、Iさんがいました。

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