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【読書レビュー】『「ついやってしまう」体験のつくり方』に感動しすぎた件

ステキすぎる本に出会いました。

いまの私の関心事にバスっと、とてもタイミングよくハマったというのが大きいのですが、
それにしても、
約半年も放置したnoteを久しぶりに書いてみようと思わせるほどに、それはそれはステキだったのです。

この本は、元任天堂の企画開発者がゲームを題材に、
ついやってしまう・思わず夢中になる・誰かに進めたくなる
体験をいかにデザインしていくかということをまとめたものですが、
ゲームやプロダクト開発に関わらず、いろんなビジネスパーソンに役立つ本だと思います。

■ステキポイント(1)
サービス設計やマーケティングなどに活かせるノウハウ

マーケティング界隈でも「体験なんちゃら」とか「なんやらエクスペリエンス」とか言われるようになって久しく、私も私なりに他社の事例やイケてるマーケターさんの記事、講演などは頻繁にチェックしているつもりです。
その流れでこの本にたどり着いたのですが、この本ほど体験デザインを具体的に、かつ普遍的に紹介されているものに、私は出会ったことがありませんでした。
概念的ではなく、施策レベルの粒度まで噛み砕いて紹介していただいているので、あらゆるビジネスシーンで活用できます。特にマーケティングとの親和性はめちゃくちゃ高いと思います。
いますぐ業務に取り入れたい、すぐやりたい!と思うポイントがてんこ盛りです。

■ステキポイント(2)
この書籍自体が体験デザインされている

この本、読むのが楽しいんです。「つい」読んじゃうんです。
本の後半で種明かしされていますが、この本自体が体験デザインされていて、読者を飽きさせず、次へ次へ誘導するように作られているんですね。

「この本自体、体験デザインされているなぁ」ということは、読んでいる途中から気づきました。天の邪鬼な私は、いつもならそこで冷めてしまったり、作り手の意図を詮索したりと、違う思考回路が動き始めるのですが、今回はそんなことはお構いなしに「つい」読みきってしまいました。
「読まねば」ではなく、「読みたい」でもなく、「つい」読んでるんですね。
しかも、その体験は決して誘導されたぎこちなさを伴うものではなく、むしろとても楽しい。
加えて、エンタメ作品ではないので単に楽しいで終わっていては意味がなく、確実に私自身が体験デザインについての理解を深め、成長している実感もある。なんなんだこの本は。

書籍というパッケージや読書体験の新たな可能性を感じました。

■ステキポイント(3)
ホスピタリティに溢れている

そして最後に大事なポイント。

この著者の主張の根底にホスピタリティがあるということ。
他の方のレビューを見ると「愛」と表現されている方もいらっしゃいました。
この本に記載されているノウハウは、心理学など学問的にも裏打ちされたテクニックなのですが、決して上から目線で「誘導してやろう」と企むのではなく、「楽しんでもらいたい」というホスピタリティがベースになっています。

一方で、相手(多くの場合は顧客)の弱みを突いたり、激しい言葉を使ったりすることで、相手を誘導するようなノウハウも巷には溢れています。そうやって多くの人に「買わせる」ことがマーケティングだというような主張もあります。

同じ理論、テクニックでも使い手の想いによって、こんなにも表現が異なり、相手に与える印象・影響を変えることができる。そして、人に優しい愛のある方法でも結果を出すことができるということを、この本が証明している。私はこちらに進みたい。

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