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サーキュレーター

夏でも上着を着るという話を昨日、したばかりなのであるが、そうは言っても、真夏は暑い。いや、残暑も暑い。それを落ち着かせるためにはやはり、扇風機は必須アイテムである。

真夏や残暑の厳しい時期の早朝、事務所に出ると、ムッとする。館内冷房が開始され効いてくる時間までは、この時期は、やはりこの扇風機の力に頼ることになる。ようやく涼しくなってくるのは、8時30分くらいからだろうか。

テレワーク全盛の時代に突入して久しい。そもそも事務所に出る機会が大幅に減った。営業職でさえ、直行直帰を旨とするようになり、事務所にわざわざ戻ってまで仕事をする時間は、大幅に減った。すると、朝は始業時間の感覚も鈍ってきて、残業という感覚も同様に薄れてきている。そうなると必然的に冷房がかけられている時間も少なくなってくる。すると、夕方、残業時間も、扇風機が活躍することとなる。その時間は、18時くらいからである。

扇風機とは言っても、大型の首振りタイプは、もちろん事務所には持ち込めない。小さな、局所的にあてる程度の、いわゆるサーキュレーターというものを持ち込んでいる。

私は、それを机上に置き、暑ければそれを首から上の部分に当てるようにしている。最近買い換えたのは、コンパクトで充電できて持ち運べる。しかもタイマーもついているし、強弱3段階に切り替えられる優れものである。首は振らないが。私は、これを、すこぶる気に入っている。


いつも早朝に出勤するのだが、真夏の季節、冷房が効いてくる時間までは2時間以上ある。その間に、まずは、強を5分程度当てる。少し落ち着いてくると、中に入れ直し、だいたい10分。あとは、冷房が効いてくるまで、弱で過ごせる。そして本格的に冷房が効いてくると、その弱すら必要はなくなる。

よく、同僚や上司に言われる。

上着なんかを着ているから、そんなものが必要なんだよ

確かに外から見ると、そういう風に見られるかも知れないが、実は、上着は体に習慣として染み付いていて、動き回らない限り、それほどの暑さを感じない。ことさらに暑いと思う時は脱いで手持ちすれば良いだけだ。

だが、そういう同僚や上司は、会議室で冷房が効きすぎてくると、途端に寒いだの設定温度が高くならないかだの、言い出す。そのたびに私は、

ほらね。だから言ったでしょ。上着は便利なんだって。

と、表情はひとつも変えないが、心の中で笑いながら小さく呟いている。


中には、

扇風機も電気を少なからず必要とするんだよ。コスト削減のためには、勝手に使わないでほしいな。

などという人種もいる。そしてそういう人種に限って、出勤してきて部屋が暑いと、冷房の設定温度を目一杯下げてそのままにし、総務から忠告を受ける原因を作る。

ただ、最近のオフィスは、館内冷房は集中管理で部屋ごとの設定はできないようになってきていて、より融通が効かない。まして、公共交通機関や店舗、顧客のオフィスなどは、自分で調整などしようがない。


どうして上着を着ているんですか。

とか、

今時上着を年中着ているなんて、時代感覚が古い。

とか、

真面目なんですね。

などと声をかけられるが、自分としては、ある程度の合理性をもって上着を着るという選択をしている。そしてそれは、私がよほどの変わり者なのだという印象を、周囲に与えているのも事実である。


思うに、やはり、自分で自分の身を守るというか、温度調節の権限は、自分で少しは持っていなければならないのだと、私は思う。いつ、いかなるときも。そのためにサーキュレーターを事務所に置いて適宜活用をしている。もちろん、古典的な人力サーキュレーター、扇子は夏の必須アイテムとして常に携帯している。

私が真夏でも上着を手放せない訳は、実は、この2日間書いてきた理由だけではない。別に、あるのだ。だがそれは、いつかまたの機会に、書ければ書こうと思う。別に、たいした理由ではないけれど。

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