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初代

毎日のようにキウイブラザーズの話を書いて、よく飽きないなと、自分でも思う。そして、長女の話題も、今日で4日連続。これからも長女の話題は尽きないと思うのだが、秋の長女の4部作ということで、今日も、その長女絡みの、しかも、キウイブラザーズ2部作の、キウイブラザーズのお話である。

長女の家に、ゴールドのキウイブラザーズを預けた翌日、家内が私に提案してきた。

フリマアプリで、キウイブラザーズ、セットで売っているよ。買う?

家内が私を慮っての、折角の申し出だ。有難いのはやまやまだが、

いや、やめておく。

ちょっと寂しげに、うつむき加減に、でもキッパリと、そう、こたえた。

何故ならば、数量限定のものを、手に入れて即座に高く売ろうとするなんて、そのモノに対する愛が、なさ過ぎるのでは無いかと思うのである。

少なくとも私は、キウイブラザーズが本心で好きだ。だからこそ、転売ヤーの誘いには乗りたくない。たとえ、手元に何も残らなくても。その方が、よほど潔いし、愛情深いではないか。

すると、家内が言った。

ふーん。

何だか、流れが変だぞ。私は、心の中で、小さく呟いきながら、家内を振り返った。

じゃあさぁ、これは?

そこには、キウイブラザーズとはあまり似ていない、でも、同じくゼスプリのマスコット人形があった。そして、「初代」と書いてあった。

私は、それを見るなり、少しの躊躇もなく、

うん。買う。

と、即答した。


私の頭の中では、こんな考えが巡っていた。

初代は、もう、世の中で手に入れる手だては無い。希少価値のあるものである。そして、これは、転売ヤーのなせる行為ではない。初代は、ある人の手元にあり、熟成されたうえで、一定の役目を終えてフリマアプリの世界にやってきたのだ。従って、私は、転売ヤーの軍門に降ったのではない。

いろいろ、言い訳、大義名分は考えついたが、結局、やっていることは、一緒かも知れない。しかし、初代は、私のハートをつかんで放さなかった。

家内は、軽快に反応した。

オッケー!

そして、購入のボタンを押した。

ポチッとな!


初代は、今日も、私のために帰りを待ってくれている。今のキウイブラザーズと比べて……。それは、言いっこなしだ。


ところが、ほどなく事件が起きた。

長女に、LINEの中で、家内が初代の写真を、見せたのである。すると、長女は、

え〜!この子、可愛い〜!メッチャ、可愛い〜!!


いやいや、長女よ。初代は、私のものだよ。

私は、嫌な予感のする中、心の中でそう呟きながら、少し薄目になって長女のLINEコメントを斜めに見たのだった。



追伸

長女の家に行ったキウイブラザーズ・ゴールドは、タンスの上ではなく、こんなところにお引っ越しをしていました。長女曰く、毎日朝晩、お話をするのだそうです。

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