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【テキスト】銘柄選別の考え方と基準(超長期銘柄分析シートと解説付き)

2022/3/25 更新!!

相場サイクル論に関するコラムでは「長期的な相場変化を捉える視点(=マクロの視点)」の重要性を、投資スタイルに関するコラムでは「長期で闘えるスタイルの確立」の重要性を説明してきました。つまり「投資は長い時間を要するものだ」ということはお分かり頂けたと思います。

…となると、次は「長期で闘える銘柄を選ぶこと」が重要になってきます。長期で闘える銘柄とは、シンプルに言えばファンダメンタルズ(財務)に「問題がない銘柄のこと」です。財務が安定していなければ、安心して長期保有することが出来ないからです。加えて、成長性に期待出来る要素を見い出せれば尚良いでしょう。そのためには、銘柄選びの際にどんな点を考慮すればよいのか、具体的な判断ポイントはどこにあるのか…こういった重要なポイントを深堀りしていきます。

今回のコラムは、セクションB以降が有料となります。B以降では、実際に私が使用している分析シートを使って解説しています(ご購入後は分析シートもダウンロード頂けます)。相場サイクルに合わせて、どんな銘柄を、どんな基準や目的で観察しているのかを説明しています。どんな銘柄を「買うべきか」を述べるものではありません。相場サイクル論でマクロ視点を磨き、今度はそれに合わせて銘柄を選ぶ力を身に着けて頂きたいと思っています。「ファンダ分析はわかっているから分析シートだけ欲しい」という方は下記のリンクで別途「分析シートのみ」を販売しています。

超長期投資銘柄分析シートのみ

A:時期に応じて投資銘柄のタイプを変える

まずは具体的な銘柄分析や銘柄選択の話の前に、大枠の投資イメージの話をします。私は相場サイクルを前提として、サイクルごとに仕掛ける銘柄タイプを変えることをお奨めします。特にサイクル前半(金融相場~業績相場)は、比較的苦労せずに株価は上昇していく傾向があります。この時期は、相場サイクルの4つの季節の中で素人さんや初心者さんが最も参入してくる時期であり、買い手も多い時期です。2012年後半以降や、2020年の世界大金融緩和以降の金融相場がそれに該当します。

悪い言い方をすると、この時期はファンダメンタルズが悪いボロ株でも話題や人気が集中すると株価は騰がってしまいます。その様な株は買うべきではない…とまでは言いませんが、ファンダこそまだ回復していないが「赤字から転換しそうな大型バリュー株」や、成長株だけどファンダメンタルズが安定している銘柄(中~小型バリュー株)を狙うことも有効であり、安全です。

反対に、サイクル後半の株価低迷期(逆金融相場~逆業績相場)に推奨するのは超長期投資です。前半の時期とは打って変わって、この時期は何を買ってもキャピタルゲインは得られない、と言っても過言ではありません。この時期に取るべき選択はいずれかです。

➀空売りを取り入れる

➁相場から一旦身を引く

➂超長期投資で配当重視(インカムゲイン)の投資に切り替える。

➀の空売りは私は専門外だし、➁は解説に意味をなさなくなるので割愛します。➂の超長期投資は長期で配当も享受しつつ、チャンスがあればキャピタルゲイン(売買益)も狙うことになりますので、逆金融相場以降の暗黒期でも戦うことが出来ます。配当狙いの場合、もちろんファンダメンタルズ重視でバリュー株を選んでいくことになります。

インカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資が何なのかピンと来ない人は、下記のコラムを読んでみてください。それぞれのメリットやデメリットも説明しています。

サイクルの後半期は、何と言っても精神的負担の連続です。これでもか、というくらいに暴落が続く時もあるし、家を失ったりする人も出てきます。まずは精神的に負担が少ない投資を目指すことが大前提になります。この時期にキャピタルゲインを狙おうとしても、下落相場では対応が難しく、デメリットが重くのしかかります。だから、超長期投資の目線で「インカムゲイン投資がベースだけど、そのデメリットをなるべく消せる銘柄を選ぶ(=キャピタルゲイン投資の要素を少し取り入れた視点、つまり成長性も期待出来る銘柄を選ぶ)」ことが重要です。これも下記のコラムで解説しました。

以上を踏まえ、サイクルの前半期では業績回復株や成長株でキャピタルゲインを狙う投資を、後半期では超長期投資に基づいた配当投資をするのが理想的です。時期によって保有株のウェイトやタイプを変えていく、ということです。こんなイメージで伝わるでしょうか?

時期によって選ぶ銘柄のウェイトを変える

金融相場が始まる前の逆業績相場は、夜明け前の真っ暗な時期です。この時期には、ファンダ重視で選んだ配当株(もちろんバリュー株)を仕込むのが安全だと思います。金融相場が本格化したらこれを徐々に「売り上がって」利確し、出遅れているバリュー株や勢いのある成長株に資金を振り直すイメージです。金融相場では配当という「安定性」よりも「資金効率」を重視します。これらの銘柄も業績相場が終了する頃から利確し、持ち株を減らし始められると理想的でしょうか。

ただし、てっぺんを狙って売り抜けることは不可能ですから、深追いは止めておくが吉です。上手な買い下がり方と売り上がり方は、こちらのコラムで説明しました。

他のコラムをしっかり読んで頂くと、今回のファンダメンタルズの考え方に対する理解は深まると思います。

では、ここからはいよいよ「どんなポイントを意識して銘柄を選ぶのか」を説明します。

セクションBでは「成長株、バリュー株どちらを買う時にも大切なこと」を、

セクションCでは「成長株を買う時に特に大切なこと」を、

セクションDでは「バリュー株を買う時に特に大切なこと」をそれぞれ解説していきます。企業の安全分析をより慎重かつ多角的に行う方法や、銘柄選びの+α要素として、どんな点を意識して銘柄を選ぶべきか等を説明していきます。

特に、各セクションに共通してお伝えしたいことは「安全性の分析に重きを置いている」ということです。シンプルに言えば倒産しないこと、これが最低限の投資条件になります。

これは様々な角度から計算式を作ってみないと見えないこともあるので、付随する「分析シート」を使ってまとめて計算出来るようにしてあります。四季報などを参考に各種の数字を入力すると、計算と判定(色分け)が出来るようにしてあります。購入後にダウンロード頂けますので、ご利用ください。ご提供するシートはExcelファイル形式となっています。

分析シート例

分析シートには、あらかじめ私が観察している銘柄が例としていくつか入力されていますが、自分の気になった銘柄がある場合は、セルを追加したり、計算式をコピーして自由にお使い頂けます。もちろん、例に挙げている銘柄を上書きして使って頂いても構いません。市販のツールほど立派なものではありませんが、自分で選んだ銘柄の分析が「値段の割に」しっかり出来るので、ファンダメンタルズ分析に興味がある方にはオススメです。初心者~中級者の個人投資家がある程度の銘柄分析をするにはコストパフォーマンスは十分かと思います。シートの右側には、自分の購入株数を入力すると配当金を計算してくれる機能も付けています。NISA口座と合算して税引き後の金額まで算出出来るので、長期計画を立てるにも便利です。

このシートをご利用頂くにあたり、私と同じ銘柄を買うことを推奨するつもりはありません(むしろ、相場サイクル観察のためだけに組み込んでいる銘柄もあるくらいです)。また、買うタイミングや売るタイミングについて言及するものでもありません(違法行為になりますので)。

市場には数多くの銘柄が存在し、中にはまだまだ埋もれた優良銘柄もあるはずです。「どんな銘柄を観察しておくと相場サイクルの季節感を掴みやすいのか」、「どういう点に気を付けて銘柄を選ぶとリスクを下げられるのか」を学んで頂きたいと思っています。あくまでも「相場サイクルの各季節に合わせ、ファンダメンタルズの良い銘柄を選んでいく考え方を皆さんにお伝え出来ればよい」と思っています。これまでに身につけた力を試しながら、自分で銘柄を開拓していく眼力を磨かれると良いと思いますし、そうやって自立出来る投資家が増えてくれることを願ってこのnoteを書き続けています。それが日本経済を元気にする一番の方法だと考えています。

シートのデータは、3ヶ月か、遅くとも6ヶ月に一回は四季報などの発売に応じて更新していきます(一度ご購入頂いた方は、更新されたファイルを無料でダウンロードし直すことが出来ます。これが有料購入の一番の特典かと思います)。

有料解説(分析シート付き):780円 ※分析シートはExcel形式です

分析シートのみ:680円

更新情報:2022年3月25日現在

☆2022年3月 久しぶりの更新なので、今回はお値段据え置きです。

☆2021年6月 6月発売の四季報に合わせてバージョンアップしました。

改良点➀ 四季報前号との比較をグレードアップ
前回の改良に続き、今期と来期の予想売上や営業利益を比較出来るようになりました。
改良点② 銘柄タイプの項目を追加
時価総額に応じた銘柄規模のイメージがわかりやすくなりました。成長株なのか、業績回復株なのかも区別しています。
改良点➂ 相場サイクルの各季節における傾向の項目を追加
過去の株価動向などを参考に、4つの季節においてどんな傾向があるかを簡易的に表示しました。
改良点➃ 観測銘柄の入れ替え
現在の相場サイクルに基づき、資金効率などを考慮して観測出来るラインナップに更新しました。

☆2021年1月 12月発売の四季報に合わせてバージョンアップしました。

改良点① 四季報前号との比較
四季報を見ていると、前号あたりからコロナダメージから業績回復してきた銘柄が増えてきました。回復の見通しが本当に正しいのかをしっかり捉えるため、前号の売上予測と今号の売上予測の数字を並べて記載することにしました。前号の数字と並べると、業績予想修正があった企業が順調に回復している様子がわかりやすくなっています。
改良点② PSRの導入
PSRは、今の時価総額が売上に対して割安なのかどうかを計る指標です。ここ一年くらいの間に認知度が上がってきている指標です。割安性分析の精度が向上しました。
改良点➂ 観測銘柄の入れ替え
中国経済や政治の不安定さを考慮し、観察銘柄を一部入れ替えました。

☆2020年7月 6月発売の四季報に合わせてバージョンアップしました。

改良点➀ 企業の割安性を測る項目の追加
目先の余裕資金、という視点から割安性を見ることが出来ます。コロナ騒動により目先の資金繰りに苦しむ企業が増えてきましたので、手元流動性資金で分析を出来るようになりました。


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