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PCMデジタル録音の歴史

音楽用のコンパクトディスク(CD)が発売されたのが1982年ですが、その10年前に既にデジタル録音は行われていました。実は世界初のデジタル録音を成功させたのは日本で、会社は日本コロムビア、今のDENONでした。

この時、日本コロムビアが実用化したのは映像記録用(VTR用)の2インチテープに13bit・47.25kHzのPCMデジタルの音楽を記録できる業務用PCMレコーダーの「DN-023R」という機種でした。この当時はまだデジタル記録に最適な量子化ビット数やサンプリング周波数がよく分かっておらず、手さぐり状態だったので、13bit・47.25kHzという中途半端なフォーマットになっていたようです。

この47.25kHzというなんとも中途半端なサンプリング周波数も、VTRの水平同期周波数15.75kHzのちょうど3倍でこういう数値が選ばれたようです。

1974年の2号機では量子化ビット数が13bitが14bitになり、1979年の4号機でようやく16bitになります。

ソニーもPCM録音技術の開発を行っていて、1977年にPCM-1というVTRへの録音機を発売しました。この後オランダのフィリップス社の光ディスク技術を取り入れて誕生したのがCDです。当初のフィリップス案では直径11.5cmで14bitの60分だったのですが、ソニーはあくまで16bitを主張、かの有名なオーケストラ指揮者のカラヤンはベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」がまるまる収録できる74分を希望、16bitで74分にするため、CDの直径は12cmになったそうです。この16bitにしたことが後のPCでの処理に大変都合が良く、CD-ROM用としても広く使われることになりました。

写真は1982年DENON発売のPCM録音のレコードに付いていたPCMの説明書きの抜粋です。なんと、PCMは日本コロムビアの登録商標だったようです。今ではPCMという用語は広く一般化したため、普通に使われていますね。

そのPCM録音LPレコードの再生音ですが、レコードですので当たり前ですがアナログの音です。ただ昔のアナログ録音の頃のレコードと比べると音にクッキリ感があります。ただ、下記のような76cm/秒のアナログマスターテープからLPに記録したレコードもあるのですが、これもPCMデジタル録音と同じくらいクッキリしてて音が良いです。今のCDの音よりは音に広がりと奥行きと音自体にも深みがあります。ちょうどDSD録音された音にかなり近いです。

PCMデジタル録音は日本が世界で始めて開発・実用化に成功した、というのはちょっと驚きですね。なお、高速標本化1bit信号処理で記録・再生するDSDの原理を考え出したのも早稲田大学の山崎芳男氏です。DSDだけでなく、今のD/Aコンバーター(DAC)はこの原理をDAC内部で応用しています。

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