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HIFIMAN ANANDA (開放平面磁気駆動型ヘッドフォン)

前回D8000の記事から大分間があきましたが久々の更新です。今回開放平面磁気駆動方式のヘッドフォン、HIFIMAN ANANDAを購入したので紹介したいと思います。

このヘッドフォンは実売約10万円と平面駆動方式のヘッドフォンにしては比較的リーズナブルな価格帯の製品で、同社製品のEdition X / Edition X V2の実質後継となるモデルです。Edition Xが約21万円、Edition X V2が約14~15万円でしたので、かなり買いやすくなったと言えると思います。なお、ANANDAというのはサンスクリット語で幸福や至福を意味する単語だそうです。

インピーダンス25Ω、感度103dBと平面磁気駆動方式の中ではインピーダンスが低めで感度も高く比較的割と鳴らしやすいヘッドフォンです。重さも399gと軽めです。

本体と付属品

ヘッドフォン本体と3.5mmステレオミニプラグの1.5mくらいのケーブルと6.3mm標準ステレオプラグの3mくらいのケーブルが付いてきます。

この標準で付いてくるケーブルですが、半透明の軟らかいシースに被われていて、タッチノイズはなく、取り回しも良いのですが、どうも細めで頼りないような感じです。写真でも分かりますが、ちょっと強めに曲げるとすぐ屈曲してしまいます。ヘッドフォンとの接続部は3.5mmステレオミニとなっていて、ちょうどD8000付属のケーブルが使えましたので、そちらをANANDAに使用しています。D8000付属ケーブルは太くしっかりしていて安心感があります。音もこちらのケーブルの方が良いように思いました。

なお、同じようにヘッドフォンに3.5mmステレオミニプラグを使用しているSONYのMDR-Z7MDR-Z1Rのケーブルは、3.5mmプラグのチップ(T)とリング(R)を使っているのに対して、ANANDAはチップ(T)とスリーブ(S)を使っています。同じくbeyerdynamic T1 2nd Generationのケーブルも同様なので使えないと思います。下の写真はWikipediaのプラグの説明の写真です。

※2018年11月12日追記
その後、SONYのMDR-Z7MDR-Z1Rのケーブルやbeyerdynamic T1 2nd Generationのケーブルも使えることが判明しました。ヘッドフォン内部ではチップ(T)とリング(R)でもチップ(T)とスリーブ(S)でもどちらでも対応できるようになっているみたいです。

ANANDAの振動板について

ANANDAの振動板はNsD (NEO supernano Diaphragm)という厚さ1~2μmの極薄の振動板を使っています。ヘッドフォンの内側から振動板を見ると向こう側が透けて見えるほどです。HIFIMANのHE1000やHE1000 V2等のハイエンドのヘッドフォンではこの極薄の振動板が前から使われていたようですが、HIFIMANのSUNDARAやANANDA等のミドルレンジ製品で採用されたのは初めてみたいです(同社従来製品より80%薄膜化したとのことです)。なお、D8000の振動板の厚さは12μmなので、このくらいの薄さが一般的な平面磁気駆動方式ヘッドフォンの振動板の厚さのようで、ANANDAの振動板の薄さが際立っています。

デジタルオーディオプレイヤーでの直接再生について

このANANDAはスマートフォン等のポータブル機器でも鳴らせるというふれ込みで、A&ultima SP1000 CPの3.5mmジャックに繋いで再生してみたところ、大体音量130~132くらいで再生できました。ただSP1000の最大ボリュームが150ですので、かなり音量を上げる必要があり、一般的なスマートフォン等での再生は出来なくはないと思いますが、このヘッドフォンを過不足なく鳴らそうとするとヘッドフォンアンプを使った方が良いと思います。

音質について

このヘッドフォンですが、これまで様々な平面磁気駆動方式のヘッドフォンを使っていますが、その中でもトップレベルの音質です。平面磁気駆動方式らしく解像度は高く、非常に細かい音の再生に優れ、また高音まできれいに伸びていきますが、特筆すべきは中低音の再現性の良さです。中低音の再現性の良い平面磁気駆動方式ヘッドフォンと言えばfinal D8000ですが、個人的にはfinal D8000にも負けていない素晴らしい音質だと思います。特にANANDAは大きく開口部を取ったハウジングのおかげか、音抜けが非常に良く、また音場も広く感じます。音場についてはD8000はどちらかというと頭内定位のヘッドフォン的な鳴り方でしたので、ANANDAはよりスピーカー的な鳴り方に近いと言えます。音調もやや暗めでどっしりした感じ(シルバーコートケーブル使用でやや明るめになりますが)のD8000に対してANANDAは低音から高音までバランス良く音色が自然でニュートラルな音調です。ヘッドフォン自体の装着感も良く、399gと比較的軽量で、大きいイヤーパッドですが側圧も強くなく長時間着けていても快適です。ただ、音漏れは盛大で、外からの音もヘッドフォンに入ってきますので、静かな建物内での使用が良いと思います。

上はiriverのACRO L1000に繋いでみた写真です。だいたいボリュームは8割ぐらいで駆動できています。これ以外にもHugo2でも満足に鳴らすことが出来ます(Hugo2だとボリュームの色がエメラルド~ややブルーくらい)。

ACRO L1000やHugo2でも十分音良く鳴らせますが、現在据え置きのヘッドフォンアンプはSONY TA-ZH1ESをメインで使っているので、そちらの接続も試して見ました。XLR4ピンはD8000に繋いであり、そのまま6.3mm標準プラグに繋いで鳴らせますが、TA-ZH1ESはヘッドフォンプラグ毎に独立して音量調節できず(RCAのプリアウトのみは独立して音量調節が可能)ので、あるヘッドフォンに音量を合わせると、別のヘッドフォンに切り替えた際に音量が大きすぎるということが起こります。

そこで、やや変則的な使い方ですが、TA-ZH1ESの3.5mmステレオ出力をiFi micro iDSD BLのアナログ入力に繋いで、TA-ZH1ESの音量はXLR4pinの音量レベルに固定しておいて、micro iDSD BL側で音量を調節することにしてみました。ただ単純にTA-ZH1ESとmicro iDSD BLを3.5mmケーブルで繋いでも良かったのですが、以前雑誌の付録についてきたラックスマン製真空管ハーモナイザーがあったので、真空管ハーモナイザーを介してTA-ZH1ESとmicro iDSD BLを繋いでみました。

これがかなり使い勝手も音も素晴らしく、TA-ZH1ESにはSSD搭載ネットワークオーディオサーバー・IODATA Soundgenic RAHF-S1をUSB接続しており、iPhoneのfidata Music Appで快適に音楽鑑賞を楽しむことができています。 

まとめ

HIFIMAN ANANDAはさすが長年平面磁気駆動方式のヘッドフォンを開発してきたメーカーの製品だけあって、比較的リーズナブルな価格にしては極めて完成度が高いヘッドフォンです。ヘッドフォンアンプに要求するスペックも高くなく、ポータブルヘッドフォンアンプで十分駆動可能です。ただ音漏れが大きく外音遮断性が無いので、静かな室内での利用がメインのヘッドフォンです。ヘッドフォンのアーム部分が細めで、振動板の開口部も大きく、軽量化のため全体的に華奢な作りなので、ポータブル機器での再生をうたっていますが、持ち運び用途には向いていないと思います。

#ANANDA #ヘッドフォン #オーディオ #AUDIO #HiFiMAN #平面駆動型

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