来なくてよかった朝 / 20200511

目まぐるしいね。きみと眠った夜のこと、夜が、凄く遠くて、遠くて、朝なんか来ないかと思った。来なくてよかったけど、きみと迎える朝は、なんだかすごくきらきらしていて、まるで稚拙だけれども、この世のどんな朝日よりも綺麗だった。見下ろせばカラスがひしめき合って、こわくて、苦いブラックコーヒーで目を覚ましながら、カラスが幻覚だったことを知る。許そうとする辺り、机の木目が、くらくらと歪み始めている。待ちわびた。この時をずっと。生まれた時から。死にゆくときまで。唐墨が真っ黒に朽ち果てて、漆黒が僕らを染め上げるまで。きみはもうゆるせないので、沢山の鈍痛に隠してしまうことにしました。

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