見出し画像

自分の自画像に自分で色を塗る

私の学生時代のお話です。

*********

そもそも私は、高校で「進路を選ぼう」ってなった時に、音楽の専門学校に行こうと思ったんです。

「音楽業界で働きたい!」

って目をキラキラさせながら、結構本気で親に相談したんですが、当時は鼻で笑われました。

私は、小学生の頃はバスケ部、中学時代は陸上部、ボール触れて走れるから、高校時代はその2つを活かしてハンドボール部と、もう運動しかしてなかったのもあります。

音楽に関して、何もしてないに等しかったのに、なんでイキナリ音楽なの?!
っていう驚きと、
親としては「そんな不安定な業界で果たして喰ってけるのか」という心配や懸念、これも当然あったと思います。

スクリーンショット 2020-10-22 1.12.27


その時「現役の看護師」として働いてた母親が・・・
(※今も現役だった)

「看護師になるのはどう?」


と、提案してきたわけなんですよね。

いやいや看護師て。
待ってよお母さん、と。

私は別に、人のお世話とかに全然興味がない。

人の役に立ちたい、命に関わる仕事がしたい、なんて思ったこともない。
なんで「看護師」なんだと。

この時、看護師の先輩としての母親の発言は、こうでした。

「自分のしたいことができるから、生きたいように生きれるから、
看護師に、まずなってみなさい。」


もうわけがわからない。
わけがわからないけど、家出する勇気も、音楽の専門学校に行くお金もない。

で、泣く泣く専門学校に入学したわけです。

スクリーンショット 2020-10-22 1.16.43


入学前も、未練たらたらで音楽学校の資料を毎日眺めて過ごし、看護学校の資料も入試科目にもまるで興味はなくて、適当に受験して、なんとなく受かって・・・

最低レベルの「意識低い系」新入生が誕生しました


学校の勉強自体は、成績を取ることは必要なことだからと思って、それなりに一生懸命やってましたが、

ついに試練がやってきます。
言わずもがな、実習です。

最初は必死で、絶対に記録とか勉強とかで徹夜、みたいなことに陥らないように、自分を「省エネモード」から逸脱させないように、必死でコントロールしてましたが、周りの意識・環境が、どんどん自分とかけ離れていきます。

最低限の省エネモードで切り抜けられる状況じゃない。
むしろ、努力してないことがダサい、みたいな環境になっていく。

同じ実習グループの仲間は、
「私この処置を経験したいです!気管内吸引の清潔操作をいっぱい練習してきたので、やらせてください!」と、
実習で手を挙げて申し出ます。

みんなで「経験項目」を取り合いする。
そして、どんどん経験していく。

そんなある日、先生に呼び出されます。

「ちょっと、経験項目に全然チェック入ってないけど、やる気ある?」

スクリーンショット 2020-10-22 1.20.36


絶望。

本気になってないの、私だけなのかも。
唯一私だけが、マジじゃないのかも。
もう流して流して、こなしてこなして、卒業すればいいや、って思ってたのに・・・

3年生の、最高学年のど頭に、ガツンとやられたわけです。

本気にならないと、自分にも仲間にも、患者さんにも、指導者さんにも、
全員に対して失礼じゃないか。

そして何より、「ダサい」じゃないか・・・

そんな風に感じて、全ての自信を失います。

スクリーンショット 2020-10-22 1.22.53


そんな時、当時流行っていた、Mr.Childrenの「シフクノオト」というアルバムの中の、「Any」という曲に出会いました。

今僕のいる場所が 探してたのと違っても
間違いじゃない 答えはきっと一つじゃない
何度も手を加えた
汚れた自画像に ほら
また12色の心で
好きな背景を描き足していく


この曲を聴いて、
「あぁ、こういうことだったんだ・・・」と。

ポロポロと、涙が出ました。

「今の居場所が気に入って無くても」
「思ってたのと違っても」
「答えは一つとは限らないし」
「自分で自分の色を、どんどん上から描き足せばいいから」

って言われた気がしたんです。

しかも、自分の「心」で描き足そうよ、って。

これって。

感情とか意識とか気の持ちようで、不正解も正解に出来るし、間違いの中に正しさを見つけられるし、絶望の中に希望を持てるんじゃないかと。

スクリーンショット 2020-10-22 1.29.24


とりあえず、思ってたのと違う場所でも、
息を吸って、前に進んでみよう、と思えたんです。
見事に、息を吹き返した瞬間でした。

音楽の専門学校に進学したかった私が、めちゃくちゃ大衆音楽のJ−POPに心を救われた、という皮肉。


でもそこからは・・・


今この瞬間の、目の前の出来事に「マジ」になろう。
本気で、真剣に向き合おう、と考えるようになりました。

些細な出来事も、人との出会いも、患者さんの言葉も、怖い指導者も優しい指導者も、果てしない調べ物も、記録も、寝不足も、全部「意味がある」と思えるようになりました。

というか、目の前に起こった現実とか事実、現象を、
「意味のあるものにしよう」と思った、のほうが近い。

「自分のしたいことができるから、生きたいように生きれるから、
看護師に、まずなってみなさい。」


その言葉の真意を、今噛み締めながら生きてます。


「看護師という資格をフル使いして幸せになろうよ」っていう、過去の動画でも語ってはいますが・・・

看護師という職業で得られる経験
対人関係能力
ベーシックインカム
場所とか土地を選ばない資格の強さ
そういうものを軸にして、基盤にして、その上にどんどん自分のアイデンティティ・活動・「色」を重ねていく。

それが、結婚や出産の人も居るし
海外留学の人もいるし
一旦看護師を離れて別の職業に就く人もいるし
私の学生時代の友人には、完全に看護師をやめてキッチンカーとかはじめた同級生も居るし
プロのスノーボーダーもいる。

私も1色1色と、自分にしか塗れない色彩感覚で、色を塗り足していけたらいいな、と思ってます。


Nバク

※2020.10.21「Nラジ」より抜粋

「Nバクの活動を応援したい」と思って頂ける方は、是非サポートを!!!!! 「頑張るナースに捧ぐ」ための活動資金に当てさせて頂きます。