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エスノグラフィのビジネス応用を15年ほどしてきた人がfreee入社後に思うこと

この記事は freee Designers Advent Calendar の 11日目です。

こんにちは。Design Leadのawaです。シニアスタッフ的なものだと思ってくださいませ。「デザインプロセスの質を保つ人」が、Design Leadと呼ばれています。

2021年6月にfreeeに入社しました。
B2B SaaSプロダクトマネジメントにデザインリサーチのスタッフとして参画していて、とくに業務観察(エスノグラフィ)を軸に試行錯誤をしています。
freeeの前は、学生〜前々職(パロアルト研究所)で「エスノグラフィを起点にしたイノベーション」プロセスのクライアントワークを、前職(UniFa)で自社プロダクト開発をそれぞれ実践してきています。
JTNC系の音楽、年代の古い服、象などを好みます。

早いもので、freeeに入って半年が経ちました。
この記事では、freeeのデザイン組織にご関心をお持ちかもしれない方へ、「学生を長いことした後にビジネスに行き、エスノグラフィをしていて気がついたらデザイン組織にいたぞ、という40ちょい前の人」からみて、入社後半年してfreeeがどんな感じで見えているか、を共有していこうと思います。
というのは、すごい勢いで入社後にオッと思ったことを忘れていく(当たり前になっていく)ので、一度言語化しておこう、どうせなら記事にすれば誰かの選択の役に立つことももしかしたらあるかも、と考えたためです。

文中、freeeのUX部にいる人をUXと呼んでいることがあります。
いろんな位置取りの人が重なり合って、いわゆるダブルダイヤモンドを形作っているようなイメージを持っています。

プロダクトマネジメントの1レイヤーとして、デザインが定着している

当初から、freee、素直にすごいなーと思っているのは、社内におけるデザインの位置付けです。
プロダクトマネジメントの1レイヤーとしてデザインが全社的に認知されています。プロダクトマネジメントの教科書に載っているような有り様がかなり現実化されているな、と思います。
具体的には、UXデザインの体系だった社内研修があったりとか(社外で講師をするメンバーもいるので、質も客観的に担保されている)、UXとPMをはじめとした他職種がほんとに日常的に協同でリサーチをしていたりとか、経営陣とデザインに関するレビュー会が定期的にあったりとか。
つまり、学びの環境、実践の環境、経営陣のコミットメントが全部ある、ということです。

なお、入社前から注目していたのは、当時のCOO、現CXO(Chief Experience Officer)の管轄にデザイン組織があることでした。
freeeでは、CXOの管轄にPM、PMM、UXがひと固まりとして位置付けられ、この3職種が連携してプロダクト体験とその戦略の企画をしています。
個人的に、デザイン組織は、企業の各機能の間で能動的なハブのように機能するのがよい(たとえば、社内受託のような存在ではなく)と考えてきたので、現在の組織体制は僕にとっては説得力があります。
なんだかんだで、組織図に会社の思想って出ますよね。

みんな当たり前に勉強してるし、リサーチもしている

勉強やリサーチをするのが当たり前、という空気があります。
「この本読んでないんだよねー」みたいな話をすると、往々にして誰かからスッと読書メモが差し出される感じです。
ああー、やっぱり読まんとなー、という健全な焦りが起こります笑

また、リサーチをしているのは「一般論としてそれっぽい人たち」、たとえばUX、PM、マーケティング、事業企画とかに限りません。
UXデザイン手法の講座をするよーと言うと、各所の興味のある人からわらわらと手があがる感じです。
専門性の垣根はなくて、なにかするにあたり調べられることは調べよう、を素朴に真っ直ぐ実行に移している会社かと思います。

このような空気は、会社の業務領域を反映しているとも言えそうです。
というのは、freeeは業務アプリケーションを作っている会社なので、ドメイン知識の学習は避けられません。
「日々の勉強とともにある生活になります」ということは、ここで素直に共有しておきます。

デザインリサーチやUXリサーチの立ち位置、特徴あり

そんな文化があるfreeeでデザインリサーチやUXリサーチのスタッフになるのは、やはり相対的に珍しい類の経験なのかもしれません。
たとえば、定性でいえば、ユーザビリティテストはUXデザイナーが、ユーザーインタビューはPMがメインで担当していて、これらをする「だけ」ではあまり独自の価値を付加できません。

いきおい、2021年冬時点では、プランニング、メンタリング、ファシリテーション、仕組みづくりの要素も強めに求められます。
動的に各種ダイナミズムに入って、また、ダイナミズムを作りに行かないと、価値が出せません。
ここは、入社後、あらためて頭を切り替えたところでもあります。

デザインリサーチチームについては、立ち上げメンバーの2人による発信も合わせてご参照くださいませ。

ホリゾンタル方面は、意外と発展途上

直前に、「動的に各種ダイナミズムに入って」と書きましたが、その度合いを強めているのがこれです。

上場後のベンチャーというものはさぞかし整っているのだろうなあ・・と思って入社しました。
で、率直な事後の感想は、「思ったより、だいぶベンチャーですね?」というものです。
プロダクトはバーチカルに立ち上がっているのですが、どうホリゾンタルに価値を出していくんだろう、なところはいろいろ考える余地がありそうだなあ、と。
あと、緊密な横連携によっていろいろアレしてきたんだなあ、とも思われます。表現からいろいろ感じ取ってくださいませ。

そのようなわけで、「freeeってもうベンチャーじゃないんでしょ?」と思っている方には、部分的にはそうだけど、部分的にはわりかし全然そうじゃない、とお答えいたします。

若者が躍動している

freeeの若者は、自分が必要だ、と思うことを言語化し、共有し、形にすることに逡巡が少ないと思います。
一石を投じがち、です。
なんだか活き活きしてるなあ、自分も進化しないとなあ、と思わされます。
雑談の中で無邪気に鋭い質問が出て、うおっと思ったり。
そんな若者たちがいるので、40らへんの人で、「あーなんかヤバい、と日常的に思っていたい人」にはいい環境ですね。

※他に適した語が思いつかなかった、という理由だけで「若者」という語を使っています。若いからあれこれすべき、といった動きは見たことがありません。

バックオフィス領域に持っていた先入観について

もう一つ、もしかして、自分のような先入観を無意識に持っている人も読んでいただいている方の中にはいるのかな?と思って書いてみます。

会計や人事労務などというと、とかく数字に強くなきゃ、とか、資格がある人の世界なんでしょ?、とかのおカタいイメージがつきまといます。
少なくとも僕は、前職が保育領域のプロダクト開発だったこともあり、入社は決まったものの、なんというか、ちょっとドライな、数字数字した世界に行くのだなあ、という感慨を持っていました。

いまではそれは傲慢な先入観だったな、と思っています。
リサーチのなかで触れる人々のストーリーは、やはりどこまでも人間が作り出しているものですし、喜び、葛藤など多種多様な感情に接します。
バックオフィス領域は思っていたよりずっと人間くさいです。
もし、このようなドメインに行くと体温のようなものが感じられなくなるのではないか、と思う人がいるとしたら、おそらくそうではないよ、と伝えたいです。この点、freeeに限らないと思います。

また、会計や人事労務はどの組織にもある普遍的な存在である分、幅広い立場の方々にお会いできる機会があります(いつもご協力ありがとうございます)。
少なくともリサーチという意味では、クライアントワーク並の幅・自由度があるのではないかと思います。

UX部の雰囲気など、そして結びのことば

・・・と、以上のように当初からいままでに感じていることのスケッチをしてきました。
スケッチにすぎないので、個々のトピックについて掘り下げて語る余地はあり、おいおい書ければと思います。
エスノグラフィについてなにも書いてないですね。いろいろ、してます。動きやすい環境ですよ。そこは、記事から感じ取っていただけるのかもと。

なお、僕自身は、入社前、freeeのUX部に「なんかガチな感じだよなー」というイメージを持っていました笑 
実際には、楽しい人たちなのですが、加えて、何事も追求する人が多い感じはしています。
ゲームな人、コーヒーな人、ビールな人、料理な人、ボルダリングな人、島でホステル運営してる人、ヅカファン(宝塚ファン)の人、なにかあるとまず3Dプリンターで自作始める人、ディズニー好きでランドとシーに週1行っていた人、オンライン会議は常にバ美肉の人、スニーカー好きで300足近く持ってる人、などがいますね。

なお、若者Sくんによるおじさんずの写真です(ありがとう)。一番右が僕です。

UX部のおじさんずがまとまりなくビールを飲んでいる絵

それぞれのアレがソレですね、といった塩梅でしょうか。

さて、freeeにはマジ価値2原則、マジ価値指針というガイドラインがあります。

本記事では、個人が思うことを書き連ねる、という意味合いで、それらへの言及はしませんでした。
ただ、上記を読んでいただいた上でこれらに目を通していただくと、ああそういうことかな?などと想像いただけることも、あるいはあるかもしれません。
また、社員も、ああそういうことかな?を、ふと振り返っていると思います。
たとえば、ユーザー中心ということばではなく、マジ価値って言ってるのはなぜなのか、とか。
もしもご興味があれば、ご一読いかがでしょうか。

最後になりますが、freeeでは一緒に働く仲間を常時募集しております。
お気軽にご連絡いただけますと。

実際、僕もfreeeとはじめて話したとき、転職は具体的に考えておりませんでした。
転職についてそれぞれのペースを尊重する会社だ、ということは自分の経験から言えます。

それでは、また。
明日は、tottsuさんです。
入社前にtottsuさんの記事読んでいろいろ想像してたのを思い出します。
人生いろいろ。


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