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情報調査力のプロフェッショナル

はじめに

誰しも一度は情報調査をしたことがあると思います。自分の好きな食べ物や料理、旅行に行く前に現地のことを調べたことはありますよね。
また、仕事で必要になって調べることもあると思います。情報調査のシチュエーションは様々です。
自分のことで自発的に調べるものはいいのですが、仕事で調べる際には困ることもあると思います。

この記事では、私が実際に仕事で調査をする際に困っていたことについて書こうと思います。

困ったこと

調査をするとき、いつも次のようなことに困っていました。

・際限なく調査を続けてしまった
・充分に調査できているのか分からない

私以外にも、このことに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
要するに、抜けなく・漏れなく調査ができているのか分からず、調査のやめ時が分からなくなってしまうという事です。

いつも期限のギリギリまで調査して、時間の余裕がない!!

完全に嫌気がさしていた私は、情報調査について書かれた本はないかと探し始めました。
そんなときに「情報調査力のプロフェッショナル」というドンピシャのタイトルの本に出会いました。

この本を読んで、悩みの解決のヒントをもらうことができました。
個人的に重要だと思う2つのポイントがありましたので紹介したいと思います。

2つのポイントはこちらです。

1、調査の前に事前確認する
2、「調べるサイクル」を回す

順に紹介していきたいと思います。

調査の前に事前確認する

調査を依頼されたときに、皆さんはどうしていますか。
とりあえず調べ始めるというやり方をしていないでしょうか。
正直、私はしていました。
しかし、情報調査力のプロフェッショナルはそんなことはしません。
以下のポイントを事前に確認することが重要だといいます。

①目的
②具体的な内容
③納期
④アウトプットイメージを明確に

例えば、自社製品の説明資料を作るために仕様について調べてまとめて欲しいと上司に言われたとします。
いきなり調べ始めると、どんどん悩みが発生します。

悩んでいる人

自社の製品はジャンル別にものすごい数があるが、全てを調べるとかなり時間がかかる・・・。
自社の営業向けの資料だとすると他社に対して売りになるポイントを見つけ出した方がいいのか・・・。

このように際限なく調べることが膨らんでいきます。

正直、悩みが発生するだけマシだとも言えます。
この時点で上司に質問できる人もいるのではないでしょうか。
最悪なのは思い込みを持ったまま進めて、いざ期限がきたら全然上司の望むものと違った、というケースです。
そうならないよう、それぞれ確認して行くとどうなるでしょうか。

事前調査の図

①目的
新入社員向けに自社製品の概要を知ってもらう
②具体的な内容
Aというジャンルの製品を全般的に調べて欲しい
③納期
新入社員説明会の1週間前までには必要
④アウトプットイメージ
一覧表を作ってパワーポイントにまとめておいて欲しい

ここまで確認が取れているとどうでしょうか。
調べる範囲も限定され、新入社員向けということで基本的なことを記載した方が良さそうだということも分かりますよね。
実際はここまでうまく聞き出せないことも多いですが、全く確認しなければ地獄が始まりますので、必ず聞くようにしましょう。

「調べるサイクル」を回す

続いて、「調べるサイクル」について紹介したいと思います。
情報調査に重要な一連の流れ、それが「調べるサイクル」です。
早速見ていきましょう。

①知識ギャップを認識
②情報源リストとのすり合わせ
③情報の獲得
④検証・判断
⑤伝達
⑥情報源リストの整備

調べるサイクルの項目は上記の①〜⑥です。この①〜⑥を繰り返し回して行くことが重要になるといいます。

調べるサイクル図解

それぞれ詳細を紹介したいと思います。

①知識ギャップを認識
知識ギャップを認識という表現は聞き慣れないかもしれませんが、調べる対象について自身が何を知っていて、何を知らないかを認識するということです。これによって、目的達成のために何を調べれば良いのかが分かってきます。
②情報源リストとのすり合わせ
これは、調べたいことについてどこを当たれば情報が得られるか、自分の経験をベースに考えることだそうです。
前にこれを見たら書いてあったとか、あの人に聞けば詳しそうだとか、そういったことに見当をつけておきます。
③情報の獲得
これは言わずもがなですが、②で挙げた手段を用いて実際に情報を得ることです。
④検証・判断
検証・判断では、得られた情報が使えるものかどうか考えてまとめます。
情報が古い場合や、不確かな場合は使える情報とは言えません。
⑤伝達
得られた情報をまとめ、それに基づいた結論を伝えます。得られた情報をただ伝えるだけでなく、そこから導き出される結論や結論を出すための方向性を自身で考えて伝えることで情報調査のレベルがアップします。
⑥情報源リストの整備
今回あたった情報源を、次回に活かせるように整理しておきます。例えば、このサイトでは〇〇業界について詳細に書かれていたとか、この新聞には他社の動向に関する情報が得られた、などです。

このようにして、調べるサイクルを意識して繰り返し回すことで、何について調べればいいのか、情報を得る上で充分な情報源にあたれているのかが分かるようになりますよね。
調べるサイクルというのは、自分の調べたいことを調べるときには誰もが無意識にしているのですが、ビジネスの場面になると忘れてしまう人が多いのだそうです。ビシネスの場面でもぜひ使いこなしたいですね。

まとめ

これまでの内容をまとめておきましょう。

・調査の前の事前確認で調べる範囲や内容について明確にしておく。
・調べるサイクルを活用することで、調べなければいけないことや充分な
 情報源に当たれているかが分かるようにする。
そうすることで、現実的な範囲で抜け・漏れのない情報調査ができる

「現実的な範囲で」と言った理由が、この本に書かれています。
情報調査を行う上では、この情報の溢れた現代社会において、完全に抜け・漏れのない調査を行うのは不可能であるということを忘れてはならないのだといいます。
私たちが1〜2日かけて探した情報よりも優れていて知られざる重要な情報というものは、なかなか無いのだそうです。

言われてみれば確かにそうですよね。

どこかにあるかも知れない信憑性も定かではない情報の幻影を何日も追うなんて、すごくもったいないと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
私は、この本を読むまで調べても見つからない情報を、際限なく調べなければいけないような気がして悪魔の証明的な悩みを抱えていました。
それが、自身の取り組み方一つで解決できるのだと知れて、とても嬉しかったです。
この記事が私と同じような方の悩み解決に繋がればもっと嬉しいです。


この本では、調査の取り組み方が不十分な場合や筋の良い場合を、登場人物たちが上司に仕事を振られた時の各々の取り組み方のストーリーでわかりやすく説明されています。
また、著者の上野佳恵さんが情報調査のプロフェッショナルとなる経緯などが書いてあり、非常に参考になる上に面白い本です。
皆さんもぜひ読んでみてください。

それではまた。

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