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業務スーパーのマーケティングトレース

はじめに

今回は普段からよく利用していて気になっていた、業務スーパーのマーケティングトレースをしました。

基本情報

業務スーパー基本情報

「良いものをより安く」が理念になっており、低コスト・高品質なものを消費者に届けたいという考えが伺えます。
参考URL:神戸物産 https://www.kobebussan.co.jp/
     業務スーパー https://www.gyomusuper.jp/gs/index.php
売上・営業利益はIR情報にグラフが載っておりましたので添付したいと思います。

神戸物産_売上高2

神戸物産_営業利益2

業務スーパー_店舗数推移

売上2,996億円、営業利益192億円、業務スーパー店舗数851店舗と、全て過去最高となっており順調に拡大を続けています。

PEST分析

続いて業務スーパーを取り巻く環境の分析を行いたいと思います。

業務スーパーPEST分析

政治的な面では日本の食品安全基準が世界的に見ても高いことが、海外から安い食材を輸入しようとする際の障壁になりコストが下がらない課題があります。
そんな中、経済的には消費者の節約志向が高まっており、飲食業界としては非常に苦しい状況だと言えます。
社会的な面では食品ロスの減少が急務となっており、食品を冷凍保存する流れが加速してきています。裏付けとして低温物流市場は年々拡大しているデータがあります。その助けになっているのは、技術的な面でおいしいまま食品を保存できるような冷凍保存技術の向上があるからだと見られます。今後もますます冷凍食品の市場が拡大していくでしょう。

5 Forces分析

食品業界の構造を分析します。

業務スーパー_5Forces分析

原材料の価格も人件費もどんどん上がり、どの業界も慢性的な人手不足です。これにより売り手の交渉力は高いと考えられます。さらに消費者の節約志向の高まりにより買い手の交渉力が高い状態であると言えます。
新規参入の脅威と代替品の脅威を考えると、価格はスーパーより高くなりがちなので脅威としては弱いと考えられます。
直接競合にはOKストアやロピアといった格安スーパーを設定しました。
参考URL:OKストア https://ok-corporation.jp/ 
     ロピア http://lopia.jp/

3C分析

業務スーパーの戦略を分析します。

業務スーパー_3C分析

業務スーパーという名前ですが一般消費者でも買い物することができ、飲食業と一般消費者の両方の市場をとることができています。
広告費をかけない・問屋を介さない仕入れなどを徹底することで安価に消費者に提供できるところも競合とは異なり強みになっています。

STP分析

次にマーケティング戦略を分析します。

業務スーパー_STP分析

全体を通して見えるのは、一般消費者と飲食業の2つの市場に対し同一の戦略が通用することです。ここに目をつけ、市場を拡大できたことが業務スーパーのマーケティング戦略の肝になるのではないでしょうか。
また、店舗での購買体験よりも低コスト、調理時間短縮という購入後の体験に重きを置いていることも特徴になっていると考えられます。
これらからポジショニングマップは以下のように考えられるのではないでしょうか。

業務スーパー_ポジショニングマップ

OKストアはOKクラブ会員証を提示することで3%引きで買い物ができます。またオネストカードという商品が将来的に価格が下がることなどを消費者に伝える仕組みがあり、安くなるまで買うタイミングを待つことができたりお得に買い物ができます。
ロピアは、店長の名前に因んだ特売日を設けたり、POPを自作したり、汽車の模型が店内を走っていたり店舗ごとに特色のある顧客体験を提供しています。
これら競合は業務スーパーよりも顧客体験に力を入れていると読み取れます。
そしてどちらも一般消費者向けの市場がメインのようです。

4P分析

マーケティングミックスで価値提供について分析したいと思います。

業務スーパー_4P分析

PriceとPromotionが特徴的だと感じました。
価格は、カット加工や下味をつけた冷凍食材は加工済みにもかかわらず安価になっています。
広告はWebチラシがメイン店舗ごとにSNSで発信していますが、価格の安さと珍しいPB商品や海外調味料によってファンができ、ファンがSNSやブログで情報を拡散してくれています。
ファンのSNSやブログをみるとどれも「安いのにおいしい」という内容になっているのが凄いところです。

もし自分がCMOだったら

最後に今後の業務スーパーの戦略を考えました。

業務スーパー_もし自分がCMOだったら

業務スーパーはまとめ買いに便利ですが、ショッピングカートは一般的なスーパーと同じサイズになっています。そのため主婦と子供で2台のカートを転がしている場面主婦1人で2台のカートを操る場面をしばしば目撃します。カートの容量を大きくすれば1人で扱いやすくなります。また、カートがすぐに一杯にならないので、一度にまとめ買いしてもらえる量が増え売上が向上すると予想します。そしてカートに商品を入れるだけで会計までできるようにすればそのまま車まで運ぶことができて楽ではないでしょうか。さらに消費者1人あたりの購入量が増えることによるレジでの会計時間増加への対策になると考えます。
レジなし会計のメリットはもう一つあります。今はレジでの会計時間を最大限かけないようにするため、レジの早い人材を雇用していると考えられます。レジなし会計ができるようになれば、単価の高い人材を確保することもしなくて済むことも大きいのではないでしょうか。

おわりに

このマーケティングトレースを通して、店舗にいる消費者の行動が意味することを考えて隠れたインサイトはなんだろうと考えることを実践できたように思います。想像の中で見出すことも重要だと思いますが、実際の活動の中からアイデアを見つけられたことが今回の収穫でした。
インサイトについて書かれたこちらの書籍がとても参考になります。

また、業務スーパーのことを調べる過程で、業務スーパーのことを業務スーパーの人より知り尽くしているのではないかという業務田スー子さんという方の存在を知り、ブログを拝見しました。
業務スーパーの食材を活用したおいしい食べ方を紹介されているのでおすすめです。是非読んでみてください。


それでは失礼します。

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