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結んだ約束はそう叶うまい、ただ自転車こぐきっかけさ

2020年3月31日、4年間勤めていた仕事を辞めた。
辞めると同時に、4年間住んでいた山梨から旅立つことになった。

4年前にわたしは地元である北海道を出て、縁も所縁もない山梨県へ単身で乗り込んだ。振り返ればとても無鉄砲な選択だったと思う。初めての就職、初めての一人暮らし、初めての本州生活。なんとかなるだろうと思ってえいやと飛び込んだ。

山梨に来るきっかけを思い返すと、いろんな出来事が数珠のように繋がっている。ここでは割愛するけれど、どれか一つでも欠けていたら山梨で働いていなかっただろうな。今しかできないことだと思って選んだ仕事だった。人生って本当にどう進んでいくかわからなくって、面白い。

なんとかなると思って飛び込んだ山梨生活は、2年間くらいはなんとかなっているようで、実はなっていなくって、でもむりくりなんとかしながら暮らしているような状態だった。子供との関わり方は手探りで自分のやっていることが合っているのかもわからなかったし、日々暴言に曝されるのも辛かったし、何よりも心を開ける人が職場にいなかった。その頃はとにかく気持ちがしんどくって転職活動をしようとしてた。でも3年目になってチームの人が信頼出来るようになったり、自分のあるべき姿も何となく見えてきたり、子どもの成長も感じられるようになったりして、この頃には仕事が楽しくなっていた。もちろん迷いはあったけど、ケアワーカーがどういうものかが掴めてきた時期だった。4年目にはチームリーダーも任されるようになって、チーム以外の人ともコミニュケーションを取るようになった。そうすると、職場のこと自体が前よりも好きになった。子供との関係もますます深くなっていったのを感じて、毎日が本当に楽しくなった。

それでも私はこの職場を、山梨を離れる。子ども達と離れるのも、職場の人と離れるのも、正直とても寂しい。自分にとって4年間も同じコミュニティーに所属するなんて初めてのことだった。ここでは感情をありのまま出すことが出来ていたし、自分のことをすごく受け入れてくれている場所だと感じている。4年間力を入れ込んで作った関係を、また別の人と別の場所で作れるのかもとても不安だ。だけど離れる。自分の人生をここでずっと過ごすのかと思ったら、それはまた違うと思ったから。

今の職場は少数の子供と生活するという性質上、子供たちと密接な関係が作れる。それゆえ、段々と子供達のことを家族のように思い始めてしまい、気づけば仕事に対しても「その子たちのために」という視点が強くなりすぎてしまっていた。だけどそれは私のしたいことのほんの一部でしかなく、自分の人生を「誰かのために消費している」という感覚も同時に生まれ始めていた。子ども達のことも大好きだし、この場もとても居心地がいいけれど、人生を消費するのじゃなくて、私はちゃんと私の人生を生きていたい。誰かの人生のための私じゃなくて、私の人生のための私でいたい。だから、いる場所はここじゃないと思った。

私の人生を生きるためにしたいことは、ちゃんと自分の家族と向き合うこと。広い世界で子供や社会と関わることをすること。大好きな北海道で何かをすること。この三つだった。

最後の日。子供たちや職場の人に送り出してもらった。いろいろと手紙をもらったり、言葉を交わしたりして、玄関でみんなが見送ってくれた。退職というよりは、出発という言葉の方が似合う雰囲気だった。
私がいなくなることに対して寂しがる子ども達に、「また会えるよ」「会いに来るから」と何度も何度も伝えた。「また帰っておいで」と言ってくれる職場の人達に「また帰ってきます」と答えた。

その日の夕方、山梨を出る電車に乗った。電車の中で、4年間の辛かったこと、楽しかったこと、最後に子ども達と過ごした時間、もらった手紙、職員の方々の言葉、いろんなものを思い出して、涙が出て来た。4年間、張りつめていた糸が切れたみたいにどっと出て来た。もちろんまだまだ出来たことはある。だけどやりきったと思えた。少し自分を認めてあげたいとも思えた。またいつか「帰ってくる」という約束を叶えにこなきゃな。帰ってくる場所が増えたのは幸せなことだ。約束が実現するのはいつになるかはわからない。だけど、次会うときには恥ずかしくない自分でいたいと強く思う。そのためには、もっと前に進みたい。

来週からわたしは地元に帰り、中学校で働く。
高校生のころ進路を考えるにあたって絶対にやりたくないと思った仕事の一つが中学校の先生だった。
人生って本当にどう進んでいくかわからなくって、面白い。

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1990.7 / 北海道→山梨 / 子供に関する仕事 / like...音楽、映画、漫画、写真、自然、建物、人の想いを感じられるもの
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