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煙草を始めた頃の話

大学四年から煙草を吸い始めた。

仲の良かった友人から酔った勢いで勧められ
当時の私も興味本位で一緒に吸った


吸い方が分からなくて困惑していると

「はい、咥えて吸って口に入れる。はい、それを肺に入れる。はい、出す」
と丁寧にその友人は教えてくれたけど


わたしは「肺へ入れる」という行為が理解できなくて
見様見真似で必死で真似するも出来ず、
何が面白いんだか全く分からないのに友人と涙を流しながら酸欠になる程爆笑した記憶がある


でも昔から、煙草には良いイメージを持っていなくて。

長女であるわたしが生まれる前から、父は結構な量の煙草を吸っていて

わたしは父が好きでは無いので
その父が吸う煙草をよく思っていなかった

父は非禁煙者の家族からも煙草の煙と匂いで毛嫌いされていたし
母には身体にも良くないと教えられ続けていたので


抵抗があったし、絶対に自分は吸わない人生を歩むと思っていた。煙草が嫌いだった。


大学の時も、吸うのはその友人から勧められた時だけ
自分で煙草を購入してまで吸うほどはまりもしなかった




でも社会人になってから
誰に促される訳でも無く、一人で煙草を買った


その子が当時吸っていた 赤い箱の9mgのLARK

一人、屋上で吸った



モヤモヤと立ち上る煙
ゆっくりと燃えて段々短くなっていく煙草
肺に入ってくるあの感じ



深呼吸をしているみたいで、なんだか無性に落ち着いた。



決して煙草の量が多い訳ではないが、
たまに屋上に出て煙草を吸う。


今では、一人のその時間が好きだ。


一人に影響される事を嫌っていたわたしが
初めてその友人のおかげで、自分が好きだと思える時間に出会えた。


絶対に煙草なんか と思っていたあのわたしが、
まさか、煙草を吸うようになるなんて


人生、どうなるかなんて分からない。


だけど人生が少しだけ豊かになった気がする
こういうのもいいな と思った


おしまい。