機能的なファッションを求めるようになった話
趣味や嗜好の変化
歳を重ねることによって趣味や嗜好が少しずつ変化してきている。
それは今34歳になって、いわゆる中年になったから変化しているわけではない。
多分今までもそうであって、10歳の時に聞いていた音楽と15歳になって聞いた音楽は違ったはずだ。
それが今、中年というわかりやすい年齢になったことによって、おっさんぽくなったという安易な表現で済ますことができるようになった。
そして、そのおっさんぽさも楽しもうよ、というのはなんとも平和的で素敵だ。
平和的が素敵と思えるようになったのもここ最近のことかもしれない。20代前半までは割と腹の底ではふつふつとアゲインストが沸き立っていた。
そうした、怒りとか皮肉とか劣等感を食い物にして、周りと差別化をはかって自分を守る術を身につけた気になっていたのだと思う。
とかく、最近はこれがすっかりと抜け落ちて、そういう考えもいいんじゃない、でもオレはこっちの方に興味があるからのらりくらりとやっていますよ、というスタンスを保てるようになった。
昔の自分からしたら、なんともツマンネぇ奴だなと思うかもしれないが、今の僕からしたら精神的に自立できるようになったなと客観視している。
まぁ、そんなわけで昔も今も「今が全て」で最新作が最高傑作のロックンロールよろしくをやらせてもらっている。
大小様々に趣味嗜好、はたまた思考が変わってきたのだが、最近新たに自分の変化に一つ気付いた。
それが、ファッションを機能的なもので選ぶようになったということだ。
機能的なファッションを求めるようになった
オシャレは我慢とはよく言ったもので、多少の寒さを堪えても見た目重視に着こなすことがオシャレと思っていた。
コートを着てもボタンを止めずにインナーを見せるといったようなやつだ。
そもそも僕はオシャレさんではないので、頭には「僕なりの」という枕詞を忘れないでいただきたい。
このオシャレというものも厄介なもので、自分にとってはオシャレでも他人にとってはオシャレではない場合もある。
なので、ここではオシャレの定義は自分が着た時に気分が上がるものという意味で使わせてもらう。
僕は今まで、僕なりの気分が上がる着こなしは見た目的なものだった。
それは好きな色使いであったり、シルエットであったりだ。
鏡に映る自分の姿を見て似合っているというもの、あわよくば他人からカッコイイと言われそうなものを着てテンションが上がっていた。
だが、ここにきて機能的なものに心がトキメクようになった。
つい、先日の話だ。
今年一番の大寒波が日本列島を襲うと予報されていた。
寒くなるなぁ、今年は雪が降るなぁと妻と喋りながら、立ち寄った服屋で僕は素敵な服に出会ってしまった。
それは、裏起毛がついたモコモコのパーカー、なんだか優しくなれそうなほどの肌触りをしているのだ。
僕はそれに一目惚れをして、試着もせずに買ってしまった。
家に帰って風呂に入り、早速着てみた。
実際に着てみると思った以上の温もりで、モコモコの大きな熊のぬいぐるみに後ろから包まれているような愛おしさがある。
フードまでモコモコで家の中にいてもついつい被っちゃうほどだ。
これほどまでに服を着て高揚したのはいつぶりぐらいだろうか。
昔は、服を買ったその日に自宅で服を着ることはよくあった。どのようなコーデをすれば合うかといった時もあれば、ただただ嬉しくて自宅ファッションショーをしたりした時もあった。
しかし、それがいつしか服を買うことにトキメキがなくなり、服を買うことがなくなった。
でもそれは見た目としての服でしか見ていなかったからたどりついた結果である。
見た目で買っていた服だから、周りの人の目を気にしなくなったと同時に服に興味がなくなった。
でもファッションというものは機能としての役割も備わっている。
そして、その機能性が優れていると、着ている間はずっと気分が上がるということだ。
これは誰にも指図されない指標で、幸福度が高い。
機能で選ぶと幸福度が維持される
ダセェと言われようが、似合っていないと言われようが、着心地は自分にしかわからないので、それ以上の他人からの批判を跳ね除けることができる。
これは、つまり物事を機能的に見れば、より幸福度が高く、幸福度も維持できるということかもしれない。
そして、この理論は服をはじめとするモノだけに限った話ではない。
人間に対してもそう言えるのではないかと。
見た目で異性を選んでいた人も、歳を重ねると真逆のことを口にするようになる。それは「中身が重要だ」というフレーズだ。
ルックス的な評価よりも、自分と相性がいいかとか、人間性が優れているかという機能で見た方が幸福度が維持できるということだ。
それこそが、人として長く愛される生き方なのかもしれないなと。
最近はもう少しいい人間になりたいとそんなことをよく思う。
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