知識を得ることが目的であれば、それは本じゃなくてもいい

本を読みなさい。


学校の先生や偉い人が言ってきた言葉。



その言い分はこうだ。

本は世界を広げてくれる。


本を読んで知識が増えれば、世界が変わる。
物語を読んで心情や情景に触れれば、世界が変わる。

手垢がついた言葉だが、それは幾分かの的を射ていると言える。


でも果たして本を読むことがそこまで良いことかという疑問がある。


つまり、自分が果たしたい目的は本によって達成できるのか?
それって本じゃなくてもよくね?ということを伝えたいと思う。

僕は昔からちょっとだけ本が好きで、歳を重ねるごとにそのちょっとの好きが増してきて現在に至る。
だから、普通の人に比べれば好きなほうだと思う。


自分に自信がない時、とにかく何か行動をしなければと思い、したことのひとつが本を読むことだった。
そして僕は足繁く、本屋に通い、図書館に通った。


読んだ本をスマホにメモをして、今月は何冊読んだのかを見るのが楽しみになっていた。


そう、いつしか知識を増やすことではなく、本自体を読むことが目的となっていた。
なので、僕は図書館に行って、冊数を増やすためにページの少ない薄い本を借りることもあった。


僕はそれで満足していた。

ある日、友人が家に遊びにきた。

僕は自慢げに、最近本読んでてさぁ、と言った。


すると友人はある一冊の本を手に取りこう言った。


この本、めっちゃ古くない?


それは図書館で借りてきた一冊のビジネス書だった。
発行年数を見てみるとそれは5年以上前のものだった。


図書館には最新刊が置かれている場合もあるが、当然古い本もある。
普遍的な内容のビジネス書であれば、古さに囚われることもない。しかしそうでない場合、古いビジネス書は役に立たない。

目まぐるしく動く時代だ。
数年前のビジネス書を読んでも、それは古い情報であり、知識としては乏しいものとなる。


僕は目的を大きく見誤っていた。


読書をして知識量や情報量を増やすつもりだったが、いつしか本を読むこと自体が目的となっていた。

知識や情報を掴むためなら、何も本が最適とは限らないのだ。


現代においてその方法はいくつかある。

・ネットで記事を追えば、最新の情報が手に入る
・オーディオブックを聴く
・youtubeなどの動画を見る
・その分野に精通した人に話を聞く


知識を増やしたいのであれば、何も本を読まなくてもいいということだ。
ネットの記事は信憑性に欠けるという声もあるが、それは論点からズレている。確かに良質な記事かそうでないかをふるいにかけるための検索力と判断力は必要である。

しかし、それは本に関しても一緒で、一日に200冊以上の新刊が出る中で、良書もあれば、そうでないのもある。いずれにせよ、検索力、判断力は必要になってくる。


となると、本がもたらすものは何かという問いにたどり着く。


そして、その答えは本は文章に触れることによって、語彙力を増やすこと、認知予備力を鍛えるということになる。


文章に触れることによって、ボキャブラリィが増える。そのため、綺麗な文章が書きやすくなる。

次に認知予備力を鍛えるということである。
これは本を読むことによって、脳の機能が高まり、予備のシナプス結合が高まるということになる。つまりはボケ防止につながるということだ。

となると、本だけで得られることはこの2点である。


確かに本を読むことによって、感動したり、知識が増えたりする。
しかし、本を読む時間がない人や、本を読むのが苦手な人はその本の知識が書いてある動画を見たり、その本を読んだ人の話を聞くだけでも相応の知識を得られる。
となると、大切なのは多くの本を読むことではなく、どの本を読むかということになる。





今、自分が何気なくとっている行動は、果たして本質の目的から外れていないか、ということを今一度確認してみるのもいいと思う。


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