弁護士山下瑞木

東京で2011年から弁護士をしています。 第二東京弁護士会、山崎・秋山・山下法律事務所…

弁護士山下瑞木

東京で2011年から弁護士をしています。 第二東京弁護士会、山崎・秋山・山下法律事務所所属。 【Twitter】https://twitter.com/mzkymstlaw 【Website】https://www.mzkymstlaw.net

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  • 【ニッチすぎる法律解説】シリーズ|弁護士山下瑞木

    あまり解説されていない法律知識を解説します。すぐではないかもしれないけれど、いつかなにかの役に立つかも。

記事一覧

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第3回「主張」

前回の続き。 前回確認したとおり、民事訴訟の期日の内容は、 □主張に関する事項 □証拠に関する事項 □進行に関する事項 に大別されます。 今回は主張に関する事項を取…

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第2回「開廷〜期日審理の概要」

前回からの続き。 ■バーの中へ◯◯代理人どうぞ。そう言われ、バー(※)の中に入ります。 ※法廷と傍聴席との間の仕切りをバー(bar)といいます。英語のbarには法曹や法…

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第1回「開廷まで」

今回から何回かにわたって、弁護士が民事訴訟の期日に出頭するときの所作のあり方や心構え、留意点等々について書いてみます。訴訟中心の弁護士として約10年、私なりに考え…

司法関係者が使いがちな「本件〇〇」という用語法【ニッチすぎる法律解説】

法律用語で、一般に使われる意味と違う意味のものがあります。たとえば「善意・悪意」「社員」「期日」といったものです。 また、法律業界では世間と違う独特の読み方をす…

検察庁のいう「裁判」が思ってたのと違う件【ニッチでもない法律解説】

検察庁HPの「チャイルドページ」の記載が一部で話題になっています。 この「チャイルドページ」、率直にいってひどいです。ふだんは細々と「ニッチすぎる法律解説」をして…

来週は4連休!祝日って何を祝うの?【ニッチすぎる法律解説】

Go Toトラベルキャンペーンが話題になっています。結局、7月16日には、「東京発着旅行は対象外へ」という報道。かなり迷走している印象です。 政府がこのタイミングで「Go…

いろはにほへと・ちりぬこる?事件記録符号が愛くるしい件【ニッチすぎる法律解説】

7月14日の記事を書くに当たって、久しぶりに最高裁の事件記録符号規程を見たのですが、この符号たち、意外に愛くるしいところがあります。 符号に使われる文字と並びまず…

事件の名づけはどうやってするのか【ニッチ過ぎる法律解説】

今回は民事訴訟事件のネーミングの話です。民事訴訟はどれくらいあるかというと、だいたい年に50万件くらい起きてます。平成30年度司法統計年報によると、地方裁判所で受理…

私の名前が意外に伝わらない話

電話口で、自分の名前を説明することってありますよね。 たとえば、安倍晋三さんだったら、 ・安定の「アン」 ・2倍、3倍の「バイ」、で「アベ」。 ・高杉晋作の「シン…

続・弁護士は事務機能を外注できないのか【ニッチすぎる法律解説】

「弁護士は事務機能を外注できないのか?」(2020/7/7)の記事を書いた後、永尾廣久「福岡県弁護士会における事務局法人問題のとりくみ」(自由と正義1995年10月号)に接し…

弁護士自転車雑記帖|人と自分と警官と

新型コロナ流行をきっかけに自転車通勤を始めた人が増えているようです。 私もその一人。記事では、 新型コロナの感染リスクについて、9割近くが「公共機関での通勤より…

note初心者が感じたSNSの力と光と陰

7月1日からnoteを始めて、1日1記事ペースで投稿してきました。今朝、ダッシュボードをのぞいてみると、 なんと早くも2,000ビュー!誰も読んでくれないんじゃないかと思い…

プロカメラマンに宣材写真を撮ってもらった話

最近、WEBサイトを開設したり、note始めたり、肩書+実名でtwitter始めたりと、何かとやってみては楽しんでいます。 元はその手のものを何もしていなかったに等しい私が、…

素人なりにロゴをパワポで自作した話

始めた頃から思っていました。背景が寂しいと。 noteやtwitterのヘッダーがすかすかだと、ちょっとこう、落ち着かなさがあるなと。 自分の写真、アイコンの後ろに、何かそ…

弁護士は事務機能を外注できないのか?【ニッチすぎる法律解説】

弁護士法は、弁護士又は弁護士法人でない者が法律事務を取り扱うこと等を禁じており(72~74条)、かつ、弁護士の職務遂行上のルールである「弁護士職務基本規程」は、非弁…

常に心にとめたい【プロ意識を感じる言葉7選】

「プロフェッショナルでありたい」―私が弁護士を志した理由はそれでした。専門的な知識と技能を持ち、研鑽を怠らず、自分の判断に責任を持つ。身につけた力を社会に還元す…

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第3回「主張」

前回の続き。 前回確認したとおり、民事訴訟の期日の内容は、 □主張に関する事項 □証拠に関する事項 □進行に関する事項 に大別されます。 今回は主張に関する事項を取り上げます。前回のやりとりでいうと、 裁判官「原告は訴状を陳述しますね?」 原告代理人「はい、陳述します」 裁判官「被告の答弁書の陳述を擬制します。」 この部分ですね。 ■弁論事項主張に関する事項を特に「弁論事項」(※)ということがあります。 ※刑事訴訟の第一審で「弁論」といえば、証拠調べ終了後の検察官

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第2回「開廷〜期日審理の概要」

前回からの続き。 ■バーの中へ◯◯代理人どうぞ。そう言われ、バー(※)の中に入ります。 ※法廷と傍聴席との間の仕切りをバー(bar)といいます。英語のbarには法曹や法曹界という語義があり、米国の法律家団体はAmerican Bar Aassociationといいますし、米国の司法試験はBar Examといいます。法曹資格とは、仕切りの中に入る資格なわけですね。 ■あなたの席は、こちら座るべき席は、原告の場合、裁判官席(法壇)に向かって左側(法壇から見て右側)、被告の場

新人弁護士必見?民事期日出頭の実務 第1回「開廷まで」

今回から何回かにわたって、弁護士が民事訴訟の期日に出頭するときの所作のあり方や心構え、留意点等々について書いてみます。訴訟中心の弁護士として約10年、私なりに考えながら「こんなふうにするのがいいんじゃないかな」と工夫してきた到達点ですので、特に新人弁護士やこれから弁護士になる司法修習生の方に参考にしていただきたいな、と思います。ベテランの先生からのご指摘やご批判を恐れているわけではありません() ■開廷表をチェック時間に余裕をもって裁判所に到着し、法廷前で待機します。開廷予

司法関係者が使いがちな「本件〇〇」という用語法【ニッチすぎる法律解説】

法律用語で、一般に使われる意味と違う意味のものがあります。たとえば「善意・悪意」「社員」「期日」といったものです。 また、法律業界では世間と違う独特の読み方をするものがあります。「遺言(いごん)」「競売(けいばい)」「兄弟姉妹(けいていしまい)」「境界(けいかい)」とか。 どの業界でも、特有の言葉や用語法ってありますよね。 法律実務における「本件〇〇」今日ご紹介したいのは、わが村でよく使われる「本件〇〇」という用語法です。 たとえばどんなふうかというと、こんな感じです

検察庁のいう「裁判」が思ってたのと違う件【ニッチでもない法律解説】

検察庁HPの「チャイルドページ」の記載が一部で話題になっています。 この「チャイルドページ」、率直にいってひどいです。ふだんは細々と「ニッチすぎる法律解説」をしている私ですが、あえて「刑事裁判制度」というレッドオーシャンに踏み込もうと思います。 どこがひどいのか、私なりに解説します。 裁判っていうのはね このページでは、「裁判って何?」と題して、刑事裁判を説明しています。 冒頭の説明は、 裁判っていうのはね,裁判所で,裁判官が罪を犯した人に,どんな罰を与 えるかを

来週は4連休!祝日って何を祝うの?【ニッチすぎる法律解説】

Go Toトラベルキャンペーンが話題になっています。結局、7月16日には、「東京発着旅行は対象外へ」という報道。かなり迷走している印象です。 政府がこのタイミングで「Go To」を中止にしたくないのは、7月23日からの4連休をにらんでのことではないかと思います。 「Go To」の是非はともかく、新型コロナ拡大といった社会情勢もいったん脇において、祝日ってわくわくしますよね。 っていうか、「スポーツの日」って何?体育の日じゃないの?今回は、そんな祝日、休日について、法律が

いろはにほへと・ちりぬこる?事件記録符号が愛くるしい件【ニッチすぎる法律解説】

7月14日の記事を書くに当たって、久しぶりに最高裁の事件記録符号規程を見たのですが、この符号たち、意外に愛くるしいところがあります。 符号に使われる文字と並びまず、符号がどういう並びになっているかというと、基本的にはイロハ順です。民事の場合はカタカナ、刑事の場合はひらがな、家事は「家」の後にカタカナとなっています。 行政事件だけはなぜかアイウエオ順で、「行ア」から始まり「行ニ」まであります。「六法に入れてもらえぬ行政法」という有名な川柳がありますが、最高裁も、行政事件を特

事件の名づけはどうやってするのか【ニッチ過ぎる法律解説】

今回は民事訴訟事件のネーミングの話です。民事訴訟はどれくらいあるかというと、だいたい年に50万件くらい起きてます。平成30年度司法統計年報によると、地方裁判所で受理した通常訴訟の件数が約14万件、簡易裁判所で受理した件数が約34万件となっています。 これだけありますから、それぞれの事件を他の事件を区別するための「名づけ」が必要です。市民の場合、氏名とか住所とか生年月日とか、あるいはマイナンバーとか基礎年金番号といったものがありますね。民事訴訟事件にもそういうものがあります。

私の名前が意外に伝わらない話

電話口で、自分の名前を説明することってありますよね。 たとえば、安倍晋三さんだったら、 ・安定の「アン」 ・2倍、3倍の「バイ」、で「アベ」。 ・高杉晋作の「シン」 ・漢数字の「サン」、で「シンゾウ」。 とかいうように説明するのではないかと思います。職業や部署もよるでしょうが、弁護士の場合、そこそこ頻度が多い。 「山下」はいいけれどで、私の名前、山下瑞木なんですけど、 ・山・川の「ヤマ」 ・上・下の「シタ」でヤマシタ まではいいのですが、「瑞木」(みず・き)で結構苦

続・弁護士は事務機能を外注できないのか【ニッチすぎる法律解説】

「弁護士は事務機能を外注できないのか?」(2020/7/7)の記事を書いた後、永尾廣久「福岡県弁護士会における事務局法人問題のとりくみ」(自由と正義1995年10月号)に接しました。 やや古くなっているところはありますが、「事務局法人」に関する数少ない文献ですので、本稿でご紹介したいと思います。 論文のタイトルには「事務局法人問題」とあります。事務局法人に慎重なスタンスなのかな、という第一印象を持ったのですが、実際の内容は、全体として事務局法人の普及・活用に前向きな論調に

弁護士自転車雑記帖|人と自分と警官と

新型コロナ流行をきっかけに自転車通勤を始めた人が増えているようです。 私もその一人。記事では、 新型コロナの感染リスクについて、9割近くが「公共機関での通勤より自転車通勤のほうが感染リスクは下がっていると感じる」(88%)と回答した。 とされています。 たしかに、天候とかスケジュールの都合とかで電車に乗ると、人多いな、近いな、と感じます。感染症予防の専門家ではありませんから、感染リスクが下がってるのかどうかを判断することはできませんが、少なくとも、気分的なものが改善し

note初心者が感じたSNSの力と光と陰

7月1日からnoteを始めて、1日1記事ペースで投稿してきました。今朝、ダッシュボードをのぞいてみると、 なんと早くも2,000ビュー!誰も読んでくれないんじゃないかと思いながらも、まあやってみようかと始めてみたわけですが、たくさんの方の目に触れることができて、素直に嬉しいです。 稼ぎ頭とその要因もう少し詳しくみると、 論点回付の記事が圧倒的稼ぎ頭。実に、全ビューの7割。 この記事そのものがとりわけ魅力的だったのか?というと必ずしもそうではなく、はっきりとした理由があ

プロカメラマンに宣材写真を撮ってもらった話

最近、WEBサイトを開設したり、note始めたり、肩書+実名でtwitter始めたりと、何かとやってみては楽しんでいます。 元はその手のものを何もしていなかったに等しい私が、突然WEB対策(おおげさ)を始めて、一部の方から「何?独立するの?」とのご質問をいただくのですが、その予定はないです。もちろん、どういうポジションであれ、自分自身が基盤を持つことは大事だと思っていますが。 こういうことを始めたそもそものきっかけは何だったかな、と振り返ると、弁護士ドットコムのページにプ

素人なりにロゴをパワポで自作した話

始めた頃から思っていました。背景が寂しいと。 noteやtwitterのヘッダーがすかすかだと、ちょっとこう、落ち着かなさがあるなと。 自分の写真、アイコンの後ろに、何かそれらしいものが欲しいな、と思っていました。 旅行先での風景写真といった、当たり障りのないもの。 趣味を前面に押し出したもの。 事務所の看板のように、業務関連チックなもの。 色々考えては画像を探してみたのですが、ピンとくるものがありません。 ロゴ、どうだろう。抽象的なマーク、自分を表すイメージをロゴにし

弁護士は事務機能を外注できないのか?【ニッチすぎる法律解説】

弁護士法は、弁護士又は弁護士法人でない者が法律事務を取り扱うこと等を禁じており(72~74条)、かつ、弁護士の職務遂行上のルールである「弁護士職務基本規程」は、非弁護士との提携や報酬分配を禁じています(11条、12条)。なので、弁護士にとって外部業者への「外注」とか「業務委託」は結構デリケートな問題です。 弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の破産世間、そして業界を大いに騒がせているこの問題。報道(上記ダイヤモンドオンラインの記事、週刊新潮2020/7/9号の記事等)によると

常に心にとめたい【プロ意識を感じる言葉7選】

「プロフェッショナルでありたい」―私が弁護士を志した理由はそれでした。専門的な知識と技能を持ち、研鑽を怠らず、自分の判断に責任を持つ。身につけた力を社会に還元する。理想と正義を胸に、現実と向き合い、人のために汗を流してたたかう。 今回は、仕事をする上で心にとめている、「プロ意識」を感じる言葉をご紹介します。 全力を尽くすことプロフェッショナルとしての基本中の基本は、全力を尽くすことだと思います。まずはストレートに響く一言から。 全力をつくせ。手抜きをするな。 全身全霊を捧