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栄養指導のハードルが高いと思っている人へ

栄養士・管理栄養士が仕事をしていく上で切っても入れない仕事の一つ、「栄養指導」について、自分がこれまで心がけてきた事などについて書きたいと思います。
栄養指導はどうも苦手、怖いと思っている方に参考になればと思います。

ひとまず結論から言いますが、私は栄養指導で患者さんへ挨拶をした後にはまず「最近気になってることや頑張ってることはありますか?」と尋ねます。

ここからはそう考えるまでの出来事などを書いてるので、よかったらのぞいてみてね。

私のことを少しだけ。

私自身の栄養指導歴ですが、急性期病院でおよそ7年間、保健指導業務に1年少々従事していまして、給食管理しつつ担当病棟管理や外来栄養指導、各種医療チームのカンファや回診に顔を出してました。
特に外来栄養指導は2年少々担当し、月平均120件ほど行っていましたので、のべ数千件は行なっているかと思います。

病院退職後も保健指導関連の市民講座やスポーツ選手へのミニ講座や個別相談などしていました。

栄養指導はこんな方たちに。

栄養指導の対象のほとんどは慢性疾患、特に香川県では糖尿病患者が多く、糖尿病に伴う死亡率は長年ワーストを争う位置にいるそれにまつわる疾患が多く、通院歴がそこそこ長い方が多かったです。

大学時代にお世話になった教授からは「管理栄養士と糖尿病は切っても切れない関係だからしっかり学ぶように」と言われ続けましたが、実際、現病歴に必ずといっていいほど名前が挙がるのが糖尿病でした。

更には糖尿病の合併症として腎症が多いことはご存知だと思いますが、指導室のすぐ隣が腎臓内科であったことから腎症に関わる高血圧、慢性腎不全の軽度のものから透析期に至るまでの患者さんや心疾患の患者さんなど多岐に渡りました。

栄養指導で何を話そう?

なので指導に不慣れな初期の頃は毎回が不安の連続で、当日の指導予約一覧に10名近い名前が並んでいるのをみるたびにめまいがしてました。

「この人には、何を話そう?」
「何に気を付けないといけない?」
何を指導しなければ、何を教えなければいけない?

という思いが毎日毎日押し寄せました。
もちろんこの合間に給食管理や病棟からの食事変更問い合わせ、カンファなどがあったので、とても目まぐるしかったですね。

事前にカルテで治療経過を辿っていけど、治療のことは書いてあっても生活のことはほとんど書いてなかったりするので担当している看護師さんや理学療法士さんに話したことなどを聞いて情報を集めていました。

そういった情報と検査値の推移などから、今回話すことを炙り出していきました。

何話す?じゃなくて、何を話してもらう?

そんなこんなで指導を続けているうちに、慢性疾患の栄養指導って「その人のいつもの生活を聴くこと」なんだなぁと思うようになりました。

患者さんには無愛想であからさまに関心のない態度の人もいますが、多くは意外とたくさん「話してくれる」人が多いです。

そこで私はいつしか指導が始まって挨拶をしたらまず「最近気になってることや頑張ってることはありますか?」と尋ねるようにしました。
最初に話したことがこれです。

よほどの無愛想な方でなければ(そういう方も時々いますが。。( ´Д`;) )、結構色々話してくれます。

「先週TVで出てた◯◯缶を買って食べよるで」
「最近、運動始めたんや!」
「庭で出来た柿を食べすぎてね。。」
「孫が泊まりにきて一緒にジュース飲みました」
「連休はちょっと遠出して贅沢してきたわ!」
「会社の納期が近くて深夜残業が続いて何食べたか覚えてないわ」
などなど。

順番を間違えないように。

そんな感じで、頑張っていることなどを糸口に話し始めるうちに、また、前回までの会話があればそれも元に、患者さんの普段の生活で何が注意すべき点かを一緒に考えていきます。

出来るかどうかというよりも、普段の生活から注意点を探っていく感じですね。
それから検査値とすり合わせです。
検査値が先ではなく、今の生活をみてから検査値を照らしていきます

初めはつい、検査値で判断してしまいがちですが、この順番は間違えないほうがいいです。
検査値はあくまでも判断する一つの項目なので、扱い方の順番を間違えないようにしてみてくださいね。

まとめ

どんなことを話すべきかを考えてしまうときは「指導しなきゃ」という気持ちが先行しすぎているかもしれません。
そんな時は「最近〜」のような声かけで、ひとまず患者さんの話しを聞いてみましょう!
そして、話を聞いてからそこで浮かび上がった問題点に合わせたアドバイス(指導)をしていきます。

そしてアドバイスの際は「検査値が高いから、今日からこうしましょう」ではなかなか響きません。
「最近よく食べている◯◯は◆◆くらいの量にしてみませんか?」など会話の中で出たことを積み重ねていきます。
検査値は参考にはしますが、先行はしません!

栄養指導の時間が苦痛だと感じている皆さん、よかったら以上の事を意識してみてくださいね!

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