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転職がチラついた貴方に見て欲しい人事的思考(ビジネス向)

まずはじめに

この記事では、中途の転職を経験し、人事として様々なキャリアの転換点に触れてみて感じた転職に関する思考法に近いものを記述しています。もし転職を検討している人の気付きの一助になれば幸いです。
(もしも失礼な表現があった時は心より謝罪します。誰かを貶める気は1つもありません。)

想定している読者

こちらの記事で書く内容は以下の層を中心に置いて考えています。

・ 民間企業に属しているビジネス職の方
・ 現職に大きな不満は無いものの、漠然とキャリアに思う事がある
・ 転職を検討してはいるものの踏み切れていない方(組織不満のある方)
・ 起業を検討している方

時間が無い多忙な方へ

この記事では以下が主なまとめになります。
忙しい方は、気になった項目だけでも読んでみてください。

1.転職先よりも先に退職日を決めるべきではない
2.企業の体力を見定めるべき
3.昇給は金額だけでなく頻度も見るべき
4.転職活動は転職の為だけではない。

1.転職先よりも先に退職日を決めるべきではない

あなたの身の回りにこんな事を言ってる人はいませんか?
もしくは、貴方自身が転職に際してこんな事を考えてはいませんか?

現職が忙しいし、先にさっさと退職日申請を済ませて、退職日までに集中して転職活動をやるぞ!」

これ絶対にやめた方が良いと思います。
なぜやめた方が良いのかについて、個人的な考えを書いていきます。

理由①「青い鳥症候群的な考え方」
 人の思考法についてですが、基本的に人は「もしかするともっと良い選択肢があるのでは無いか?」と考えがちです。これは青い鳥症候群でも見られるもので、多くの人が選択肢を目の前に用意された時に考えてしまう一種の癖のようなものです。
この思考から脱却するのは非常に難しいので仕方ないとした時に、他に何かを決断し得る要素として「その決断までに悩んだ時間」が重要となるのではないでしょうか?
「もうこれだけ考える事ができたから決めよう」、「これ以上悩んでも決めきれないから、思い切ってしまおう」という考えに至る背景には消費した時間がポイントになっています。つまり「当初考えていたよりも多くの時間が重要となってくる」のです。

理由②「締め切りが迫った時の客観性の欠如」
 先に退職日が決まっていて、少しずつその退職日が迫ってきた時に人はどういう考えになるのでしょうか。
「このままじゃ無職の期間が発生してしまう、今後不利になるのでは?」
「あと◯週間で決めたい、多分いけると思っている。」
と考えてしまう可能性は無いでしょうか。勿論ネガティブな考えばかりではないと思いますが、非常にポジティブな考えになることは稀だと思います。
そんな状態で次に考えてしまう事として、以下の考えが発生します。
「今と概ね同じ条件だし、ここにしようかな」
「新しく内定の出た企業Aよりは、ちょっと前に内定でた企業Bの方がマシ」
もうこうなってくると客観的に判断ができる状態にはありません今よりも良い環境・新しいチャレンジを夢見て転職活動を始めたのに、今と同じかそれ以下の条件が検討対象になってくるのです。
 わざわざ今所属している企業で積んだ信頼残高を捨ててまで新しい環境に飛び込むのに、これではコストとリターンが見合っていません。しかし、この状況になった多くの方がこういった思考に陥りがちです。

これらの理由から私は、転職先よりも先に退職日を決めるべきではないと考えています。親しい友人や知人、なんなら自分の候補者にさえこの話は機会があれば話しています。

2.企業の体力を見定めるべき

ここでは企業体力の話になります。
株価や資金調達など、会社資本の価値ついてはその道の専門家がたくさん書いていると思うので、私からは1つだけ。
「展開しているサービス・プロダクトがどれだけ幅広い内容か、複数の事業軸を持っているか」という点で企業を観察してもらいたいです。

これは、入社後のやりがいがキャリア形成に関わります。
例えばメインサービス1本を展開している会社に貴方が入社したとします。
その会社では多くの方がそのメインサービスに関わっていて、雰囲気もよく、風通しも良い環境かもしれません。
さて、ここでそのメインサービスに逆風(強力な競合の出現、法規制の変更、顧客ニーズ・トレンドの変化)が訪れた時に何が起きるのでしょうか。

まず起きるのは、売上・利益の低下、そして競合との競争優位性を担保するための投資が起きます。
ではその資金はどこから来るのか、経営者から見た時に一番カットしやすいのはどこか、それは豊富な資産が無い場合において「人件費」が選択肢として挙がります。
とはいえ、急に正社員が解雇される事態は起きづらいでしょう。まずは契約形態的に終了を求めやすい有期社員が影響を受けてしまいます。そしてその方々が担当していてくれた業務は正社員に分配されます。
競争優位性が担保されるまでそれは続き、業務量が増加した事によって人が抜ければ更に業務引き継ぎのコストが発生し、雪だるまのように不満が現場に残っていきます。その後はどういう労働環境に流れていくか想像しやすいのではないでしょうか。
しかし、もし複数のメインサービスを有していれば、一方のサービスで得た利益を回すことが可能になるので先述の状況に陥るリスクは低いように思えます。

以上が、企業の体力を見定めるべきとした理由です。
(あくまで人事目線での記述なので、資産に詳しい人間から見るとツッコミ所もあるかもしれません)

3.昇給は金額だけでなく頻度も見るべき

これは勘違いしてしまう方が多いので念の為に記載しています。
例えば、以下のケースだとどちらが年収を上げやすいのでしょうか?
(前提として、昇給額にタイミングによるバラつきが無いと仮定します。)

【ケース1】
半年おきに昇給タイミングがあり、1度で平均2万円昇給するケース
【ケース2】
1年おきに昇給タイミングがあり、1度で平均4万円昇給するケース

↑のケースを見て、すぐにケース1だと判断できた方は読み飛ばして頂いて大丈夫です。
何が起きているかは説明するよりもグラフで見て頂くのが早いと思います。
以下をご覧ください。塗られている色の面積がそれぞれの昇給金額を表しています。
考えてみると当然の話なのですが、半年で昇給する方が1年よりも早く昇給する分、年収を増やしやすいのです。(グラフで言う7月~12月分)

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また、更に次のキャリアアップを考えた時にも、半期分の評価がちゃんと加味される為、年収交渉が若干ですが有利とも言えます。

4.転職活動は転職の為だけではない。

「転職活動は、現職をやめて転職をする為だけのもの」ではありません。
転職活動をする事によって、転職以外に以下のメリットがあるのです。

1.現職を改めて理解することができる。
2.自分の市場価値を測れる
3.現職でのチャレンジへの自信につながる

1.現状を知ることができる。
 これは、特に現職に漠然とした不満を持っている人に有効です。
転職活動をしてみる中で、この不満の根本を他社が有していないかを面談・面接の中で確認してみてください。他社がその不満を持っていれば、どこも似たようなものと考える事で、現職への不満を緩和する事にも繋がります。逆に他社がその不満を持っていなければ、その解決方法を探りましょう。おそらくその会社独自の施策で解決を図っているはずです。それを知ることが出来たのであれば、現職で実施してみれば良いのです。そうする事で貴方の存在価値を高める機会にもなり得るかもしれません。

2.自分の市場価値を測れる
 今いる会社で、自分の正しい評価はされてるのでしょうか?
私が様々な組織の方と意見交換をする中で感じているのは、主に社内で取られる評価手法は「相対評価」が多い事です。組織全体で見て、「そこそこ頑張ってるね。」「もうちょっと頑張って欲しいね。」社員全員に一律の基準で設定された目標を元に、「売上達成凄いですね」などなど…。
 これって正しく貴方の市場価値を測れていると言えるのでしょうか?
転職活動の良い部分として、今の貴方の年収をベースに、働きや人材としての価値をその会社の基準で判断し、オファー年収を出してくれます。
つまり、貴方の評価が現年収という前提を元にして数値として現れるのです。これは1社だけではあまり有効ではないですが、複数からオファーが出た時に凄まじい効力を発揮します。逆にオファーがあまり出なかった時には、今の会社が一番評価をしてくれていたとも考えられます。

3.現職でのチャレンジへの自信につながる
 これは「2.自分の市場価値を測れる」にも似ているのですが、自分の市場価値を見直せた時に、現職でさらにチャレンジングなタスクをへ取り組む時の自信となります。
 なぜなら、貴方は他社が欲しがるようなスキルを有した人材だからです。スキルというのは考え方や、仕事のススメ方などの人がすぐには真似できないモノである事が多いので、今の職場で自信の存在を差別化する要因となり得ます。もしオファー面談時の中で、自分の評価ポイントを聞くことが出来ていたならば、それを武器にぜひ活躍していってください

さいごに

 長々と書きましたが、これは2021年4月時点でのあくまで自分個人の考えを記したものです。属している企業とは一切の関係はありません。
 少しでも面白かったと思っていただけたならば、SNSなどで宣伝してくれると書いた甲斐があったと思えて嬉しいです。

ここまでお読みくださって有難うございます、それではまた別の記事で。

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