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五井先生の文

 人間は誰しも霊的能力はもっているのですが、普通はそれを気づかずに過しているのです、しかしあなたの欲している霊的能力というのは、人の心の中がわかったり、未来の予見が出来たり、病気が直せたりする、いわゆる神通力のことであろうと思います。

 私はこのことについては、自分が非常な苦しみをへてきているので、一般の人がこの能力を欲することが、はたしてよいことなのか、悪いことなのか、一人一人に私自身が面接してみてからのことでないと、なんとも申し上げられないのです。

 そこで、この紙面では、そうした能力を欲するすべての人たちへの答として、ペンを走らせることにします。

 皆さんが真実霊的能力を欲するならば、自己の肉体生命を投げ出してかからなければならぬ、ということを第一に考えのうちに入れなければなりません。少しでも肉体生命に未練があるようでは、霊的能力を欲することは危険であるからお止めなさい、と言いたいのです。

 真実の神通力を得るためには、精神異状の危機、生命の危機に、幾度でも遭遇しなければならないからであります。近頃の巷間には、種々様々な霊能力者が、かなり多くあるのですが、真実人を救い、世を救い得る人がどれ程存在するでしょうか、私は甚だ疑問に思っているのです。

 その人が霊能力者になるならぬということは、その人の守護霊、守護神が知っていることであって、その人の顕在意識ではわからないのです。ですから、農家の一主婦が、病気快癒の祈願をしているうちに、急に霊がかりになって、宗教の教祖になったりしているのです。ところがこの霊がかりの種類は沢山あって、過去世から今生にかけての、その人の想念行為の波に合致した神霊や、人間霊魂や、あるいは浮浪霊魂、感情霊魂(動物霊といわれるもの)等々が憑依してくるのです。

 つまり、その人の日頃からの想念行為の高低によって、憑依する霊魂の高低がきまるのであって、浮浪霊魂や感情霊魂に憑依されている霊能者は、ますますその人の本心がうちに隠れ、人格が低俗になって、その人の霊能によって指導される人々は、常に低級な感情をもちつづけて常識社会の善なる面から逸脱してゆくようになってしまうのであります。

 このように、自然的に霊能力を得る人々でも、日頃のその人の想念行為の高低によって、その人が天的にもなれば悪魔的にもなるのですから、自ら霊能力を欲せんとする人々は、いかなる悪霊(つまり幽界の悪業想念)にも自らの心を冒されぬだけの心の修練が出来ていなければならないのです。ただ単に、人の上に立ちたい、人にほめられたい、人をあっといわせたいぐらいの、低い想いで霊能力者を欲したとするならば、その低い想念に適当する幽界の生物のよい餌食になるのです。

 自己の肉体生命を人々のために捧げようというぐらいの愛他の想いがあって、そのために霊能力を欲してゆく場合であっても、幽界の幾階層をぬけ出て、霊界、神界に到達して真の神通力になるまでには、口やペンには現せぬ程の強い神への信と勇気がなければ途中で挫折してしまうのであります。

 ましてその境地までに至らぬ人が、自我欲望の想念で、霊能力開発の修業してゆく場合は、およそその結果が思われて、私には心寒い想いが致すのです。印度のヨガの修業を日本でもやっている人がおりますが、あの修業などこそ単なる健康法としてやる場合は別として、神秘力の探求のためにやるのでしたら、一身を投げ出す程の欲望放棄の心的状態でやらぬと、その修業期間にとんだ横道にそれて、やらねばよかったというような悔いを残すことになりかねません。もし一身を投げ出し得る菩薩的心になれる人が、その修業に取り組んだとしたら、これは真に神通力を得ることが出来得るであろうと思います。

 私は、そのような自力の行者ではなく、絶対他力の道を行く者ですから、霊能力を求めさせたり、様々の欲望の満足を計ってやることをすすめたりはしないのです。私はただ、その人の本心の開発、神へ昇ってゆく道を開いてやる援助をし、その道を教えることだけをやっているのです。何故かといいますと、無理なく自然に、日常生活の中でいつの間にか、本心開発の道に入ってゆくことを願っているからで、その本心開発の道をたどってゆくうちに、自ずから霊能力を発揮してゆくことをこそ望んでいるのです。その道が、消えてゆく姿として、すべての現われを業想念の現われであると打消してゆく方法であり、ただひたすら守護霊、守護神に感謝し一任して本心の開発をして貰う方法であるのです。すべての業想念(誤った想念行為)を打ち消しきってゆくうちに、自己の顕在意識に守護霊、守護神の心がはっきりうつってきて神秘力を発揮することが出来るようになり、本心がすっきりと日常生活の中に現されて自由自在になってゆくのであります。これが真の神通力なのであります。

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