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№164【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『さっさと忘れて』~へんいちエッセイ講座中級7期

今年に入って、ワタクシ数年ぶりに健康診断を受けることにした。
最近ちょっぴり気になっていた血液検査を追加したところ「貧血」と言われ、薬を処方されることに。

ある日、実家で両親とワタクシの弟とお茶しているとき
「ワタクシ貧血で薬を飲みはじめて楽になった」
と伝えた。みんな何かしらの薬を飲んでいるようなので
「ある程度の年齢になったら仕方ないよね」
などと言われるだろうと油断していた。
ところが弟は、ごくあたりまえのようにこう言いだす。
「いやいや、姉ちゃんは昔から貧血だったよね?」
「ええっ! そんなの初耳ですけど。医者でもないあんたがどうして知ってるの?」
すると弟は半笑いでワタクシにこう言った。
「あれ? 覚えてないの? 献血した後、たしか青い顔して帰ってきたことあったよね?」
その一言でワタクシ、記憶がブワッとよみがえった。


それはワタクシが会社勤めをしていたとき、もうウン十年も前のこと。
ワタクシ、年に1~2回、会社の近くにある常設の献血ルームで献血をしていた。ここは冷暖房完備で、献血後には大量のおやつとジュースが飲み放題食べ放題。献血中はビデオ、待ち時間は雑誌が楽しめる。

ある日、いつものように献血をしていたら突然異変が。ふっと力が入らないような、ふわっとしたような。
「あれ? あれれ?」
すると看護師さんがすぐに声を掛けてくれた。
「ご気分、悪くないですか? ちょ~っと顔色が悪いですね」
すぐに献血は中止。そのあとワタクシ、午後から仕事を休んで家に帰った。

すると家にいたのは、ワタクシの弟。
「どうした? 今日、早いね」
献血のできごとを話すと、さすが弟。まったく遠慮なくお腹を抱えて爆笑しはじめた。
「そんな人初めて見た~! 献血に行って貧血とかあり得ないんだけど。え? 上司にそれ話したの? 上司だったらリアクションに困るでしょ。笑うわけには・・・」

勢いマシマシで笑っている弟を見て、会社の上司の顔がふとよぎった。
会社で同じことを言ったとき、たしか上司はメッチャ複雑な表情を浮かべていた。
「お大事にね。一人で帰れる?」
でもきっと心の中では、弟と同じことを思っていたに違いない。笑うに笑えなかったのだと、このとき初めて気がついた。
「ひょーっ! 恥ずかしい、恥かしすぎる。明日どんな顔して会社に行けばいいんですか~?!」

人生最高に顔が熱くなった日、メッチャ恥ずかしい思いをした日だった。

そんなことをキレイさっぱり忘れていたワタクシ。弟のムダな記憶のせいでワザワザ思い出すハメになるなんて。
「もう過ぎ去ったことは、さっさと忘れてちょうだい!」

姉弟ってまったく配慮とか遠慮とか容赦がない分、こんなときに超メンドクサイ。

ちぇっ。




これは先輩noterへんいちさんが主宰されるメンバーシップの「エディターコース★エッセイ講座中級7期」に参加した作品です。

今回の講座では、このような条件が出されておりました。

テーマ【人生で最高に熱い日】

なんとシンプル! テーマだけでいいの? 執筆条件ナシ?
というのも今回参加した講座は中級。添削は2回もして頂けるという親切設計。ありがたやありがたや。


★文章を書くのは好きだけどちょっぴり自信ない。
★締め切りとテーマがある、作家気分を味わいたい。
★添削ってどんな感じなのかな・・・。

そんな方にお勧めの講座です(^▽^)/


サポートありがとうございます!  迷わずお菓子を大人買いしますよ?怒りません? ありがとうございま~~~す  ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ