「ただ観るだけには近すぎるが、手にするには遠すぎる」そんな存在だった。
舞台が好きだった。
舞台を観るのが好きだった。
舞台が心の支えだった。
ずっと舞台に立つ憧れを心に秘めていたから。
舞台で歌って演技するのが夢だった。
劇場に行くたびに、夢は目の前に広がっていた。
観劇するたび、毎回心を奪われる舞台。
ただ観るだけにしては、あまりにも心が近すぎた。
だから、触ろうとして、手を伸ばしてみた。
舞台というものを手に入れたくて。
夢をどうにかして叶えたくて。
でも、届かない。届くわけがなかった。
進路は沢山考えた。
だけど、避けられない出来事や自分の勇気の無さが、私に憧れることさえ諦めることを選ぶことを求めた。もう一生無理だと思った。
自分の行く先がわからなかった。
そんな私は、大学生になり、ミュージカルサークルに入った。
過去に蓋をして仕舞い込んでいた箱を開けることに対して、一切の葛藤もしなかったと言ったら嘘になる。
でも、気づいたらここにいた。
そこで、初めてキャストとしてミュージカルに出演する事が決まった。
セリフは3つ。
舞台に関われるだけでも幸せなのに、
セリフをいただけた幸せや感謝。
舞台に立てるなんて何か変な夢を見ているんじゃないかとさえ思う。
嬉しすぎて、楽しみすぎて、仕方がない。
人生で初めて、ミュージカルに関われる日が来た。
セリフ1つ1つ絶対大切にする。
やれることは全部やって、沢山吸収して、成長する。
この先何があっても、この幸せ絶対に忘れない。
何だかミュージカル「ファントム」のクリスティーヌと同じ気持ち。
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